療育の先生と子どもの相性、すぐに決めつけていませんか?

療育の先生と子どもの相性、すぐに決めつけていませんか?のタイトル画像

発達障害と分かり、さあ療育を受けさせようというとき。ところが担当の先生のやり方になんだか物足りなさを感じることはよくあることだと思います。我が家もそんなことが何度かありました。

45aa4582 4461 48a9 95b7 a72f7c4c6368 s
林真紀
28219 View

療育スタート…でも先生との相性が悪い?!

発達障害の診断を受けると、特に就学前の子どもに対しては早期療育が勧められることが多いです。
我が家の息子も3歳後半で発達障害の診断を受け、4歳になったタイミングで病院のリハビリテーションセンターで言語療法を受けるように言われました。

言語療法は一回一時間ほど、月に一度のペースで受けています。
療育が始まった頃の息子はコントロール不可能な状態で、リハビリテーションセンターという初めての場所に大パニックになり、足腰が悪いおじいさんやおばあさんが沢山いる部屋で大暴れをしてしまいました。

そのことがきっかけで、「安全管理のため療育待ちの時間は子どもはリハビリテーションセンターには入らないこと」という院内規定まで出来てしまう始末で、本当に病院には申し訳ないことをしたと思います。

そんな状態の息子でしたから、担当の先生との「相性」どころではありませんでした。

よく同じ発達障害の子どもを持つお母さんたちと療育について話をすると、「先生との相性が悪かったからすぐに変えてもらった」とかいう話題が出るものです。
ところが我が家の場合は、飛び回り、大声をあげて抵抗する息子を前に、担当の先生も目を丸くしている状態だったのです。

「子どもとの相性を見る」なんて生易しいものではありませんでした。

「プロの先生なのに、どうして?」という不安

療育がスタートしたものの、とにかく息子は一筋縄ではいきません。
ちょっとチャレンジが要求されることに対しては、すぐに「やらなーい」「やだー」と言い出すし、外から救急車の音が聞こえるたびに離席して窓の外を眺めに飛んでいってしまいます。

私はそういう息子の特性はよく分かっていたつもりでしたが、段々と担当の先生に対する不安と不満が高まってきたのです。

「この先生、プロなのになぜ息子をコントロールできないの…?私の声かけのほうがずっと息子が言うこと聞くんだけど…。大丈夫なのかな」と。

回を重ねるごとに不安はどんどん高まっていき、「息子の大事な時間は過ぎていく…。子どもの成長は待ってくれない。担当を変えてもらったほうがいいのではないか?」と、焦りはじめました。

私が家庭教師をしていたとき…

当初は、療育への不安と不満が顔に出ていたと思います。
「大丈夫なのだろうか」「これでいいのだろうか」、そんなことで頭がいっぱいでした。

しかし、私の頭によぎったのは、学生時代に経験した、家庭教師として子どもに勉強を教えた時のことでした。

それこそ「一筋縄ではいかない子ども」も沢山教えました。教え始めるとすぐに眠ってしまう子、出来ない問題は一切やりたがらない子、母親や家族に対して罵声を浴びせる子…。

最初は「もうダメだ。この子とはやっていけない」と思っていましたが、少しずつ子どもの行動のパターンや性格が見えてきて、辛抱強く付き合っていくうちにペース配分や教え方が見えてくる…、私はそんな経験をたくさんしていたのです。

そう、「相性」なんて初めから決まっているものではないのです。

お互いのことを知り、「相性」を築き上げるには時間がかかるのです。

先生も生徒のパターンを学び、生徒も先生のパターンを学び、お互いベストなパターンを作り上げていくのです。

私はそんな経験を沢山していたからこそ、不安でいっぱいになりながらも「よし、もう少し待ってみよう。委ねてみよう」と考え直すことができました。

そしてある日、ふと気づいたのです。

息子は相変わらず態度は良いとは言えないけれども、救急車のサイレンが聞こえてきても離席をしなくなっている。先生の質問をきちんと聞き、しっかり答えるようになっている。

そして、息子と担当の先生の間には、なんとも言えない温かな信頼関係が生まれ始めていたのです。

「すぐに」ではなく信じて待っていよう

発達障害の子どもを育てるとき、いつも親は試されます。

なぜなら「待つ」ことが大事な子育てだからです。

何をするにも時間がかかります。他の子どもがいとも簡単にできることが、なかなか出来なかったりします。

でも、焦らずに見守ることが、発達障害の子どもを育てるうえで何よりも大事なことだと思っています。

場所に慣れるのも、人にも慣れるのも、時間がかかる子どもたちです。人と信頼関係を結ぶのも、人一倍時間がかかってしまいます。でも療育では、先生との信頼関係を結ぶことが大きな学びになるのです。

難しい子どもとの「相性」を築き上げるのも時間がかかります。療育の先生とのやり取りに対しても、焦らずに「ちょっと待ってみよう。委ねてみよう」という気持ちで見守ってみませんか。
当サイトに掲載されている情報、及びこの情報を用いて行う利用者の行動や判断につきまして、正確性、完全性、有益性、適合性、その他一切について責任を負うものではありません。また、掲載されている感想やご意見等に関しましても個々人のものとなり、全ての方にあてはまるものではありません。
あわせて読みたい関連記事

あわせて読みたい関連記事

発達障害のキホンを知る

発達障害のキホンを知る

【図解】発達障害とは?もし「発達障害かも」と思ったら?分類・原因・相談先・診断についてイラストでわかりやすく解説します!のタイトル画像

【図解】発達障害とは?もし「発達障害かも」と思ったら?分類・原因・相談先・診断についてイラストでわかりやすく解説します!

発達障害は外見からはわかりにくい障害です。定義や特徴も複雑で、イメージしにくいかもしれません。この記事ではイラスト図解で、発達障害にはどん...
発達障害のこと
51083 view
2018/08/28 更新
ADHD(注意欠陥・多動性障害)とは?症状の分類と年齢ごとの特徴 、診断方法や治療まとめのタイトル画像

ADHD(注意欠陥・多動性障害)とは?症状の分類と年齢ごとの特徴 、診断方法や治療まとめ

ADHDは不注意、多動性、衝動性の3つの症状がみられる発達障害のひとつです。注意欠如・多動性障害とも呼ばれます。子どもの20人に1人、成人...
発達障害のこと
4406074 view
2017/08/30 更新
自閉症スペクトラム障害(ASD)とは?年代別の特徴や診断方法は?治療・療育方法はあるの?のタイトル画像

自閉症スペクトラム障害(ASD)とは?年代別の特徴や診断方法は?治療・療育方法はあるの?

自閉症スペクトラム障害(ASD)とは、自閉症やアスペルガー症候群などが統合されてできた診断名です。コミュニケーションに困難さがあり、限定さ...
発達障害のこと
2137267 view
2016/09/29 更新
【図解】学習障害(LD)とは?イラスト図解でポイントを解説!のタイトル画像

【図解】学習障害(LD)とは?イラスト図解でポイントを解説!

学習障害(LD)がある子どもはどのような状態で、何に困っているのかご存知ですか?イラスト図解とポイント解説で、学習障害とはどんな障害なのか...
発達障害のこと
26728 view
2018/09/06 更新
放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

コラムに対する投稿内容については、株式会社LITALICOがその内容を保証し、また特定の施設、商品及びサービスの利用を推奨するものではありません。投稿された情報の利用により生じた損害について株式会社LITALICOは一切責任を負いません。コラムに対する投稿内容は、投稿者の主観によるもので、株式会社LITALICOの見解を示すものではありません。あくまで参考情報として利用してください。また、虚偽・誇張を用いたいわゆる「やらせ」投稿を固く禁じます。「やらせ」は発見次第厳重に対処します。