【自閉症娘×運動会】転校・不登校・コロナ…困難を乗り越えたきっかけは「おうち運動会」!?

ライター:スパ山
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わが家は転勤族。子どもたちはいくつもの学校に通いました。そのたびに学校行事の時期や雰囲気も違って、親子ともに新しい環境に慣れるのは一苦労です。今回は、ASD(自閉スペクトラム症)と場面緘黙の長女・姉子の「運動会」をめぐる思い出を書いてみたいと思います。

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監修: 鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
1959年東京都生まれ。1985年秋田大学医学部卒。在学中YMCAキャンプリーダーで初めて自閉症児に出会う。同年東京医科歯科大学小児科入局。 1987〜88年、瀬川小児神経学クリニックで自閉症と神経学を学び、栃木県県南健康福祉センターの発達相談で数々の発達障がい児と出会う。2011年、茨城県つくば市に筑波こどものこころクリニック開院。

初めての運動会は安心スタート

姉子が小学校1年生の時。行き渋りはありましたが、そこまで深刻ではなく、私も特に心配はしていませんでした。低学年の運動会は競技もシンプルで出番も少なく、楽しそうに参加している姿を見て「よかった」と安心したことを覚えています。
低学年の運動会
低学年の運動会
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しかし2年生で夫の転勤があり、運動会の時期が学校によって違ったため、この年は参加できず。

さらに3年生になった2020年はコロナ禍で運動会自体が中止。母子分離不安もあり、姉子は不登校気味になっていました。この年、転勤・コロナ・不登校と大変なことが重なり、楽天家の私でも正直ちょっと心が折れかけました。

家で作ったもう一つの「運動会」

そんな中で迎えた2021年。世の中はまだコロナ真っ最中で、運動会もまた中止に。姉子の弟にとっては初めての運動会になるはずの年だったので、私は思いつきました。「じゃあ、家で運動会やっちゃおう!」と。

模造紙に「スパ山家大運動会」と書いた横断幕をつくり、100円ショップで飾りつけを揃え、ネットで万国旗まで購入(笑)。こういうのは雰囲気が大事!と思い、お揃いのはちまきもつくって、家族でプログラムを考えました。そして、小学校にお願いして毎年運動会で踊るダンスのDVDとCDを借り、当日は本番さながらにお弁当を準備して、家の中にポップアップテントを張り、家族全員ノリノリで、大いに盛り上がりました。

姉子にとっては「小1以来の運動会」だったこともあり、久しぶりに雰囲気を味わえたのが楽しかったようです。結果的にこの経験が、後の学校での運動会に参加する際、「あ、あのとき家でやったのと似てる!」「このダンス知ってる!」と見通しを持つきっかけにもなりました。
「スパ山家 大運動会」を開催!
「スパ山家 大運動会」を開催!
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裏方デビュー⁉姉子なりの参加の形

そして姉子は5年生に。ついに学校での運動会が再開されました。ただ姉子はダンス練習も徒競走のタイム計測も参加できず、当日欠席の可能性大。私は「無理はしなくていいかな〜」と思っていましたが、本人に少しだけ参加の気持ちが芽生えたので、担任の先生と姉子と私の3人で一緒に相談。その結果、「BGMをかける」「ゴールテープを持つ」という裏方での参加に決まりました。

当日、姉子は先生のサポートで私から離れ、児童席へ。私も近くで見ていました。そして競技が始まると……もう真剣そのもの。音楽をかけるタイミングを見計らう姿は、もはやDJ。ゴールテープを落とさないよう両手をピンと張る姿は、まるで職人(笑)。その一生懸命さにこちらも胸が熱くなりました。

閉会式後、「運動会、楽しかった」とニコニコ話す姉子を見て、私も先生もウルウル。表舞台じゃなくても「その子なりに行事を楽しむ方法」があると実感しました。
一生懸命な姉子の姿に……
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