【自閉症息子の大学生活奮闘記】連絡を見落とし、授業や研究室で大失敗!対策と支援課への相談
ライター:寺島ヒロ
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ASD(自閉スペクトラム症)の人のエピソードとして、請求書や督促状を取り損ねて大変なことになったりという話をしばしば聞きます。わが家では郵便箱は家族で管理しているので良いのですが、息子宛のメールやLINEは見ていません。そのため学校の電子掲示板などを見ていなくて、授業日程の変更連絡を受け損ねることもありました。
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監修: 新美妙美
信州大学医学部子どものこころの発達医学教室 特任助教
2003年信州大学医学部卒業。小児科医師として、小児神経、発達分野を中心に県内の病院で勤務。2010年信州大学精神科・子どものこころ診療部で研修。以降は発達障害、心身症、不登校支援の診療を大学病院及び一般病院専門外来で行っている。グループSST、ペアレントトレーニング、視覚支援を学ぶ保護者向けグループ講座を主催し、特に発達障害・不登校の親支援に力を入れている。
多様な子育てを応援するアプリ「のびのびトイロ」の制作スタッフ。
どこに連絡が来ているか分からない問題
ASD(自閉スペクトラム症)のタケルが大学生になって1番困った問題は、「大事な連絡を見落としてしまう」ことでした。
メールやLINE、大学の電子掲示板など、現代の大学生活ではさまざまな連絡手段で連絡が入って来ます。時には先輩からの伝言という形で知らないアドレスから届いたりもするので、警戒心の強いタケルには、すべての連絡を受け取ることはなかなか難しかったです。
メールやLINE、大学の電子掲示板など、現代の大学生活ではさまざまな連絡手段で連絡が入って来ます。時には先輩からの伝言という形で知らないアドレスから届いたりもするので、警戒心の強いタケルには、すべての連絡を受け取ることはなかなか難しかったです。
おかしいな?と思いつつも知らない授業を受ける
ある日、先生から「今日の授業は〇〇キャンパスであります」といったお知らせが電子掲示板に出ていたのですが、タケルはそれに気づかず、いつも通りのキャンパスに向かいました。
そして教室に入ると、そこには誰もいません。「おかしいな?」と思いながらもしばし待っていると、人がいっぱい入って来たので「今日は公開授業だったのかも?」と、思いながら普通に授業を受けて帰って来ました。
それが自分の受けるべき授業ではなかったことに、タケルが気がついたのは、翌週の授業の発表の時でした。
新人なのに掃除をサボる
また4年生になって研究室に所属するようになってから、先輩からのLINEを見落としてしまったこともありました。
「明日は何もない日だから」と夜通し自分の研究をまとめたりゲームをしたりして過ごし、朝になって寝たタケル。ですが、寝た直後ぐらいに「研究室の掃除をします。夕方授業が終わったら研究室に集合」と連絡が入っていたのです。
タケルはそのメッセージに気づかず、いつも通りのんびり夕方からの授業に出て、夜は家でご飯を食べていました。
すると、突然スマートフォンが鳴り、「まだ来られないの?」と先輩からのメッセージが……!その頃にはすでに掃除は終わりかけ。研究室では1番下っ端であるタケル、絶対に行かなければならない掃除だったのです。「最初からやらかしてしまった……!」と、見て分かるぐらいショックを受けていました。
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