Q.「情緒の問題」の困りごとについて、特に気をつけることはありますか?

「情緒の問題」の困りがあるお子さまについて、特に接し方のポイントになることが以下の3つです。

情緒の問題が起きにくい環境にする

不安や心理的なストレスを感じにくいよう環境や仕組みを工夫することがポイントです。不安が高い人の場合、感覚過敏性などの別の特性が影響していることもあります。そのような場合は気になる刺激を取り除いたり、調整したりする必要があります。

また、失敗が多くなると、その経験から自己肯定感が下がることもあります。サポートの方向性から環境調整など、うまくいく工夫を探して試してみましょう。

本人にはコントロールできないことがあると理解する

不安な気持ちは本人が頑張ってもコントロールできないということを周囲が理解することが重要です。また、無理に自立させようとしたり、不安を克服させようとすると逆効果になります。無理に慣れさせようとするよりは、まずは不安な状況が起きにくいようにしていくことが解決に近づく方法です。

不安なときの対応方法を一緒に考える

不安を感じやすいことを前提に一緒に対策を考えることも重要です。「不安なときにはどうする」「誰が助けてくれそうか」など、誰かに助けを求めたり、不安なときの方法を一緒に考えていけるといいでしょう。

特に思春期以降は、保護者に相談しにくい悩みが出てくることもあるので、本人が定期的に通える相談の場所や信頼できる人の存在が大事になってきます。

Q.特性と対応方法が当てはまらないように感じます。なぜでしょうか?

「情緒の問題」に関する困りごとが、実は別の特性や背景要因と関連していることもあります。

また、LITALICO発達特性検査は保護者の視点で回答していただく検査です。保護者の主観的な評価が反映されたり、部分的な場面での回答結果として、偏りが生じる可能性もあります。その結果、検査の質問回答によっては、検査結果で表示される特性と対応方法が当てはまらないと感じることがあるかもしれません。

例えば同じ「情緒の問題」の困りごとがあっても、以下のようなほかの領域の特性や要因が関係している場合があります。

・睡眠がよく取れていない
・感覚に過敏性がある
・いつもと違う状況に対して苦手な特性がある
・周りに自分の意思をスムーズに伝えられないなど、対人・社会性に関する特性がある など

このように、さまざまな特性や背景要因が影響して、困りごとが現れていることもあります。その場合、困りごとがどこから生じているかを考え、ほかの特性への支援と合わせて考えていくことが大切です。

この検査の結果だけでは複合的な要因を判断することや、対応方法を見つけることが難しい場合もあるので、その際には家庭で抱え込まず専門家に相談するといいでしょう。

まとめ

「情緒の問題」に含まれる困りごとはさまざまです。困りごとの現れ方によって対応方法も変わります。検査結果は詳細な内容でたくさんの情報が示されるため、何から手をつけていいか、迷うことがあるかもしれません。

そんなときは、お子さまの様子で当てはまりそうな背景はないかちょっと考えてみる、「サポートの方向性」で示されたものの中からできそうなものをまず一つだけやってみる、それでもよいのです。お子さまの特性を理解し、困る状況を減らしていくことができれば、保護者や周りにとっても、子育てがちょっとスムーズになり、つらい状況が減っていくことにつながります。

LITALICO発達特性検査を、お子さまの特性理解とサポートのためのツールとして、ぜひご活用ください。
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。

SLD(限局性学習症)
LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。

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