旅先での「もう帰る!」は子どものSOS。事前に出来る工夫とは

ライター:林真紀
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発達障害のある息子はとても疲れやすく、特に新しい場所に出かけたときなどは短時間で「疲れた。おうちに帰りたい…」と真っ青になってしまいます。そんな彼を「甘ったれている」と思ってイライラした時期もありました。でも、それは違ったのです。

お出かけ中に息子がかならず言う「疲れた」の一言

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我が家の家族でのお出かけでよく親を悩ませたのは、息子の「疲れた」。

家族みんなが楽しめるように、何日も前からプランニングして、お金もたくさん使って決行したのに、到着して数時間も経たないうちに息子が真っ青になって「疲れた」「僕、おうちに帰りたい」と言い出すのです。

日帰りならまだしも、泊まるつもりで宿を手配しているときなど、この息子の「疲れた」は本当に頭が痛いものです。

「もうおうちに帰る……」「でも今日はホテルなんだよ」

「ホテルなんて無理だよ……」と言い合っているうちに、夫が怒ってドカーン!

「帰りたいなら一人で帰れ!!!」と怒鳴って、家族全員が暗い雰囲気に…。

なので私は、夫が「今度の連休は○○に泊まりに行こうか」と言うたびに、気持ちが重くなってしまいます。

「疲れた」は不安と感覚過敏によるもの

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最初の頃は、私は息子がわがままで「疲れた」と連発しているのかと思っていました。

もう身体に力が入らないようで、座り込んでしまう息子。

20キロ近くある息子をおんぶしながら旅程をこなすも、「私がこうやって甘やかしてしまうからこの子はこんなにわがままなのかな……」と悩みました。

しかし、真っ青な顔で脱力している息子を見ると、どうも彼の疲れは単なるわがままではないように見えました。

そう思いながら息子の行動を観察していて、ひとつ分かったことがあります。
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それはまず、初めての環境が苦手で、不安感からパニックになって座り込んでしまうということ。

ホテルに泊まる場合はますます大変で、いつもと違う場所で寝ることが不安のピークになっていたのでした。

そしてもう一つ。

発達障害の子は感覚過敏の子が多く、特に聴覚や触覚が過敏だったり(または逆に鈍感だったり)して、お出かけ先の刺激に激しく疲れてしまう場合があるのです。

子どもがたくさんいるテーマパークのような場所は、息子にとって最も疲労が大きく感じられる場所のようでした。

子どもの声の刺激はもちろん、人が多いことによる視覚の刺激、そして順番待ちが苦手な息子は順番待ちのストレスもあります。

私が思っていた以上に息子は様々な刺激に翻弄され、さらには新しい場所に対する不安感も加えられ心身ともに短時間でエネルギーを消耗してしまう状態だったということが分かりました。

我が家のお出かけ対策

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息子の疲れやすさを考慮して、我が家では以下のような対策を取ることにしました。

1.旅行のスケジュールは腹四~五分目

せっかく遊びに来たのだから思いきり楽しみたい!という気持ちは少しお預けです。スケジュールは余裕を持たせて、夜遅くまで出歩くようなこともないようにします。

夕方には宿についてゆっくりできるぐらいのスケジュールを組みます。日帰りの場合は夕方には自宅に帰ることができるようにします。

2. 「家族みんな一緒」に拘らない

息子の疲れやすさに気を遣っていると、上の娘の不満がどんどん溜まっていきます。発達障害児の兄弟姉妹は何かと我慢しているケースが多いです。

家族みんな一緒というスタイルに拘らず、娘と私(あるいは娘と夫)の二人だけで行動し、息子には休んでいてもらうようにしたりします。

3. 環境調整

宿泊の場合は必ず息子が気に入っているおもちゃや本は全部持っていきます。かなりの分量になることがありますが、気にしません。

多少環境が違っても、いつも遊んでいるおもちゃがあると落ち着いていられることが多いです。

4. 順番待ちが少ない場所を選ぶ

多動がある息子は、順番待ちが何度も何度もあるとそれだけで体調を崩してしまいます。

メジャーなテーマパークでなくとも子どもは楽しんでくれますので、なるべく順番待ちが少ない場所を選びます
次ページ「連休は、一工夫で家族全員楽しもう!」

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