高校受験前にADHD薬開始。勉強が苦手なのに知能検査は平均値、中3娘との試行錯誤【専門家監修】

ライター:ゆたかちひろ
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大阪で暮らすアラフィフおばちゃん、ゆたかちひろです。私自身、ADHD(注意欠如多動症)の診断を受けています。2025年現在、大学生の長男と中学3年生の次女はADHDとASD(自閉スペクトラム症)です。次女が発達障害の診断を受け、詳細な検査を受けた時のお話です。

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監修: 室伏佑香
東京女子医科大学八千代医療センター 神経小児科
名古屋市立大学大学院 医学研究科 生殖・遺伝医学講座 新生児・小児医学 博士課程
筑波大学医学部卒。国立成育医療研究センターで小児科研修終了後、東京女子医科大学八千代医療センター、国立成育医療研究センター、島田療育センターはちおうじで小児神経診療、発達障害診療の研鑽を積む。 現在は、名古屋市立大学大学院で小児神経分野の研究を行っている。

発達の検査と一緒に知能検査も受けてみる!

初診から1か月後に、ようやく検査の予約が取れました。検査は病院内の別室で行われ、保護者の待機スペースとは完全に分かれています。待合室も個室になっていて、長い時間待っても苦にならないようにソファなどが設置されていました。

リラックスして受けてほしいこと、知能検査も受ける場合は時間が90〜120分はかかるので、途中で休憩もできることなど、看護師さんから説明がありました。できれば保護者の目がないところで、1人で受けたほうが良いけれど、1人で大丈夫ですか?と確認もあり、緊張しないように細かく配慮されている印象でした。

もちろん1人で大丈夫な娘は休憩も要らないので、早めに終わらせたいとのことで別室へそそくさと入って行きました。長く待つことになりそうだなぁと思いながらスマホで時間を潰していると、90分もかからずに出てきました。

検査中の様子は、特に退屈する様子もなく、指示通りにしっかり検査を受けることができていたとのことで、検査後、本人はと言えば「疲れたー!お腹すいた!!」と文句ばかり言っていました(笑)。結果は1か月後!
検査前には看護師さんからの説明など細かな配慮が。娘はそそくさと検査室へ
検査前には看護師さんからの説明など細かな配慮が。娘はそそくさと検査室へ
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検査結果はASD&ADHD。意外だった知能検査の結果

結果は問診から診察するものと、検査結果の数字で見るものがあるわけですが、問診の結果も、検査の結果も、ASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)で間違いないと言われました。

知能検査の結果は意外というか、私の予想とは違っていました。正直に言うと、次女は兄や姉と比べるとかなり成績が悪く、テストの点数も低いです。検査を受けた当時から、中学3年の受験生になった今も、下から数えたほうが早いぐらいで、知能検査でも平均より下回るのではないかと思っていました。ところが、しっかり平均の数値があって、勉強が苦手なのはADHD(注意欠如多動症)の特性のためじゃないかな?という気づきがありました。

分からない問題が出ると、試行錯誤せずに、すぐに諦めてしまう。集中が10分程度しかもたず、指差し確認をしてミスしないよう工夫していたのに、時間が長くなるとそれもしなくなってしまい、ミスが増える。直感的に単語で回答することはできるけれど、文章として組み立てるのが苦手。いろいろと苦手が見えました。

一方で分からない問題があって答えられなくても、その後の問題ではそれを引きずることなく、頭を切り替えてちゃんと回答できるなど、良い面もありました。こういう、良いところと悪いところが見えてくれば、実際のテストでもどういうところに気をつければ良いか対策も立てられます。勉強するときは得意なこと、苦手なことを10分以内に交互にやると良いなど、具体的なアドバイスももらえました。
問診と検査の結果、ASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)で間違いないと言われ……
問診と検査の結果、ASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)で間違いないと言われ……
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検査結果を受けて、投薬治療スタート!試行錯誤の数年間!

ASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)の診断が出た次女。ASD(自閉スペクトラム症)については特にお薬というのはないのですが、ADHD(注意欠如多動症)についてはいろいろな薬があるので、まずは1つ試してみましょう!ということになりました。インチュニブを飲むことにして、かれこれ2年半。その間に……。
  • インチュニブで眠くなる
  • コンサータを追加してみる
  • コンサータでも眠くなってしまう(滅多にないことだそう)
  • アトモキセチンを追加してみる
試行錯誤するものの、やはりインチュニブでの眠気で生活サイクルが乱れるので、次からはアトモキセチンだけにしてもらおうか、と。まだまだ試行錯誤の最中です。成長ホルモン治療で身長も伸び、体重も増えたため、薬の量の調整も難しく、これからもお医者さんに相談しては調整することになりそうです。
相性の合う薬、適切な量の判断はまだ難しく、今後も医師との相談が必要そう
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検査で見えた「得意と苦手」、次へ進むためにできること

知能検査を受けて、得意なことや苦手なことを言語化してもらえたことが、やはり良かったです。また、検査結果を見る限り、勉強に関しては発達特性の影響で取り組むことが難しいため、成績が上がらないことも分かりました。特性と向き合い、勉強に取り組める環境を整えていけば、成績も良くなるかも知れないと本人に分かってもらえたのも良かったです。もし、知能検査でIQが低いという結果だったとしても、それはそれで今後どうしていくかを考える指標になったと思います。勉強も努力も嫌いな娘は、「もう勉強しなくて良いよと言ってもらえるかと思ったのに」などとのたまっていましたが……。好きなこと以外に取り組むのが面倒、嫌だというのは私もADHD(注意欠如多動症)なのですごく分かるし、好きなことだけしていたいとよく思います(笑)。

嫌なことでも、どうにか工夫して楽しく取り組むしかないのが現実なので、次女にも少しでもモチベーションを上げて勉強してもらえるように、塾、家庭教師なども調べ、実際にいくつも利用しました。中学1年から兄や姉の高校・大学のオープンキャンパス見学に連れて行ったり、次女が興味を持ちそうな高校の文化祭へ連れて行ったりと、この3年近く、必死にやっていました。
少しでも勉強のモチベーションを上げてもらうべく、塾、家庭教師などを調べる日々
少しでも勉強のモチベーションを上げてもらうべく、塾、家庭教師などを調べる日々
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その結果、やっと頑張れば行けそうな高校を見つけ、そこへ行きたい!と言い出してくれたので、あと少ししか時間はありませんが、わずかに前進しました。希望通りの進路にならなくても、なんとかなるように、その先のこともすでに調べまくっています(笑)。いつまで先回りをしてサポートしないといけないのか分からないですが、少なくとも自活できるようになるまでは続きそうですね!

執筆/ゆたかちひろ

(監修:室伏先生より)
次女さんの診断や検査結果を受けてゆたかさんが感じられたことや、その後の支援の工夫などについて詳細を共有してくださり、ありがとうございました。知能検査は単に知能指数(IQ)を知るためだけのものではなく、「得意な処理」と「苦手な処理」を明らかにしてくれる地図のようなものです。今回のように、これらの情報をもとに支援を考えることで、本人に合った学習方法が見えてきます。例えば、文章理解が難しい場合には図やイラストを使う、集中が続かない場合は課題を短く区切るなど、環境を整えることで特性を補うことができることもあります。

私たちは、「必要な情報」と「不要な情報」を無意識的に選び分けて(選択的注意)います。しかし、ADHD(注意欠如多動症)の方の場合には、不要な情報に注意を向けないことが苦手な場合が多く、さまざまな周囲の刺激に意識が向きやすい傾向があります。これらの選択的注意の困難さや、集中の短さや飽きやすさは、脳の機能によるものであり、努力不足ではありません。そのため、勉強する環境をできる限りシンプルに保つことが大切です。机の上や周囲に関係のないものを置かない、壁の装飾や音の刺激を減らす、作業する場所を決めるなど、環境そのものを“集中しやすい構造”にすることが、効果的な支援になることもあります。本人の「集中できる時間」を見極め、10〜15分単位で課題を区切りながら成功体験を積み重ねることも有効なことが多いです。また、勉強時間をタイマーで区切り、終わったら“即達成感”を感じられるような仕組み(シール・ポイントなど)を導入すると、モチベーションが保ちやすくなることもあります。

ご自身もADHD(注意欠如多動症)の特性があるゆたかさんだからこそ、お嬢さんの感じる「集中できない」「やる気が続かない」「好きなこと以外はつらい」といった感覚を、誰よりも理解し、寄り添うことができます。これはお子さんにとって、大きな強みです。保護者が特性を理解し、共感できる関係性は、自己肯定感を支える重要な土台になります。
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https://h-navi.jp/column/article/35030776
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
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