過敏性腸症候群の治療法は?おすすめ食べ物チェックリスト、薬、ストレス対策など【医師監修】
ライター:発達障害のキホン
過敏性腸症候群(IBS)は、腹痛や便秘・下痢を繰り返し、日常生活に支障をきたす疾患です。特に子どもの場合、「何度もトイレに行くかも」という不安から学校へ行くのを避けることもあります。IBSの治療は、薬物療法や心理療法に加え、食生活や生活習慣の改善が重要です。治療は長期化するケースもあり、ご家族の理解と協力が不可欠です。今回は、IBSの概要、治療法、具体的な治療方法、おすすめの食材などを紹介します。
監修: 藤井明子
小児科専門医
小児神経専門医
てんかん専門医
どんぐり発達クリニック院長
東京女子医科大学大学院修了。東京女子医科大学病院、長崎県立子ども医療福祉センターで研鑽を積み、2019年よりさくらキッズくりにっく院長に就任。2024年より、どんぐり発達クリニック院長、育心会児童発達部門統括医師に就任。お子様の個性を大切にしながら、親御さんの子育ての悩みにも寄り添う診療を行っている。 3人の子どもを育児中である。
小児神経専門医
てんかん専門医
どんぐり発達クリニック院長
過敏性腸症候群とは?症状、原因は?
過敏性腸症候群とはお腹の痛みや不快感があり、それに伴って下痢や便秘などの症状が見られる消化器官の疾患で、日本人の中では14%程度の割合でいるとも言われています。英語ではIrritable bowel syndromeと書き、略してIBSと記載されることもあります。
過敏性腸症候群には症状によっていくつかのタイプがあり、「便秘型」「下痢型」「混合型」「分類不能型」とそれぞれ分けられています。また、お腹の張りやおならの多さが見られる場合には、「ガス型」と分類されることもあります。
厚生労働省のWEBサイトでは以下のように定義されています。
過敏性腸症候群には症状によっていくつかのタイプがあり、「便秘型」「下痢型」「混合型」「分類不能型」とそれぞれ分けられています。また、お腹の張りやおならの多さが見られる場合には、「ガス型」と分類されることもあります。
厚生労働省のWEBサイトでは以下のように定義されています。
過敏性腸症候群(Irritable bowel syndrome:IBS)は、大腸の正常な機能を妨げる慢性疾患です。症状としては、腹痛、腹部疝痛(痙攣)、腹部膨満感、便秘、下痢などがあります。IBS患者の多くは、症状を軽減するために補完療法に頼ることがあり、そして、これらのアプローチの中には、いくらか有用である可能性を示す新たなエビデンス(科学的根拠)も出てきています。
出典:過敏性腸症候群(Irritable bowel syndrome:IBS)と補完療法について知っておくべき7つのこと|厚生労働省eJIM
過敏性腸症候群の原因は一つだけでなく複数のことが関係しています。その中でもストレスが大きく関わっており、ストレスによって脳と消化管の「腸脳相関」のバランスが崩れることで、腹痛や便通の異常につながると言われています。
また、細菌やウイルスが原因の感染性胃腸炎にかかったあとには、過敏性腸症候群にかかりやすくなるとも言われています。
過敏性腸症候群は比較的若年層に見られる疾患で、下痢などの症状やそのことに伴う不安感などにより学校生活や人間関係などにも影響が出てくる可能性もあります。
そのため、ストレスケアや食べ物を含む生活の改善を行って、症状を抑えていくことが大切です。
また、細菌やウイルスが原因の感染性胃腸炎にかかったあとには、過敏性腸症候群にかかりやすくなるとも言われています。
過敏性腸症候群は比較的若年層に見られる疾患で、下痢などの症状やそのことに伴う不安感などにより学校生活や人間関係などにも影響が出てくる可能性もあります。
そのため、ストレスケアや食べ物を含む生活の改善を行って、症状を抑えていくことが大切です。
過敏性腸症候群の3つの治療方法
過敏性腸症候群の治療は主に食習慣や生活習慣の改善、服薬治療、心理療法の3つがあります。この章ではそれぞれの治療方法について紹介していきます。
食習慣や生活習慣の改善
過敏性腸症候群の治療では食習慣と生活習慣の改善指導も行われます。食習慣ではバランスの取れた食事をする習慣をつけるとともに、症状や患者の体質などによっておすすめ、または避けたほうがいい食べ物が伝えられ、生活習慣では睡眠の改善やストレスの解消についての指導が行われます。
基本的には食物繊維を多く含む食材が良いとされ、主なものとしてこんにゃく、ごぼう、キノコ類、納豆、海藻類、バナナなどがあります。このような食物繊維を多く含む食材を意識して摂取することで、腸内の善玉菌を増やして腸内環境を整えることができ、症状緩和につながります。
反対に避けたほうがいい食材として、カロリーの高いものや脂肪分の多いもの(例えば揚げ物など)、香辛料の多量摂取などが挙げられます。加えて、カフェインやアルコールの多量摂取も過敏性腸症候群の症状を悪化させる要因になるため避けたほうがいいと言われています。
食べ方にも注意が必要で、食事の際は腹八分目にする、早食いはしないようにする、水分も十分に摂取する、冷たいものは摂りすぎないことなどが指導されることが多いようです。
また、低フォドマップ(FODMAP)食なども注目されています。
FODMAPとは吸収されづらい発酵性の短鎖炭水化物群のことで、FODMAPの多い食品(高FODMAP食)を摂りすぎると、お腹の痛みや下痢、ガスなどが生じると言われています。高FODMAP食には、ラーメンやうどんなどの小麦を用いたもの、牛乳やヨーグルトなどの乳糖を含むもの、果物などが該当します。小麦などの高FODMAP食を避けることで過敏性腸症候群の症状緩和に効果があると言われていますが、症状や合う食材などは一人ひとり違うので、医師と相談しながら食事内容を決めていきましょう。
生活習慣については、十分な睡眠をとり規則正しい生活を送ることや、軽い運動などストレス解消方法を身につけることなどの指導が行われます。
睡眠改善方法としては、
・起きたら朝日を浴びる
・休日も同じ時間に起きる
・昼寝は20~30分くらいに抑える
・寝る前にぬるめのお風呂に入る
・寝る前はスマートフォンなどの画面を見ないようにする
などが効果的と言われています。
ストレス解消法としては、
・趣味を楽しむ
・ストレッチやウォーキングなどの軽い運動をする
・自然に触れる
・アロマテラピーなどのリラックス方法を試す
・腹式呼吸などのリラクセーション法を行う
などがあります。これまでに紹介した認知行動療法や、睡眠や食生活の改善もストレス解消に効果的と言われています。
過敏性腸症候群の治療方法として、さまざまなことを紹介してきましたが、まずは医師の指示に従って治療を行っていき、無理なく取り入れられるものから試してみるといいでしょう。
基本的には食物繊維を多く含む食材が良いとされ、主なものとしてこんにゃく、ごぼう、キノコ類、納豆、海藻類、バナナなどがあります。このような食物繊維を多く含む食材を意識して摂取することで、腸内の善玉菌を増やして腸内環境を整えることができ、症状緩和につながります。
反対に避けたほうがいい食材として、カロリーの高いものや脂肪分の多いもの(例えば揚げ物など)、香辛料の多量摂取などが挙げられます。加えて、カフェインやアルコールの多量摂取も過敏性腸症候群の症状を悪化させる要因になるため避けたほうがいいと言われています。
食べ方にも注意が必要で、食事の際は腹八分目にする、早食いはしないようにする、水分も十分に摂取する、冷たいものは摂りすぎないことなどが指導されることが多いようです。
また、低フォドマップ(FODMAP)食なども注目されています。
FODMAPとは吸収されづらい発酵性の短鎖炭水化物群のことで、FODMAPの多い食品(高FODMAP食)を摂りすぎると、お腹の痛みや下痢、ガスなどが生じると言われています。高FODMAP食には、ラーメンやうどんなどの小麦を用いたもの、牛乳やヨーグルトなどの乳糖を含むもの、果物などが該当します。小麦などの高FODMAP食を避けることで過敏性腸症候群の症状緩和に効果があると言われていますが、症状や合う食材などは一人ひとり違うので、医師と相談しながら食事内容を決めていきましょう。
生活習慣については、十分な睡眠をとり規則正しい生活を送ることや、軽い運動などストレス解消方法を身につけることなどの指導が行われます。
睡眠改善方法としては、
・起きたら朝日を浴びる
・休日も同じ時間に起きる
・昼寝は20~30分くらいに抑える
・寝る前にぬるめのお風呂に入る
・寝る前はスマートフォンなどの画面を見ないようにする
などが効果的と言われています。
ストレス解消法としては、
・趣味を楽しむ
・ストレッチやウォーキングなどの軽い運動をする
・自然に触れる
・アロマテラピーなどのリラックス方法を試す
・腹式呼吸などのリラクセーション法を行う
などがあります。これまでに紹介した認知行動療法や、睡眠や食生活の改善もストレス解消に効果的と言われています。
過敏性腸症候群の治療方法として、さまざまなことを紹介してきましたが、まずは医師の指示に従って治療を行っていき、無理なく取り入れられるものから試してみるといいでしょう。
過敏性腸症候群の人へのおすすめ食べ物、避けたほうがいい食べ物チェックリスト
服薬治療
過敏性腸症候群の服薬治療で用いられる薬は、過敏性腸症候群のタイプや症状の表れ方によって違ってきます。例えば便秘型の人には下剤など便通をよくするための薬が用いられることが多いといった具合です。また、整腸剤や漢方薬が用いられることもあります。
主に便秘型(IBS-C)の治療に用いられる薬
・ポリエチレングリコール
・ルビプロストン
・リナクロチド
これらの薬は便秘の症状を緩和し、便通の回数を増やす効果があると言われています。
主に下痢型(IBS-D)の治療に用いられる薬
・ジフェノキシラート+硫酸アトロピン
・ロペラミド
・リファキシミン
これらの薬は基本的に下痢の症状を緩和するものです。リファキシミンはもともとは抗菌薬ですが、お腹の張り、腹痛とともに下痢の症状も緩和するため下痢型IBSの治療に用いられることがあります。
このような薬は過敏性腸症候群の症状や患者の体質などを踏まえて処方され、様子を見ながら量の増減を行っていきます。
さらに、過敏性腸症候群の治療では漢方薬が用いられることもあります。漢方薬も過敏性腸症候群のタイプや症状によって使い分けをしていきます。
便秘型の治療では便通改善効果がある桂枝加芍薬大黄湯(けいしかしゃくやくだいおうとう)が処方されることが多く、冷えやお腹の張りがある場合はガスを減らす効果のある大建中湯(だいけんちゅうとう)も使われる場合もあります。
下痢型の治療では、腹痛が強い場合は桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)が使われ、ストレスが強い場合は半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう) が使われることが多いといわれています。
主に便秘型(IBS-C)の治療に用いられる薬
・ポリエチレングリコール
・ルビプロストン
・リナクロチド
これらの薬は便秘の症状を緩和し、便通の回数を増やす効果があると言われています。
主に下痢型(IBS-D)の治療に用いられる薬
・ジフェノキシラート+硫酸アトロピン
・ロペラミド
・リファキシミン
これらの薬は基本的に下痢の症状を緩和するものです。リファキシミンはもともとは抗菌薬ですが、お腹の張り、腹痛とともに下痢の症状も緩和するため下痢型IBSの治療に用いられることがあります。
このような薬は過敏性腸症候群の症状や患者の体質などを踏まえて処方され、様子を見ながら量の増減を行っていきます。
さらに、過敏性腸症候群の治療では漢方薬が用いられることもあります。漢方薬も過敏性腸症候群のタイプや症状によって使い分けをしていきます。
便秘型の治療では便通改善効果がある桂枝加芍薬大黄湯(けいしかしゃくやくだいおうとう)が処方されることが多く、冷えやお腹の張りがある場合はガスを減らす効果のある大建中湯(だいけんちゅうとう)も使われる場合もあります。
下痢型の治療では、腹痛が強い場合は桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)が使われ、ストレスが強い場合は半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう) が使われることが多いといわれています。
心理療法
過敏性腸症候群の治療として心理療法が用いられることもあります。心理療法とは、ストレス緩和などの効果があります。心理療法にはさまざまな種類がありますが、過敏性腸症候群の治療としては主に標準的な精神療法、認知行動療法が用いられます。
・標準的な精神療法:カウンセリングなどを通して心身の不調を改善していく治療法。
・認知行動療法:その人の物事のとらえ方(認知)に働きかけてバランスを整えていくとともに、より適応的な行動につなげていく治療法。
・標準的な精神療法:カウンセリングなどを通して心身の不調を改善していく治療法。
・認知行動療法:その人の物事のとらえ方(認知)に働きかけてバランスを整えていくとともに、より適応的な行動につなげていく治療法。