デエビゴとは?効果と副作用、服薬の注意点を解説【医師監修】

ライター:発達障害のキホン
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「夜寝付けない」「途中で何度も起きてしまう」などの睡眠障害(不眠症)の治療に使う薬に「デエビゴ」があります。寝付きをよくするなどの効果が認められる一方で、眠気が残る、頭痛がする、悪夢を見るなどの副作用も報告されています。
今回はデエビゴの効果や副作用、注意点などをお伝えすると共に、小児科の先生による睡眠に関するQ&Aをお届けします。

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監修: 鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
1959年東京都生まれ。1985年秋田大学医学部卒。在学中YMCAキャンプリーダーで初めて自閉症児に出会う。同年東京医科歯科大学小児科入局。 1987〜88年、瀬川小児神経学クリニックで自閉症と神経学を学び、栃木県県南健康福祉センターの発達相談で数々の発達障がい児と出会う。2011年、茨城県つくば市に筑波こどものこころクリニック開院。
目次

睡眠薬「デエビゴ」とは?

デエビゴ(一般名:レンボレキサント)は成人の睡眠障害(不眠症)の治療に用いられる睡眠薬です。
不眠症は睡眠・覚醒障害群(睡眠障害)の一種で以下のような症状があります。
・入眠障害(入眠困難):寝つきが悪い
・中途覚醒(頻回の覚醒):眠りが浅く何度も起きる
・早朝覚醒:朝早くに目覚めてその後眠れない

これらの症状が強くなると、仕事などの日中の活動に影響が生じてきます。

睡眠障害(不眠症)は国民病と呼ばれており、成人の約30~40%の方が何らかの不眠症状があって、約5%の方が睡眠薬を服用しているとも言われています。

睡眠障害(不眠症)の治療に用いられる睡眠薬には「ベンゾジアゼピン受容体作動薬」「メラトニン受容体作動薬」「オレキシン受容体拮抗薬」などの種類があり、デエビゴはこの中のオレキシン受容体拮抗薬に分類されます。

オレキシン受容体拮抗薬は起きている状態を保つ脳内物質であるオレキシンの働きを抑えることで、寝つきを良くし、夜間の眠りをサポートする薬です。即効性があるのに依存性は従来のものよりも低いのがメリットですが、頭痛や眠気が残ったり、悪夢を見たりすることがあります。

※DSM-5-TR「不眠障害」と表記されていますが、本記事ではICD-10の「睡眠障害(不眠症)」の名称を使用します。

デエビゴの効果・特徴と副作用・注意点

デエビゴの効果・特徴

デエビゴは睡眠障害(不眠症)の治療に使う薬で、入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒などの症状があるときに処方されます。保険適用されていますが、成人適応のため小児には処方されません。

睡眠と覚醒には、オレキシンという脳内の神経物質が深く関係しています。日中はオレキシンが増加するので起きている状態を保つことができ、夜間は減少するのでスーッと眠りにつけるのです。

寝つきが悪い、中途覚醒してしまうというときは、なんらかの原因で、夜でもオレキシンの働きが活発になっていると考えられます。デエビゴは、有効成分であるレンボレキサントがオレキシンの働きを邪魔し、自然と眠れるように作用します。

デエビゴの特徴として、ほかの睡眠薬に比べて依存性が少ないことがあります。また、即効性があることも特徴として挙げられます。デエビゴは服用後すぐに眠気が出てくるため、就寝の準備が整ってから服用するようにしましょう。

デエビゴの用法・用量

デエビゴには、2.5mg、5mg、10mg錠の3種類があります。飲み始めるときは5mgを1日1回、就寝前に服用します。食事の直前や直後は入眠効果が遅くなる可能性があるため、服用を避けましょう。

また、併用する薬によっては効果に影響が出ることがあるため、デエビゴ以外に服用している薬がある場合は必ず医師に伝えるようにしましょう。同様にアルコールも効果に影響が出るため、デエビゴを服用した際には飲酒は避けるようにしましょう。

ほかにも、デエビゴは肝臓に影響が出やすいため、重度の肝機能障害がある方への使用は禁忌となっています。

デエビゴの用法、容量は?どのぐらいの強さの薬なの?

デエビゴには、2.5mg、5mg、10mg錠の3種類があります。飲み始めるときは5mgを1日1回、就寝前に服用します。併用する薬によっては効果が強まることがあるため、医師と必ず相談してください。また、肝臓に影響が出やすいので、肝機能障害がある人も医師と相談してください。デエビゴは即効性があるので、服用後30分後ぐらいから眠気が出てきます。そのため、就寝の準備が整ってから服用しましょう。

デエビゴの主な副作用

デエビゴは副作用が少ないと言われていますが、それでもいくつか報告されています。主な副作用として一番多いのは傾眠(まどろむ程度の眠気)で10.7%、次に頭痛で4.2%、その次に倦怠感3.1%となっています。ほかにも悪夢やめまい、体重増加なども報告されています。

■デエビゴの主な副作用
◇3%以上
・傾眠
・頭痛
・倦怠感
◇1~3%未満
・浮動性めまい
・悪夢
・体重増加
・悪心(吐き気)
◇1%未満
・回転性めまい
・幻覚
・耳鳴り など

副作用が出たときは、医師と相談して薬の量を調整したり、服用時間を早めたりするなどの対応が必要となるでしょう。デエビゴは比較的依存性の低い薬ですが、定期的に医師の診察を受け、睡眠障害(不眠症)の症状が改善したときは薬の量を調整することも大切です。

注意したい副作用

デエビゴの副作用として傾眠が強く出ているときには注意が必要です。薬の影響で日中も眠気が出ているときは、ふらつきや操作ミスが考えられるため、自動車の運転や危険が伴う機械の操作は避けましょう。

また、ごくまれに睡眠時麻痺やナルコレプシー症状(非常に強い眠気や発作的な居眠り)が現れることがあります。自身や家族に気になる症状がある場合はすぐに医師に相談するようにしましょう。

「朝起きられない」「成長期の子どもも飲んでいい?」「薬物療法以外で、子どもの睡眠障害を改善する方法は?」医師に聞く「デエビゴ」「子どもの睡眠」Q&A①

ここでは、小児科医の鈴木直光先生に、デエビゴの影響や子どもの睡眠について気になる質問に答えていただきました。

Q 薬が効きすぎて朝起きられなくなることはないですか?学校や仕事などに遅刻しないか心配です。

(質問)
寝つきが悪くて困っており、デエビゴを処方されました。効き目が強すぎて、朝起きられないのではないかと心配しています。

(回答)
数十年前まで睡眠薬の主流であったベンゾジアゼピン系の薬のなかには、眠気を誘う作用が強いものがあったので、翌朝起きられなかったり、翌日も強い眠気を感じたりすることもありました。デエビゴは、それらとは効き方が異なります。
なお、デエビゴは成人の治療薬なので、成人以上の不眠症状(寝つきが悪い、眠りが浅い、何度も目が覚める)がある人に処方されることが多く、小児には処方できません。
回答:鈴木 直光先生(小児科医/筑波こどものこころクリニック院長)
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Q 成長期の子どもが飲んでも問題はありませんか?

(質問)
神経発達症がある子ども(10歳)がいます。寝つけないことが多いうえ、夜中に目を覚ましてしまうこともしばしばあります。デエビゴを飲んでも大丈夫でしょうか?

(回答)
デエビゴは成人用の治療薬のため、子どもには処方できません。神経発達症がある子どもの睡眠障害(不眠症)には、メラトベルが処方されることが多いと思います。

メラトベルは、睡眠ホルモンともいわれるメラトニンと同じものを薬にしたものです。睡眠と覚醒のリズムを整え、自然な睡眠を促す働きがあります。神経発達症がある16歳未満のお子さまには、保険適用で処方されます。なお、うつ病などの治療に用いられるSSRIとの併用は禁忌とされています。

お子さまの不眠を改善するには、日中にたくさん活動することが有効です。脳も体も疲れれば、ぐっすり眠ることができます。
回答:鈴木 直光先生(小児科医/筑波こどものこころクリニック院長)
回答:鈴木 直光先生(小児科医/筑波こどものこころクリニック院長)
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Q 薬物療法以外で、子どもの睡眠障害を改善する方法を教えてください。

(質問)
子どもがなかなか寝ずに困っています。夜眠れず、昼間眠くなってしまうようで、本人も困っています。なるべく薬に頼りたくないのですが、どうすればいいでしょうか。

(回答)
睡眠環境を整えましょう。寝るときは部屋の明かりを暗くし、大きな音がしない静かな環境で、暑すぎない、寒すぎない温度に調整してください。ホテルのような部屋が理想です。
決して寝床でゲームやスマートフォンを使わないこと。目から入る光やブルーライトが脳を刺激してしまい、快適に眠ることができません。寝つくまでに何かを読むなら、紙の本での読書がおすすめです。
回答:鈴木 直光先生(小児科医/筑波こどものこころクリニック院長)
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