現場の力を引き出す「伴走」という支援の形

古川先生は、外部支援者の役割を「伴走」と表現します。

地域外から来た支援者ができることは、現地の人々が被災した経験を口に出せる「安全な場」を提供すること。支援者が「教えてもらう側(聞き手)」になることで、現地の人が主体性を取り戻すきっかけにもなります。

また、子どもを育てる教職員自身が心身ともに健康でなければ、適切な支援は成り立ちません。「支援者を支えるケア」や、「無理をさせない文化」を醸成していくことも、伴走者の重要な役割です。

必死に生きていこうと心に決めた子どもたちを、どうにかして支えていきたい

東日本大震災から15年になる現在でも、3か月に1回程度気仙沼市を訪問しているという古川先生。ペアレント・トレーニングで関わった保護者の方からたびたびお礼の手紙をもらったり、震災を乗り越えた高校生が「必死に生きていこうと心に決めました」と書き綴る作文を読ませてもらったりするたびに、こう思うそうです。

『必死に生きることを決めた子どもたちを、どうにかして支えることができたら』
『それならあともう1年、支援頑張ろう』


災害時の発達支援や家族支援は、現地のニーズを徹底的に尊重し、保護者の声に耳を傾け、子どもが安心できる環境を周囲の大人たちと一緒に少しずつ整えていくこと。その地道な「伴走」こそが、最も確かな支援になるということ。15年もの間支援を続ける古川先生による、温かで強い思いの伝わるお話でした。
被災地支援15年で見えた学校現場のリアル。被災地における発達障害児の支援とは?【第73回日本小児保健協会学術集会レポート】の画像
兵庫県立大学 看護学部 教授 古川 恵美先生
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
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