1歳半健診で再検査。歩かない理由は「足底過敏」?「ゆっくりなだけ」ではなかった現実にショック【体験談】
ライター:くら
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1歳半を過ぎても、まだ歩けなかったたまお。立たせようとしても足が曲がってしまうのです。1歳半健診では再検査となり、その数日後の療育相談では医師にも診てもらうことになったのですが……。
監修: 室伏佑香
東京女子医科大学八千代医療センター 神経小児科
名古屋市立大学大学院 医学研究科 生殖・遺伝医学講座 新生児・小児医学 博士課程
筑波大学医学部卒。国立成育医療研究センターで小児科研修終了後、東京女子医科大学八千代医療センター、国立成育医療研究センター、島田療育センターはちおうじで小児神経診療、発達障害診療の研鑽を積む。
現在は、名古屋市立大学大学院で小児神経分野の研究を行っている。
名古屋市立大学大学院 医学研究科 生殖・遺伝医学講座 新生児・小児医学 博士課程
1歳半健診は再検査に。そして数日後2度目の療育相談へ
コロナ禍ということもあり、1歳半健診は病院での個別受診でした。お医者さまにじっくり診ていただけたのはよかったのですが、家ではできていた指さしや積み木の検査がなく、そこは少し残念でした。
立てなかったこともあり、たまおは1か月後に再検査することになりました。
そして1歳半健診の数日後、2度目の療育相談がありました。この日は、医師も同席してたまおの様子を診てもらえることになっていました。
そして1歳半健診の数日後、2度目の療育相談がありました。この日は、医師も同席してたまおの様子を診てもらえることになっていました。
10分ほど面談し、たまおの様子や今困っていることを話したあと、診察が始まりました。ハンマーのような器具が出てきた時は、思わず「ハンマー!?」とびっくり。先生は足の反射や全身の様子を丁寧に診てくださいました。
そこで医師が言ったのは……
そこで医師が言ったのは……
歩かない背景にあるものは「足底過敏」?
「療育始めてみてもいいかもしれませんね」との医師の言葉。
医師からは足が外側を向いていることや、足裏をつけたがらない様子が気になるといい「足底過敏かな?」と指摘されました。足底過敏とは、足の裏から入る刺激に敏感で、床に足をつけることを不快に感じやすい状態のことだそうです。
医師からは足が外側を向いていることや、足裏をつけたがらない様子が気になるといい「足底過敏かな?」と指摘されました。足底過敏とは、足の裏から入る刺激に敏感で、床に足をつけることを不快に感じやすい状態のことだそうです。
1歳半健診の結果についても聞かれ、1か月後に再検査予定と伝えました。すると、療育とは別に、大きな病院で検査することもすすめられました。
ちゃんと見てもらえるのはありがたい。でも同時に、「やっぱり検査が必要な状態なんだ」と感じて、胸がざわつきました。
ちゃんと見てもらえるのはありがたい。でも同時に、「やっぱり検査が必要な状態なんだ」と感じて、胸がざわつきました。
分かっていたけど……「遅い」と言われると、胸にくるものが……
私も分かっていました。
たまおの発達が、同じ月齢の子よりゆっくりなのかもしれないこと。
歩くことや立つことに、何か苦手さがあるのかもしれないこと。
でも、医師から「通常の発育よりは遅い」と言われた時は、やはり胸にくるものがありました。どこかで「大丈夫ですよ」「少しゆっくりなだけですよ」と言ってほしかったのかもしれません。
たまおの発達が、同じ月齢の子よりゆっくりなのかもしれないこと。
歩くことや立つことに、何か苦手さがあるのかもしれないこと。
でも、医師から「通常の発育よりは遅い」と言われた時は、やはり胸にくるものがありました。どこかで「大丈夫ですよ」「少しゆっくりなだけですよ」と言ってほしかったのかもしれません。
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ショックなだけではない。一方で安堵も……
でもショックなだけではありませんでした。
それまで私は、「どうして歩かないんだろう」と思っていました。でも、筋肉の柔らかさや足裏の感覚の敏感さが関係しているのかもしれないと知り、たまおの行動の見え方が少し変わりました。
歩かないのではなく、歩きにくいのかもしれない。立たないのではなく、立つこと自体が不安定だったり、不快だったりするのかもしれない。あの日の療育面談は、私にとって現実を突きつけられたようで、ショックの大きい出来事でした。けれど同時に、「ああ、これでやっと次の段階へ進める」と、少し安堵したのも事実です。いろいろな気持ちが入り混じった一日でした。
執筆/くら
それまで私は、「どうして歩かないんだろう」と思っていました。でも、筋肉の柔らかさや足裏の感覚の敏感さが関係しているのかもしれないと知り、たまおの行動の見え方が少し変わりました。
歩かないのではなく、歩きにくいのかもしれない。立たないのではなく、立つこと自体が不安定だったり、不快だったりするのかもしれない。あの日の療育面談は、私にとって現実を突きつけられたようで、ショックの大きい出来事でした。けれど同時に、「ああ、これでやっと次の段階へ進める」と、少し安堵したのも事実です。いろいろな気持ちが入り混じった一日でした。
執筆/くら
専門家コメント 室伏佑香先生(小児科医)
1歳半健診や療育相談で、お子さんの発達について指摘された時の状況やお気持ちを共有してくださり、ありがとうございます。健診や診察で現実を突きつけられるように感じる瞬間は本当につらいものですよね。一方で、早めに気づき、必要な評価や支援につながることは、お子さんの育ちを支える大きな力になります。
くらさんのお子さんにこれがそのまま当てはまるわけではありませんが、一般的な『筋肉のやわらかさ』の背景について少しお話ししますね。診察をしていないため、くらさんのお子さんについてもちろん判断はできませんが、「筋肉がやわらかい」という表現は、医学的には筋緊張低下、または低緊張と呼ばれる所見にあたることがあります。筋緊張とは、力を入れていないリラックスした状態でも、筋肉に自然に備わっている「張り」のことです。筋肉は、リラックスをしている時でも、完全に弛緩しているわけではなく、姿勢を保ったり、関節の位置を安定させたりするために、常にある程度の張りを保っています。
これは、ズボンのゴムをイメージすると分かりやすいかもしれません。ゴムを強く張れば硬くなり、動かしにくくなります。反対に、ゴムの張りが弱ければ、やわらかく伸びやすくなります。筋肉も同じように、張りが強すぎると体が硬く動かしにくくなり、これを筋緊張亢進といいます。一方で、張りが弱いと体がやわらかく、関節もぐにゃっと動きやすくなり、これを筋緊張低下といいます(筋緊張低下があると柔軟性が高くなり体がやわらかくなりますが、ストレッチなどのトレーニングをして柔軟性を上げている場合には筋緊張低下の状態とは異なります)。
この筋肉の張り具合は、脳が「どのくらいの張りにするか」を調整しています。そのため、筋緊張低下は、筋疾患などで筋そのものが弱い場合にも生じうるのですが、脳から筋肉への調整がうまく働きにくく、姿勢を保つための張りが弱くなっている状態でも生じます(筋肉に異常がある方は少なく、脳からの調整の問題のほうが多いです)。筋緊張が低いお子さんでは、抱っこした時に体がぐにゃっとしやすい、座る姿勢が崩れやすい、立たせようとしても足で踏ん張りにくい、関節がやわらかく見える、といった様子がみられることがあります。柔軟性が高く見える一方で、姿勢を保ったり、重力に逆らって体を支えたりすることには負担がかかりやすいのです。
健診などで発達が少しゆっくりと思われるお子さんの中には、乳幼児期に筋緊張低下がみられても、成長とともに少しずつ体の使い方が上手になり、最終的には大きな遅れなく育っていくお子さんもたくさんいらっしゃいます。一方で、ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如多動症)などの発達特性に伴って筋緊張の低さや運動面の不器用さがみられることもあります。また、頻度は低いのですが、筋肉や神経の病気や特性など、さまざまな背景を確認するために、打腱器(ハンマーのような器具)での診察などが大切になります。(監修:小児科医 室伏佑香先生)
くらさんのお子さんにこれがそのまま当てはまるわけではありませんが、一般的な『筋肉のやわらかさ』の背景について少しお話ししますね。診察をしていないため、くらさんのお子さんについてもちろん判断はできませんが、「筋肉がやわらかい」という表現は、医学的には筋緊張低下、または低緊張と呼ばれる所見にあたることがあります。筋緊張とは、力を入れていないリラックスした状態でも、筋肉に自然に備わっている「張り」のことです。筋肉は、リラックスをしている時でも、完全に弛緩しているわけではなく、姿勢を保ったり、関節の位置を安定させたりするために、常にある程度の張りを保っています。
これは、ズボンのゴムをイメージすると分かりやすいかもしれません。ゴムを強く張れば硬くなり、動かしにくくなります。反対に、ゴムの張りが弱ければ、やわらかく伸びやすくなります。筋肉も同じように、張りが強すぎると体が硬く動かしにくくなり、これを筋緊張亢進といいます。一方で、張りが弱いと体がやわらかく、関節もぐにゃっと動きやすくなり、これを筋緊張低下といいます(筋緊張低下があると柔軟性が高くなり体がやわらかくなりますが、ストレッチなどのトレーニングをして柔軟性を上げている場合には筋緊張低下の状態とは異なります)。
この筋肉の張り具合は、脳が「どのくらいの張りにするか」を調整しています。そのため、筋緊張低下は、筋疾患などで筋そのものが弱い場合にも生じうるのですが、脳から筋肉への調整がうまく働きにくく、姿勢を保つための張りが弱くなっている状態でも生じます(筋肉に異常がある方は少なく、脳からの調整の問題のほうが多いです)。筋緊張が低いお子さんでは、抱っこした時に体がぐにゃっとしやすい、座る姿勢が崩れやすい、立たせようとしても足で踏ん張りにくい、関節がやわらかく見える、といった様子がみられることがあります。柔軟性が高く見える一方で、姿勢を保ったり、重力に逆らって体を支えたりすることには負担がかかりやすいのです。
健診などで発達が少しゆっくりと思われるお子さんの中には、乳幼児期に筋緊張低下がみられても、成長とともに少しずつ体の使い方が上手になり、最終的には大きな遅れなく育っていくお子さんもたくさんいらっしゃいます。一方で、ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如多動症)などの発達特性に伴って筋緊張の低さや運動面の不器用さがみられることもあります。また、頻度は低いのですが、筋肉や神経の病気や特性など、さまざまな背景を確認するために、打腱器(ハンマーのような器具)での診察などが大切になります。(監修:小児科医 室伏佑香先生)
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
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