「ランドセルを使いたい」障害や特性がある子も使いやすい、『やさしいランドセル』とは?

ライター:発達ナビ アライアンス プログラム
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重い、開けにくい、忘れ物しちゃう…。そんな先輩ママ・パパの悩みの声も聞こえてくる、発達障害や知的障害のあるお子さんのランドセル選び。長く使えて楽しく学校に通うことができる、ランドセルの形ってどんなものでしょうか?
発達障害や知的障害のあるお子さんのために開発された、ランドセルをご紹介します。

みんながランドセルを背負っているのに、なんで僕はリュックなのかな。

「うちの子は、普通のランドセルだと開け閉めがうまくできなくって。軽さの面からもランドセルリュックを検討していたのですが、『みんながランドセルを背負っているのに、なんで僕はリュックなのかな』って思うだろうな」
ランドセルを背負う小学生
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2024年4月から小学校に進学予定の、あるお子さんの保護者の方は、ずっとそんな悩みを抱えていました。もちろんリュックにはリュックの良さがありますが、お子さんの希望でお店にランドセルを見に行っても、どうしても使いやすいランドセルに出合うことができなかったと話します。

実際に、一般的なランドセルだと発達障害や知的障害のあるお子さんにとって、重かったり開け閉めがしにくかったり、使いにくさという困難に直面している親子もいるようです。
体験談
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ランドセルは、毎日のように長く使うものだからこそ、お子さんにとってストレスなく使えて、楽しく気持ちよく学校に背負っていけるものを選ぶことが大切なんですね。
※クリックすると発達ナビのサイトから『やさしいランドセル』のサイトに遷移します。

発達障害、知的障害がある子どもも、誰でも使いやすいランドセルを。

「手先が不器用だったり、力が弱かったりして、ランドセルを持ちたくても使えない子どもがいるんです」。

知的障害児・者サッカースクール「トラッソス」の吉澤昌好コーチも、冒頭でご紹介した保護者の方と同じような実情を、子どもたちに触れる中で感じていました。
ランドセルを背負う小学生
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そんな話を吉澤コーチから聞いたのが、デンマークのスポーツブランド「ヒュンメル(hummel)」。スクールのサポートやインクルーシブサッカーイベントを通して、多様性を広げる取り組みをトラッソスと推進している彼らは、誰もが使いやすいランドセルをつくって子どもたちの力になりたいと、強く思ったそうです。

開発にあたって、まず「ヒュンメル」はランドセルづくりに知見のある「ふわりぃランドセル」(株式会社協和)と取り組むことを決定。そして試行錯誤してつくったサンプルを「トラッソス」スクール生の親子に何度も試してもらいながら、およそ2年の月日をかけ、ついに今年『やさしいランドセル』が誕生しました。「ヒュンメル」のロゴが、外カバーに刻印されているモデルです。
やさしいランドセル
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『やさしいランドセル』のユニバーサルデザイン3つの特長とは?

『やさしいランドセル』のベースには、「ふわりぃランドセル」のこだわりと安心感があります。「デザイン性の高いものやアパレルブランドとのコラボランドセルが増えていますが、私たちはランドセルはあくまでも学用品ととらえ、通学しやすい軽量で丈夫なモノづくりにこだわります」と、株式会社協和の大島さん。

そんな想いをベースに丁寧につくられた『やさしいランドセル』の3つの特長を、順番にご紹介していきます。
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肩ひもにはベルトからはみ出るほどにクッションを入れた「ふわりぃ肩ひも」を採用し、負担を軽減。体とランドセルを密着させる肩ひもの設計「ふわりぃ背カン」が重さを和らげます。
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本体の素材には軽くてしなやかな人工皮革のクラリーノ🄬エフを採用。水やキズに強く、お手入れも簡単。
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特長1.ふわりぃブランド最高クラスの軽さ

身体が小さい、力が弱い、疲れやすい…。そんなお子さんにとっては、まずランドセルの重さが気になるところではないでしょうか。例えば、小学1年生でも教材だけで約2kgの荷物となり、そこに水筒や体操服などが加わると全体で4-5kgにもなってしまうことも。
ランドセルを背負う男の子
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トラッソスの吉澤さんからも「体を動かす経験が少ないことから、コーディネーションといわれる神経系の発達が緩やかで、体重が平均に比べて軽い場合に重いランドセルには振り回されるお子さんもいるんです」と聞いていた「ヒュンメル」は、丈夫で軽くて安心して使えるランドセルにこだわったと言います。

『やさしいランドセル』は、付属品を除いた本体の重量は約960g。株式会社協和の大島さん曰く「一般的に1100g程度で軽い、といわれているランドセル。今回のコラボモデルは、ふわりぃランドセルの中でも最軽量クラスになりました」とお墨付きが出ているとのこと。
「ランドセルを使いたい」障害や特性がある子も使いやすい、『やさしいランドセル』とは?の画像
特に低学年のうちは役に立つ、フィット感を増すチェストベルトも付属。
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体験談
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特長2.開け閉めのストレスから解放

発達障害や知的障害のある子どもに限らずですが、手指の細かな動きが苦手でランドセルの開け閉めに戸惑う子どもも。だから誰もが使いやすいユニバーサルデザインを目指して、『やさしいランドセル』は使いやすさへのこだわりを詰め込んでいるとのことです。

まずは、ランドセルの外カバーを開け閉めしやすいような工夫が施されています。外カバーの下部にある、ボディ部分と固定するための錠前にドイツFIDLOCK社のマグネット式バックルを採用。多くのランドセルはガチャガチャと鍵を開けるような手指の操作が必要ですが、『やさしいランドセル』は輪っかに指を引っかけて引っ張るだけで開くようになっています。
「ランドセルを使いたい」障害や特性がある子も使いやすい、『やさしいランドセル』とは?の画像
さらにマグネットで自動的に閉じるようにもなっているので、ランドセルの開け閉めがラクチン!
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また、ランドセル内のファスナーの引き手も大きいので、小さなつまみを掴めないというストレスからも解放されそうです。
ランドセル内のファスナーの引き手
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そして最後に、ランドセル両側面のフックにはふわりぃが独自開発した着脱簡単ナスカンが採用されています。給食袋などの取り付けはもちろん、取り外しが誰でも簡単にできるようにと考えられています。
ランドセル両側面のフック
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体験談
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特長3.忘れ物せずに自信いっぱいで学校へ

発達障害や知的障害のあるお子さんにとって、学校の持ち物の準備はとても大変なことであると、多くの保護者の方から聞きます。どうしても忘れ物が減らないことから、チェックリストをつくったり親が一緒に確認したりと配慮されている方もいるようです。

そんな忘れ物対策として、『やさしいランドセル』では収納スペースごとに入れる荷物をイラストカードで分かりやすく示すことができるようにしたそうです。
忘れ物対策
曜日や季節、または学年や行事に応じて増える荷物にも、柔軟に対応できるように使いやすい設計がされています。
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お子さんごとにどこに何を入れたいかはこだわりもあるため、透明のポケットにイラストカードが入れ替えられるようにもなっています。
イラストカード
イラストはダウンロードで取得でき、なくしてしまっても、学年が上がっても、長く使うことができるようです。
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トラッソス吉澤さん
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『やさしいランドセル』で、小学校生活を心地よく過ごしませんか?

そんな『やさしいランドセル』には、入学から卒業まで6年間の修理保証があり、正常な使用状態における破損などについては無料で修理対応してくれるそうです。また、国内工場で修理する約2週間の間は、代替用ランドセルも用意してもらえるとのこと。

もし今、そしてこれから、お子さんのランドセル選びに困られていること、迷われていることがあれば、新しい選択肢として『やさしいランドセル』をご検討してみてはいかがでしょうか?
やさしいランドセル
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ヒュンメル公式オンラインストア限定では、2024年3月上旬発送に向けたランドセルの予約を受け付けているようです。発達障害や知的障害のあるお子さんへの想いが込められたランドセルで、楽しく学校に通えることを願っております。
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終わりに、このランドセルをつくった方々のご紹介。

「ヒュンメル」は、“Change the World Through Sport.”(スポーツを通して世界を変える)をミッションに、障害者スポーツ支援にも力を入れているスポーツブランドです。発達が気になるお子さんが、もっと気軽に安全にスポーツが楽しめる機会をつくっていきたいと、話してくれました。
ヒュンメル
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そんな「ヒュンメル」が20年近くサポートしているのが「トラッソス」です。今回のランドセル開発においても「ヒュンメル」が動き出すきっかけをつくり、開発過程でもスクール生の親子の声を届けてきました。
トラッソス吉澤さん
トラッソスの吉澤さん
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そして株式会社協和は、70年以上にわたって職人たちの手づくりによるランドセルを手掛けてきた老舗メーカーです。担当の大島さんは、「今まで重度の身体障害のあるお子さんに向けたランドセルをつくっていましたが、今回のようなモノづくりは初めて。どんな障害があっても、ランドセルを持っていただきたいという想いを込められたと思います」と、コラボレーションならではの広がりを持つことができたと語ります。
株式会社協和大島さん
株式会社の協和大島さん
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そんな方々の想いの結晶とも言える『やさしいランドセル』が、本当に必要とされる親子に届きますように。
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動画で解説!『やさしいランドセル』

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

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