Q.多動・不注意の特性は変わったり、なくなったりすることはありますか?

特性自体は生まれ持ったものであり、変わりにくいと考えられます。ですが、状況によって困りごとの現れ方が変わったり、強さが変わったりすることはあります。

例えば、長い時間静かにしたり、同じことに集中したりする必要がある場面や、みんなで同じ行動をしなければいけない場面では、不注意や衝動性の特性がある人にとってはより困難が強くなったり、特性が目立つかもしれません。環境が変わったり、年齢があがることで、困難の強さや求められる適応的な行動も変化することがあります。

本人に合った方法を見つけ、トラブルの起きにくい環境に整えることで、困ったことや状況自体を避けたり軽減することができます。

ミスや失敗が起きにくい状況や環境にすること、うまくいった経験を増やすアプローチをすることが、結果的に特性による困りごとを減らすことにつながります。

Q.不注意や衝動性の特性について、特に気をつけることはありますか?

不注意や衝動性の特性があるお子さまについて、特に接し方のポイントになることが以下の4つです。

失敗しにくい環境にする

ミスや失敗自体が起きにくいよう、環境や仕組みを工夫することがポイントです。失敗やミスが多くなると、その経験から自己肯定感が下がることもあります。サポートの方向性から環境調整など、うまくいく工夫を探して試してみましょう。

叱責や注意だけではうまくいかないことを理解する

本人が頑張ってもコントロールできないということを周囲が理解することが重要です。ミスがあっても感情的に怒るよりは、まずは失敗が起きにくいようにしていくことが解決に近づく方法です。

危険やトラブルの予防

衝動性や不注意によって事故やトラブルになることもあります。迷子や飛び出しといった危険や事故、物を壊したり、無くしものをしたりといったミス、衝動的に行動することでのトラブルには気を配る必要があります。まずは本人と周りの安全を第一に、事故が起こりにくい仕組みや環境を整えていくといいでしょう。

失敗したときのリカバリーを一緒に考える

失敗やミスが起きやすいことを前提にリカバリーできるようにすることも重要です。「忘れ物をしたら誰かに借りる」「予備の教材を貸してもらえる」など、誰かに助けを求めたり、失敗をしても、取り戻す方法を一緒に考えていけるといいでしょう。

Q.家庭での様子とそのほかでの様子が違います。どちらが本当の姿でしょう?

お子さまの特性は同じでも、環境によって現れる様子や困りごとが変わります。特に、不注意や衝動性の特性がある場合、周りに気の散りやすいものがあったりすると困りが強く出ることもあります。例えば、1対1で話を聞けても、集団の場で話されているときにはほかのことに気を取られてしまい、うまく集中して聞けないことなどもあります。

このように、家庭では問題なくできていることが、園や学校ではできない、などの様子が見られることもあります。

あるいは逆に保護者としては気になることが、ほかの人からみると長所として捉えられることもあります。

状況などの変化で様子が変わることはよくあることです。環境面の要素が影響することを認識することが大切です。お子さまが困っているかどうかにフォーカスして情報を共有したり、うまくいく方法を一緒に探していきましょう。
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