睡眠薬デエビゴとは?効果が強い?副作用や服薬について解説/医師QA

ライター:発達障害のキホン
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夜しっかり寝て、昼間は活発に動くのが理想ですが、寝床に入ってもなかなか寝付けない、眠っても夜中に目が覚めてしまうなど、睡眠にかかわる悩みはさまざまです。今回は、睡眠障害と服薬について、専門家の先生にご回答いただきました。また、新しいタイプの睡眠薬「デエビゴ」についての効果や副作用について紹介します。

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監修: 鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
1959年東京都生まれ。1985年秋田大学医学部卒。在学中YMCAキャンプリーダーで初めて自閉症児に出会う。同年東京医科歯科大学小児科入局。 1987〜88年、瀬川小児神経学クリニックで自閉症と神経学を学び、栃木県県南健康福祉センターの発達相談で数々の発達障がい児と出会う。2011年、茨城県つくば市に筑波こどものこころクリニック開院。
目次

睡眠障害とは?服薬で治るの?

不眠症・過眠症・睡眠時随伴症など睡眠にかかわる病気を総じて睡眠障害といいます。なかでも多いのが不眠症です。夜寝つきが悪い、夜中に目覚めてしまう、熟睡できないなど症状はさまざまで、日中の活動に影響が出ることがあります。不眠の原因はストレスなどの心理的原因や、病気による身体的原因など多岐にわたりますが、睡眠環境や生活習慣を見直すことで改善される場合も多くあります。

よい睡眠環境は、明るさ、音、温度がポイントです。寝るときの部屋の明かりは、なるべく暗くしましょう。明るいままだと、心身をリラックスさせるのに必要なメラトニンの分泌が抑制されてしまいます。真っ暗な環境が苦手なときは、豆電球や間接照明をつけるのもおすすめです。また、朝日が原因で早く目覚めてしまうときは、遮光カーテンを利用するといいでしょう。

睡眠中でも音は脳に届くので、快眠のためには静かな環境づくりを心がけましょう。テレビの音や人の話し声が聞こえると、眠りが浅くなることも。静かな環境づくりがむずかしいときは、耳栓をするのも一つの方法です。
暑すぎたり寒すぎたりするのも、快眠の妨げになります。寝具を調整したり、エアコンのタイマー機能を活用したりして工夫しましょう。

寝床でスマートフォンを使うと脳が興奮状態になり、寝つきが悪くなると言われています。また、睡眠の質を下げないためには、食事は寝る2時間前には終えましょう。コーヒーや日本茶、チョコレートなど、カフェインを多く含むものは、夕方以降は摂らないことも大切です。

環境や生活習慣を見直しても、なかなか改善されない場合、薬による治療を行うことがあります。

睡眠障害で処方される薬は、大きく3種類に分けられます。
1つ目は「ベンゾジアゼピン受容体作動薬」
これは、脳の興奮を抑える物質の働きをうながして脳を休ませます。非ベンゾジアゼピン系睡眠薬の「ルネスタ」、ベンゾジアゼピン系睡眠薬の「ハルシオン」「レンドルミン」などがあり、短時間で効果を実感しやすいのが特徴です。一方、依存性が出やすかったり、服用を続けると薬が効きにくくなったりすることもあります。以下のような薬が発売されたこともあり最近はあまり用いられなくなりました。

2つ目は「メラトニン受容体作動薬」。
1日の睡眠・覚醒サイクルを司っている視交叉上核に存在するメラトニン受容体(MT1/MT2)を刺激し、睡眠と覚醒のリズムを整え、自然な眠りをうながします。依存性は低いですが、即効性もありません。
神経発達症に伴う入眠困難がある子どもに処方される「メラトベル」、大人に処方される「ロゼレム」や「ラメルテオン(ジェネリック)」があります。なお、メラトベルは体内で作られるメラトニンそのものです。
メラトニンは視交叉上核のMT1及びMT2受容体を活性化することで視交叉上核にある体内時計の神経活動を調節し、睡眠の誘導作用を示すと考えられています。

3つ目は「オレキシン受容体拮抗薬」。
起きている状態を保つ脳内物質であるオレキシンの働きを抑えることで、寝つきを良くし、夜間の眠りをサポートします。即効性があるのに依存性は従来のものよりも低いのがメリットですが、頭痛や眠気が残ったり、悪夢を見たりすることがあります。3種類のなかでは、新しいタイプの薬です。「ベルソムラ」「デエビゴ」があります。

今回は、このなかの「デエビゴ」について紹介します。

睡眠薬「デエビゴ」とは?

デエビゴの特徴、効能、効果は?

デエビゴは不眠症を改善するための薬です。入眠困難、中途覚醒、睡眠維持困難などの症状があるときに処方されます。不眠症の薬として処方される「ベンゾジアゼピン受容体作動薬」と比較すると、デエビゴは長期間服用しても効果が持続し、依存性も低いとされています。デエビゴは保険適用されていますが、小児には処方されません。

デエビゴはどんな作用で効く睡眠薬ですか?

睡眠と覚醒には、オレキシンという脳内の神経物質が深く関係しています。日中はオレキシンが増加するので起きている状態を保つことができ、夜間は減少するのでスーッと眠りにつけるのです。

寝つきが悪い、中途覚醒してしまうというときは、なんらかの原因で、夜でもオレキシンの働きが活発になっていると考えられます。デエビゴは、有効成分であるレンボレキサントがオレキシンの働きを邪魔し、自然と眠れるように作用します。

デエビゴの用法、容量は?どのぐらいの強さの薬なの?

デエビゴには、2.5mg、5mg、10mg錠の3種類があります。飲み始めるときは5mgを1日1回、就寝前に服用します。併用する薬によっては効果が強まることがあるため、医師と必ず相談してください。また、肝臓に影響が出やすいので、肝機能障害がある人も医師と相談してください。デエビゴは即効性があるので、服用後30分後ぐらいから眠気が出てきます。そのため、就寝の準備が整ってから服用しましょう。

デエビゴの副作用って?

デエビゴの代表的な副作用として、眠気があります。効き方に個人差があるので、人によっては効果が出すぎてしまい、翌日に眠気や倦怠感が残ってしまうことがあります。薬の影響で眠気が出ているときは、注意力や集中力が低下することもあります。自動車の運転など、危険が伴う機械の操作は避けましょう。

副作用が出たときは、医師と相談して薬の量を調整したり、服用時間を早めるなどの対応が必要となるでしょう。デエビゴは比較的依存性の低い薬ですが、定期的に医師の診察を受け、睡眠障害の症状が改善したときは薬の量を調整することも大切です。

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