熱せん妄を起こしたら?脳症との違い、処方薬カロナールについて/小児科医監修

ライター:発達障害のキホン
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高熱を出した子どもが、突然うわごとを言ったり、歌を歌い出す、笑いだす、泣き出す、部屋の中を歩き回るなどの普段とは違う行動をとったり、パニックを起こしたりすることを「熱せん妄」といいます。いつもと異なる様子に看病している保護者の方は戸惑ってしまうかもしれません。しかし、熱せん妄は、1歳から10歳くらいの年齢の子どもに見られる、決して珍しくない症状です。今回は、熱せん妄の原因や対応の仕方などを解説します。

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監修: 藤井明子
小児科専門医
小児神経専門医
てんかん専門医
どんぐり発達クリニック院長
東京女子医科大学大学院修了。東京女子医科大学病院、長崎県立子ども医療福祉センターで研鑽を積み、2019年よりさくらキッズくりにっく院長に就任。2024年より、どんぐり発達クリニック院長、育心会児童発達部門統括医師に就任。お子様の個性を大切にしながら、親御さんの子育ての悩みにも寄り添う診療を行っている。 3人の子どもを育児中である。
目次

熱せん妄とは?原因や症状など

子どもが高熱を出したときに、突然うわごとを言ったり、歌を歌い出す、笑いだす、泣き出す、部屋の中を歩き回るなどの行動を起こす「熱せん妄」。その原因や症状、子どもが熱せん妄を起こしたときに心配になる後遺症についても解説します。

熱せん妄の原因は?

熱せん妄は、高熱が出ることにより、脳内のホルモンバランスが崩れることが原因だとされています。

脳は睡眠中に夢を見ているような状態なのにも関わらず、筋肉の力は抜けずに身体は目覚めているような状態になり、そのため夢を見ていることを現実と勘違いしたり、またそれに伴い身体が動いてしまったりするのです。また、高熱により、もうろうとしているため夢と現実の区別がつかなくなり、パニック状態につながることもあると言われています。

熱せん妄の症状は?

熱せん妄の代表的な症状は以下の通りです。

・事故や他害に繋がる異常な行動
・幻聴、幻視などが起き、感覚が混乱する
・うわごとを言ったり、突然歌を歌い出したりする
・支離滅裂な行動や無意味な動きをする
・怯えたり、恐怖を感じている様子を見せたり、突然泣き出したりする
・なんのきっかけもないのに突然笑い出す
・呼びかけに対して無反応、無表情
・部屋のなかを歩き回ったり、外を徘徊したりする
・食べ物ではないものを含め、なんでも口に入れようとする

熱せん妄で後遺症が残る場合はあるの?

子どもの熱せん妄のほとんどが一過性のもので、決して珍しい症状ではありません。その大半が良性の病態で、熱せん妄による後遺症や命の危険はほとんどないと言われています。

ただし、ごく稀に脳症などの重症疾患の初期症状として、熱せん妄に似た状態になることがあるので、一定の注意は必要になります。

熱せん妄になりやすい子どものタイプについて

事前に熱せん妄になりやすい年齢や体質を知っておけば心構えができる……と考える方もいるかもしれません。熱せん妄は、1歳から10歳くらいまでの年齢の子どもで幅広く見られる症状です。

しかし、起きやすい体質などは現代の医学では解明されていません。1歳から10歳前後の子どもがいる保護者は、どんな子どもでも熱せん妄を起こす可能性があると考えておきましょう。

コロナやインフルエンザのときに起こりやすい?解熱剤はカロナールが処方される?

一般的にコロナやインフルエンザに罹患した際、高熱が出るケースが多いので、それに伴って熱せん妄を起こしやすくなります。特にインフルエンザの場合は脳症を起こす可能性もあるので注意が必要です。

子どもが発熱したときには、アセトアミノフェン系の解熱剤(カロナール)が処方されます。作用のおだやかな解熱鎮痛剤で、皮膚の血管を広げて熱を放散させたり、脳の痛みの感受性を低下させたりする効果があります。ただし、発熱の原因そのものを治すことはできません。

アセトアミノフェン系以外の解熱剤は15歳以下の子どもには使用不可となっています。アセトアミノフェン系以外の解熱剤をインフルエンザの子どもに使用した場合、脳症を引き起こすリスクが指摘されているためです。アセトアミノフェン系の解熱剤には、こうしたリスクが低いとされており、子どもの発熱時において、最初に投与すべき「第一選択薬」となっているのです。

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