「弟なんていなければよかった」体調不良でマイナス発言が止まらない!自閉症長男を諭した主治医の言葉

ライター:taeko
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ASD(自閉スペクトラム症)のある小4のミミは、落ち込むとマイナス発言が止まりません。かかりつけの小児科の病院で「弟なんていなければよかった」と言うミミに、先生がかけた言葉、これがミミを落ち着かせたのでした。

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監修: 鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
1959年東京都生まれ。1985年秋田大学医学部卒。在学中YMCAキャンプリーダーで初めて自閉症児に出会う。同年東京医科歯科大学小児科入局。 1987〜88年、瀬川小児神経学クリニックで自閉症と神経学を学び、栃木県県南健康福祉センターの発達相談で数々の発達障がい児と出会う。2011年、茨城県つくば市に筑波こどものこころクリニック開院。

弟ふーが発熱。解熱後兄弟同じ寝室に寝かせたら、長男も発熱して

急に寒くなった秋の日、弟のふーが鼻水を出し始めました。やがて発熱したふーは、1週間保育園を欠席しました。幸いにもインフルエンザではありませんでした。

ふーの熱も下がり明日から保育園に行こうという日、それまで隔離していたふーを、いつものようにミミの隣で寝かせました。

翌日のことです。ミミが体調不良を訴え、高熱が出てしまいました!

私は(ふーからうつっちゃったのかな……? もう少し隔離しておけばよかった……? でもミミのクラスでもインフルエンザが大流行してるし、どこからうつったかは分からないな……)と思いつつも、二人連続の発熱にガックリ。落ち込みつつも、子どもがいるとこれもよくあることですので、すぐ切り替えてミミを看病をしていました。

「弟のせいだ」と高熱で苦しみながらブツブツ言い続ける長男のミミ

自分の熱を「弟のせいだ」と思い、ブツブツマイナス言葉を言い続ける長男のミミ
自分の熱を「弟のせいだ」と思い、ブツブツマイナス言葉を言い続ける長男のミミ
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ミミの熱は高く、とてもつらかったと思います。苦しそうに寝込みながらミミは「ふーちゃんのせいだ」とブツブツ。つらい原因を弟のせいにしていました。

私は、「ふーからうつったとしたら仕方ないよね。でもミミは学校に行ってるから、学校でうつったかもしれないし、私からかもしれない。これは分からないよね」と言いました。それでも納得がいかないミミは「ふーちゃんのせいだ!」。

つらいのは分かるので多少は仕方がないことかもしれませんが、ただただ弟を責め続けるミミの様子を私は悲しく感じていました。

インフルエンザ検査を嫌がり「弟なんていなければ良かった」とまたマイナス発言。その言葉を聞いた先生は?

ミミの熱が高いので、かかりつけの小児科でインフルエンザの検査をすることになりました。
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先生は手袋をはめ「お母さん、押さえてて!」とただならぬ雰囲気。女性の職員さんも一緒にミミを押さえてくれました。一方、過去にやったインフルエンザ検査の痛みを思い出したようで、本気でもがくミミ……。4年生になったミミは力強く、私と職員さんでは押さえきれず、ミミは床にずり落ちたりと、もうすったもんだでした。そんなドタバタを越えて、ようやく検査できました。

ミミは検査が痛いことや羽交締めにされたことなどが悲しくて、ここでも「ふーちゃんのせいだ、弟なんていなければ良かった」とマイナス発言……。私はどうしたものかと溜息です。

するとそんな私に気づいた先生が、私に(いつもこうなの?)と言うように目くばせしてくれました。こちらの先生は、ミミが赤ちゃんの頃から診てくれているので、ミミのASDの特性をよく分かってくれています。私が「つらいことがあるとマイナス発言するんです」と伝えると、先生はなるほどと納得したようで、ミミにこう言ってくれました。

「弟がいて良かったんだよ、1人より楽しいことが増えたと思うよ。あと、弟くんはインフルエンザじゃないから、もしインフルエンザだったら、きっと学校でもらってきたね」
さらに
「よく考えてごらん? まだ弟くんが赤ちゃんだった頃、まだ免疫も弱くて風邪の経験もない赤ちゃんは、きみからいっぱい風邪をもらっていたと思うよ。病気は上の子から下の子へうつるほうが多いんだ。むしろ、下の子から免疫がある上の子にはうつりづらい。つまり、きみの方が弟くんにうつした回数のほうがよっぽど多いはずだよ」と冷静に伝えてくれました。
「弟がいて良かったんだよ、1人より楽しいことが増えたと思うよ。あと、弟くんはインフルエンザじゃないから、もしインフルエンザだったら、きっと学校でもらってきたね」と声をかけてくれた先生
「弟がいて良かったんだよ、1人より楽しいことが増えたと思うよ。あと、弟くんはインフルエンザじゃないから、もしインフルエンザだったら、きっと学校でもらってきたね」と声をかけてくれた先生
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ミミはこの先生の発言に納得したようでした。反論することもなく、検査結果が出るまで大人しく待っていてくれました。私は個室でミミを抱きしめて待ちました。
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ミミの検査の結果は?

ミミの検査の結果はズバリ、インフルエンザでした! ふーからうつったのではなく、おそらく学校でもらってきたのでしょう。そして、その後はふーへマイナス発言することはありませんでした。

きっとミミは熱を出したとき「ふーからうつったに違いない」と思い込み(無理はない状況ではありましたが)、熱でつらい状況を自分だけで抱えられず、自分以外を責めることでなんとか堪えていたのかなと思いました。そして、先生から理路整然と説明された内容に納得し、それで弟へのマイナス発言が消えていったのでしょう。自分で違うと納得できれば、むやみに相手を責めたりしないようです。

やがてミミも熱が下がり、食欲も戻りました。朝ごはんにベーコンを出したところ、ベーコン大好きなふーはミミにスリスリ頬ずりをして、ミミにおねだり。ミミはふーに自分のベーコンをひとつあげていました。優しいミミに戻って良かったです。

今後もマイナス発言をすることがあると思いますが、悲しい気持ちを聞いた上で、お互いの良いところを伝え続けようと思いました。
先生の言葉に納得し、熱もさがったミミにいつもの優しさが戻りました
先生の言葉に納得し、熱もさがったミミにいつもの優しさが戻りました
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執筆/taeko

(監修:鈴木先生より)
困ったことがあると他人のせいにしてしまうなど、自己中心的であったり、マイペースさといったものは、ASDのあるお子さんに見られることが多い傾向にあります。このような発言は、学校など今後ほかの場面でも見受けられるかもしれません。マイナスではなくプラス思考になるように見方を変えていく必要があります。それには当院でもやっていますが、感情(アンガー)コントロールプログラムの受講をお勧めしています。怒りを他人にぶつけるのではなく、自分の中で消火していく方法を学ぶのです。
前の記事はこちら
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
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