【宿泊学習の不安】発達障害の子の「怖い、行きたくない」どう乗り越えた?家庭と学校でのサポートと「お守り」になった言葉
ライター:メイ
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こんにちは。メイです。
息子のトールは現在中学1年生。ASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)の診断を受けています。今回は、見通しの持てないことへの不安が強いトールの「初めての宿泊学習」への挑戦について振り返ります。
監修: 初川久美子
臨床心理士・公認心理師
東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち
臨床心理士・公認心理師。早稲田大学大学院人間科学研究科修了。在学中よりスクールカウンセリングを学び、臨床心理士資格取得後よりスクールカウンセラーとして勤務。児童精神科医の三木崇弘とともに「発達研修ユニットみつばち」を結成し、教員向け・保護者向け・専門家向け研修・講演講師も行っている。都内公立教育相談室にて教育相談員兼務。
東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち
「分からない」が怖い。宿泊学習を前に膨らむ不安
現在中学1年生になる息子のトール(ASD/自閉スペクトラム症とADHD/注意欠如多動症)は、「分からない」ことに対して大きな不安を抱くようです。小さい頃はほぼ全ての行動を私と共にしていたからか、その特性で深刻に困ることはありませんでした。
しかし、小学5年生になり、2泊3日の宿泊学習が近づいてくると、状況が変わりました。トールは低学年の頃からこの行事を嫌がっていて、宿泊学習には行きたくないとずっと言っていました。そしていざ5年生になった時に、その気持ちはどんどん大きくなっていったようです。
しかし、小学5年生になり、2泊3日の宿泊学習が近づいてくると、状況が変わりました。トールは低学年の頃からこの行事を嫌がっていて、宿泊学習には行きたくないとずっと言っていました。そしていざ5年生になった時に、その気持ちはどんどん大きくなっていったようです。
具体的に何がそんなに嫌で行きたくないのか聞いてみたところ、「海でのカッター研修(大型ボートをみんなで漕ぐ活動)」や「夜のキャンプファイヤー」が怖いこと、大嫌いな蜂が出るのではないかという懸念、さらには「もし地震が起こったら」という災害への不安があるようでした。トールの正直な気持ちを前にして、私は「まずはその不安を否定せず、丸ごと受け止めることから始めよう」と思いました。
「無理に参加しなくてもいい」母と先生が共有したスタンス
宿泊学習の日が近づくにつれ、トールは毎日のように宿泊学習への不安や不満を口にするようになりました。
特別支援学級の先生とも相談し、宿泊学習に対するストレスのせいで日常生活に支障を来たすくらいなら、宿泊学習には参加しないほうがいいのかもしれないという話にもなりました。
私自身も宿泊学習には無理に参加させる必要はないと考えていました。でも「みんなと一緒に楽しく過ごしてほしい」という願いも捨てきれず、本人の安心材料を増やすために、ギリギリまで試行錯誤してみようと考えました。
特別支援学級の先生とも相談し、宿泊学習に対するストレスのせいで日常生活に支障を来たすくらいなら、宿泊学習には参加しないほうがいいのかもしれないという話にもなりました。
私自身も宿泊学習には無理に参加させる必要はないと考えていました。でも「みんなと一緒に楽しく過ごしてほしい」という願いも捨てきれず、本人の安心材料を増やすために、ギリギリまで試行錯誤してみようと考えました。
家族での「予習」と、先生が提示してくれた安心材料
まずは、宿泊先となる島へ家族で下見に行きました。宿泊施設の中までは入れませんでしたが、「この辺りに泊まるんだね」と話をしながら周辺を散策しました。
学校でも、特別支援学級の先生が安全対策について丁寧に説明してくれたほか、「もしどうしても無理になったら、先生と一緒に別室で待機してもいいんだよ」と伝えてくれました。先生の声掛けで「絶対に参加しなければならない」というプレッシャーが、少しずつ解けていったのかもしれません。
それから、宿泊施設や活動中の写真・映像を見たり、食事の献立や詳細なタイムスケジュールを確認したりするうちに、トールの中で少しずつ「これなら参加できるかもしれない」というイメージが湧いていったようでした。
それから、宿泊施設や活動中の写真・映像を見たり、食事の献立や詳細なタイムスケジュールを確認したりするうちに、トールの中で少しずつ「これなら参加できるかもしれない」というイメージが湧いていったようでした。
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「ダメなら迎えに行く」その一言がお守りに
それでも直前になると不安を口にすることはありました。その度に「もしどうしても無理だったら迎えに行くね」「つらくなったら○○先生のところに行ったら大丈夫よ」などと伝えるようにしていました。「いざとなれば逃げてもいい」という約束が、彼にとってのお守りになったのでしょう。トールは少し安心した表情を見せてくれました。
迎えた本番、トールは全ての行事に問題なく参加し、笑顔で帰宅しました。この時の成功体験が大きな自信になったようで、6年生の修学旅行では、不安はありつつも以前ほど深刻にならずに参加することができました。
迎えた本番、トールは全ての行事に問題なく参加し、笑顔で帰宅しました。この時の成功体験が大きな自信になったようで、6年生の修学旅行では、不安はありつつも以前ほど深刻にならずに参加することができました。
「不安だったけどできた」の積み重ねを支えたい
トールは「初めてのこと」や「よく分からないこと」に直面すると、どうしても大きな不安を感じてしまうことを、改めて実感しました。でも、その不安を乗り越えて「不安だったけどできた」という経験を積み重ねることで、これからもいろんなことに挑戦できるようになっていくのではないかとも思いました。
そのようなトールの経験の積み重ねが、いつか彼の自立を支える力になると信じて、これからも隣で見守り、支えていきたいと思っています。
そのようなトールの経験の積み重ねが、いつか彼の自立を支える力になると信じて、これからも隣で見守り、支えていきたいと思っています。
執筆/メイ
専門家コメント 初川久美子先生(臨床心理士・公認心理師)
トールくんの初めての宿泊学習のエピソードをありがとうございます。初めてのことや見通しのつかないことを不安に感じるお子さんにとって、親元を離れる宿泊学習は大きな挑戦ですね。メイさんは事前に家族で下見して「予習」されたとのこと。下見する方法を取られるご家庭は結構多い印象があります。事前に一巡してあるだけで、どきどきひやひやするよりも、「前に見た」というささやかな安心感が生まれて活動に取り組みやすくなります。また、特別支援学級の先生方が丁寧に説明くださったり、つらくなったらどうするかの対処法を確認してくださったりと見通しを立てつつ、心の準備を進めてこられたのですね。新しいことに挑戦する際は、多かれ少なかれ不安を抱くことがあり、突き放したところでより一層不安になるだけなので、「もしどうしても無理だったら迎えに行くね」といった安心を感じられるような関わりがあったことも奏功したと思います。人は安心していないと挑戦できないので、この一押しは大きかったろうと思います。
さて、実際には全ての行程をこなし、笑顔で帰宅したとのこと何よりです。メイさんが書かれているように、「不安だったけどできた」の積み重ねが大切で、それが次なる挑戦をしてみようという意欲につながります。そういう意味で、保護者や先生方には、お子さんが「不安だったけどできる」ところまで、漠然とした不安を具体的な一つひとつの不安に整理して、それぞれへの見通しを立てたり、予習・練習するなどして自信を持てるようにしたりといった手立てが望まれます。(監修:臨床心理士・公認心理師 初川久美子先生)
さて、実際には全ての行程をこなし、笑顔で帰宅したとのこと何よりです。メイさんが書かれているように、「不安だったけどできた」の積み重ねが大切で、それが次なる挑戦をしてみようという意欲につながります。そういう意味で、保護者や先生方には、お子さんが「不安だったけどできる」ところまで、漠然とした不安を具体的な一つひとつの不安に整理して、それぞれへの見通しを立てたり、予習・練習するなどして自信を持てるようにしたりといった手立てが望まれます。(監修:臨床心理士・公認心理師 初川久美子先生)
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
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