ひらがな、数字が覚えられないまま就学目前に…先天性の病気と発達障害のある息子の小学校生活は【新連載】
ライター:河野りぬ

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はじめまして、河野りぬと申します。わが家は夫、私、息子、娘の4人家族です。息子は片眼性先天白内障という目の病気で、生まれつき左目が弱視です。さらに幼稚園の年長に上がってからASD(自閉スペクトラム症)+ADHD(注意欠如多動症)と診断されました。小学校では自閉症・情緒障害特別支援学級に在籍しています。

監修: 新美妙美
信州大学医学部子どものこころの発達医学教室 特任助教
2003年信州大学医学部卒業。小児科医師として、小児神経、発達分野を中心に県内の病院で勤務。2010年信州大学精神科・子どものこころ診療部で研修。以降は発達障害、心身症、不登校支援の診療を大学病院及び一般病院専門外来で行っている。グループSST、ペアレントトレーニング、視覚支援を学ぶ保護者向けグループ講座を主催し、特に発達障害・不登校の親支援に力を入れている。
多様な子育てを応援するアプリ「のびのびトイロ」の制作スタッフ。
生まれつき、目の障害を持って産まれた息子。さらに発達の懸念を指摘され……
はじめまして、河野りぬと申します。現在、わが家は夫、私、息子、娘の4人家族です。息子は片眼性先天白内障という目の病気で、生後2か月で左目の手術をしました。
弱視訓練のため、毎日コンタクトレンズとアイパッチ訓練を続ける日々。
幸いにして視力は弱いながら順調に育っていっていた中、幼稚園にあがって集団生活をするようになり、徐々に新たな問題に直面するようになりました。
年中に上がる直前に幼稚園の先生から「集団行動についていけていない。指示が通らない」という指摘をされたのです。
最初は「そうはいってもまだ幼いのだから様子をみていいのではないか」と考えていました。息子は言動や普段の様子だけを見ているとしっかりしていると感じられる部分があり、さらに少人数で遊んでいる時はなんのトラブルもなかったため、当時は発達の凸凹に気付くことができませんでした。しかし、いよいよ年長に上がる直前になり、とあることが気になりはじめました。
弱視訓練のため、毎日コンタクトレンズとアイパッチ訓練を続ける日々。
幸いにして視力は弱いながら順調に育っていっていた中、幼稚園にあがって集団生活をするようになり、徐々に新たな問題に直面するようになりました。
年中に上がる直前に幼稚園の先生から「集団行動についていけていない。指示が通らない」という指摘をされたのです。
最初は「そうはいってもまだ幼いのだから様子をみていいのではないか」と考えていました。息子は言動や普段の様子だけを見ているとしっかりしていると感じられる部分があり、さらに少人数で遊んでいる時はなんのトラブルもなかったため、当時は発達の凸凹に気付くことができませんでした。しかし、いよいよ年長に上がる直前になり、とあることが気になりはじめました。
就学間近なのに……いくら教えても初歩的な学習が入っていかない
遊び中心のゆったりとした教育方針の幼稚園に通っていたため、学習については家庭でゆっくり教えればいいや、とのんびり構えていたのですが、就学にそなえて周りの子どもたちが次々と自分の名前を書いたり、数字を数えたり、早い子は足し算なども勉強している中、息子は6歳を目前にして20までの数唱がスムーズにいかず、ひらがなについては1つ2つしか覚えていないような状態でした。全く教えてないのなら納得ですが、少なくとも数唱に関しては毎日お風呂で20数えていたのになかなか覚える事ができませんでした。
また、集団行動からは相変わらず逃げ回り、みんながお部屋で集会しているような時でも、部屋の外で座って終わるのを待っていたり、同じように集団行動が苦手なお友だちと別の遊びをしていたりしました。
さらに、周りの子たちの遊びがどんどん規模が大きくなり、追いかけっこ、こおりおになど、ルールのある遊びを大人数でする事が多くなっていくと、息子は遊びの場にも入っていけない事が増えていきました。
言葉が達者で工作なども得意、興味のあることなら大人が覚えていないような事も覚えていたりするのに、なぜ初歩的な学習や集団行動ができないのだろう、と疑問と焦りが募っていた頃、ついに3歳年下の娘のほうが先に数唱を覚えてしまいました。
そんな様子を見て「やはりなにか理由がある。一度病院に行ってみよう」と決意したのです。
また、集団行動からは相変わらず逃げ回り、みんながお部屋で集会しているような時でも、部屋の外で座って終わるのを待っていたり、同じように集団行動が苦手なお友だちと別の遊びをしていたりしました。
さらに、周りの子たちの遊びがどんどん規模が大きくなり、追いかけっこ、こおりおになど、ルールのある遊びを大人数でする事が多くなっていくと、息子は遊びの場にも入っていけない事が増えていきました。
言葉が達者で工作なども得意、興味のあることなら大人が覚えていないような事も覚えていたりするのに、なぜ初歩的な学習や集団行動ができないのだろう、と疑問と焦りが募っていた頃、ついに3歳年下の娘のほうが先に数唱を覚えてしまいました。
そんな様子を見て「やはりなにか理由がある。一度病院に行ってみよう」と決意したのです。
やっと行った病院で受けた診断は
さっそく幼稚園の先生からの紹介状をもらい、運良く空きがあったので早々に児童発達専門の先生に診ていただきました。すると、事前に渡した問診票の回答や紹介状の内容、当日の様子を見て早々に、
「ASD(自閉スペクトラム症)+ADHD(注意欠如多動症)ではないか」という見立てを頂きました。
集団行動への参加の難しさや、学習への興味の無さは、ASD(自閉スペクトラム症)特性である「興味の極端さ」「集中力コントロールの不得手(過集中または注意散漫)」「一斉指示の聞き取りの難しさ」などの理由から来るもの。また同時にじっとしていられない多動的な面も見られ、体幹の弱さも見受けられる事から、DCD(発達性協調運動症)やADHD(注意欠如多動症)も併せ持っていると思う……という事でした。
私は、息子の困りの全貌がようやっと見えてきて「これから具体的に対策できる!」という前向きな気持ちと、見る人が見ればこんなにすぐ分かる障害を親である自分が見過ごしてきた申し訳なさ、さまざまな障害を併せ持つ息子の行く末を案じる気持ち、など複雑な気持ちがせめぎあう中、診断を受け止めました。
「ASD(自閉スペクトラム症)+ADHD(注意欠如多動症)ではないか」という見立てを頂きました。
集団行動への参加の難しさや、学習への興味の無さは、ASD(自閉スペクトラム症)特性である「興味の極端さ」「集中力コントロールの不得手(過集中または注意散漫)」「一斉指示の聞き取りの難しさ」などの理由から来るもの。また同時にじっとしていられない多動的な面も見られ、体幹の弱さも見受けられる事から、DCD(発達性協調運動症)やADHD(注意欠如多動症)も併せ持っていると思う……という事でした。
私は、息子の困りの全貌がようやっと見えてきて「これから具体的に対策できる!」という前向きな気持ちと、見る人が見ればこんなにすぐ分かる障害を親である自分が見過ごしてきた申し訳なさ、さまざまな障害を併せ持つ息子の行く末を案じる気持ち、など複雑な気持ちがせめぎあう中、診断を受け止めました。

