大学生・専修学校生になった発達障害の姉弟。放デイ卒業後の難しさと自立をめざすリアルな日常【読者体験談】

ライター:ユーザー体験談
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大学生、専修学校生になったADHD(注意欠如多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)のある姉弟を育てています。

放課後等デイサービスに通うことで整っていた生活リズム。でも放デイ卒業後、なかなか安定しなくなってしまいました。子どもの自己管理に任せたいけど任せていいものか……。家族で子どもの生活リズムをどう支えているのか、わが家の例をご紹介します。【発達ナビではユーザーさんからの子育てエピソードを募集中!今回は「長期休暇と生活リズム」についてのエピソードをご紹介します】

監修者初川久美子のアイコン
監修: 初川久美子
臨床心理士・公認心理師
東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち
臨床心理士・公認心理師。早稲田大学大学院人間科学研究科修了。在学中よりスクールカウンセリングを学び、臨床心理士資格取得後よりスクールカウンセラーとして勤務。児童精神科医の三木崇弘とともに「発達研修ユニットみつばち」を結成し、教員向け・保護者向け・専門家向け研修・講演講師も行っている。都内公立教育相談室にて教育相談員兼務。
お子様のプロフィール
娘
  • 年齢:現在大学2年生 小学1年生でADHD(注意欠如多動症)、ASD(自閉スペクトラム症) 
  • 診断時期:小学1年生 
  • 性格:おっとりしていて、注意欠如の特性があり、片づけや時間を守ることが苦手 

息子
  • 年齢:専修学校3年生 
  • 診断名:ADHD(注意欠如多動症)、ASD(自閉スペクトラム症) 
  • 診断時期:小学1年生 
  • 性格:多動の特性が強く、こだわりがあり、思い通りにならないと癇癪を起こすことも。パニック障害あり。精神障害者保健福祉手帳2級 

放デイで整っていた生活リズム。卒業後に見えてきた「自分で管理する」難しさ

わが家には、2歳違いの姉弟がいます。2人ともADHD(注意欠如多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)の診断があります。知的発達症(知的障害)はありません。

小学生の頃は、放課後等デイサービス(放デイ)にとても支えられていました。娘が小学4年生、息子が小学2年生の頃から、それぞれ小学校卒業まで放デイを利用していました。

放デイでは、帰ってきたら手を洗う、荷物を片づける、遊ぶ前に宿題をする、というルーティンを繰り返し身につけさせてもらいました。子どもたちは放デイで宿題を済ませて帰ってくることが多く、家で私が「勉強しなさい!」と注意することはほとんどありませんでした。
長期休暇中も、放デイで活動して帰ってくると、夕食、入浴、就寝という流れに入りやすくなりました。水遊びなどで身体を動かして帰ってくる日は、2人ともクタクタで、すぐに寝ついてくれることもありました。

けれど、放デイを卒業してからは、その支えがなくなりました。
「自分で管理する」ことが、こんなにも難しいとは……!
子どもたちはもう10代後半ですが、生活リズムや時間の管理については、今も家族で試行錯誤しています。

大学生・専修学校生になっても、朝起きるハードルは高かった

娘は現在、大学2年生です。大学生活は曜日ごとに登校時間が異なります。さらにアルバイトもしているため、就寝時間が0時から2時を過ぎることもあります。

息子は現在、専修学校3年生です。課題は学校の休憩時間に終えて帰宅するため、家ではほとんど勉強しません。学校では成績優秀で表彰されるほどなので、「勉強しなさい」とは言いづらいところもあります。朝は比較的起きてくれるのですが、就寝時間が遅くなりがちです。

2人とも、年齢的には自己管理を身につけていかなければならない時期です。一方で、親から細かく言われることには抵抗もあり、自己主張する面もあります。なかなか規則正しい生活習慣が続きません。

朝の起床についても、今も毎朝、夫婦で声をかけています。娘はスマートフォンで目覚ましをかけているのですが、自分だけで起きるのはまだ難しいようです。
また、「遅刻しそうになったら、お父さんやお母さんに駅まで送ってもらえばいい」という考えが根底にあるようにも感じます。だからこそ、基本的には「遅刻は自己責任」として、親が安易に送迎しないようにしています。手を貸しすぎれば、本人たちが困る経験をしないままになってしまうからです。

――とはいえ、あまりにも遅刻しそうな日は「声をかけたほうがいいかもしれない」といつも迷ってしまいます。どこまで支え、どこから本人に任せるのか。その線引きの難しさを日々感じています。
どこまで支え、どこから本人に任せるのか、線引きが難しい
どこまで支え、どこから本人に任せるのか、線引きが難しい
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長期休暇は、起床も食事も乱れがち。カップ麺だけで済ませないための工夫

長期休暇中は、起床時間も食事時間も乱れやすくなります。だからこそ、無理に理想通りにしようとするのではなく、今の子どもたちの生活に合わせながら、少しでも整えられる方法を探しています。

以前、子どもたちから「せっかく家にいるのに、作り置きの冷たいお弁当は食べたくない」と言われたことがありました。その気持ちも分かります。家にいるなら、温かいものを食べたいですよね。でも、親がいないと2人が食べるものはいつもカップ麺。親としては、できれば栄養バランスよく食べてほしい……。そこで、「温かいものを食べたい」という子どもたちの気持ちに添いながら、昼食をどう用意するかを考えるようになりました。

私は週3日のパート勤務をしているため、出勤日である水曜日に、夫に在宅ワークをお願いすることにしています。その日は夫が昼食を作り、子どもたちと一緒に食べてもらっています。
夫が在宅ワークをしてくれることで、私自身の安心感もかなり増えました。コロナ禍以降も、家庭の事情で在宅勤務できる仕組みを残してくれている夫の会社には感謝しています。
ただ、夫婦で支えることは大切ですが、いつまでも親がすべてを整えてあげられるわけではありません。少しずつ、本人たちが自分でできることも増やしていく必要があります。

息子については、日曜の夕食にカレーづくりを担当してもらうようにしました。本人の大好物なので、自分なりにアレンジしながら楽しく作ってくれます。そしてそのカレーを、平日の昼食にも食べてもらうようにしました。
今は、レトルトのパスタソースなどほかのレパートリーも検討しているところです。完璧な自炊ではなくても、自分で用意できるものを少しずつ増やしていけたらと思っています。
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「薬を飲むアラームを鳴らしてみる」。本人から出た小さな工夫

また、息子は毎日の服薬が必要なのですが、学校が休みになると、飲み忘れが出てきてしまうことがあります。
先日、家族会議でそのことを話し合いました。すると息子から、
「休みの日には、薬を飲むためのアラームを鳴らしてみる」
という提案がありました。
親が言うだけではなく、本人が自分なりの対策を考えようとしている。小さなことかもしれませんが、私には大きな一歩に感じられました。
現在このアラーム作戦で服薬してもらっています。
「薬を飲むためのアラームを鳴らしてみる」と息子から提案が!
「薬を飲むためのアラームを鳴らしてみる」と息子から提案が!
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「自分でできること」を増やしていってほしい

子どもたちには、折に触れてこう伝えています。
「いつまでも、あなたたちの面倒をみられるわけではないから、自分のことは自分でやれるようにしよう」
早寝・早起き、朝ごはんを食べること、時間を守ること。どれも当たり前のようですが、わが家にとっては簡単なことではありません。長期休暇となると、生活リズムの課題はより見えやすくなります。
けれど、社会に出れば、毎朝きちんと出社することが求められます。自分の健康を自分で守るためにも、生活習慣は大切だと感じています。
いつか子どもたちが、自分の生活を自分で整えられるように。
これからも家族で話し合いながら、少しずつ「自分でできること」を増やしていけたらと思っています。


イラスト/プクティ
※エピソード参考者のお名前はご希望により非公開とさせていただきます。

専門家コメント 初川久美子先生(臨床心理士・公認心理師)

大学生、専修学校生のお子さん方の生活リズム、自己管理等のコラムをありがとうございます。
お子さん方が成長し、できることが増え、どこまでならギリギリ大丈夫なのかも分かってきたからこその日々の綱渡り感があるかもしれないと感じました。

朝起きるのが苦手な子はいますね。18歳を超えて成人になってもなかなか自力では起きられない子がいます(社会人でも苦労している人もいますね)。家族が最後は助けてくれるという安心もあるでしょうが、ご両親からしたら将来が心配に感じることでしょう。
社会人になる、一人暮らしを始めることによってうまくいく場合もあれば、うまくいかず起きられないことでトラブルに至る場合もあります。そういう意味では、就職を考える時期には、朝の苦手さをどうするか、子どもたちが自分事として考えてほしいと思います。誰かが助けてくれるだろうから大丈夫と安易に思うのではなく、朝がさほど早くない会社やフレックス制やコアタイムのある会社、家から近い会社を選ぶなど選び方から工夫できる余地があると思います。

食事も自分で用意できるようになってしまったからこそ、栄養が偏る。これは大学生くらいのお子さんを育てている方では結構心当たりがあるのではと思います。服薬のこともそうですが、家族で話し合ったり、工夫できることを一緒に案出しして、本人が納得したうえで試してみるというのはとてもいい方法です。日曜のカレー係も、服薬のアラームもとてもいい方法だなと思いました。

自分の生活を自分で整えられるように。そのためにできることを具体的に増やしていくことをされていて、何よりです。「もう大人なんだから自分でやりなさい」という抽象的な声かけだけでは、特に特性のあるお子さんだとなかなかできることが増えないように感じます。年齢や生活スタイルに合った、負荷が高すぎないあたりからできることを一緒に考えて、試してみる。そして、できることが増えたら徐々にそこから手を放していくこと。そうした実践をご紹介いただきありがとうございました。(監修:臨床心理士・公認心理師 初川久美子先生)
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。

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このコラムのコメント1件
あいあいさん
2026/06/25 22:33
共感することばかりです。大学1年生ASDの息子は朝起きることも物事の優先順位の立て方も困難です。でも自覚が足りないので自分ではまだ困ってないと思っています。毎朝声かけをしていますが間に合わず欠席することも増えてきて心配ですが、とことん困るまで自分で乗り越えなくてはと思ってくれると信じて、こちらも我慢して手をかけすぎないようにしています。息子の将来の不安を感じずに穏やかな老後を迎えたいです…💦。

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