療育の先生と子どもの相性、すぐに決めつけていませんか?

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発達障害と分かり、さあ療育を受けさせようというとき。ところが担当の先生のやり方になんだか物足りなさを感じることはよくあることだと思います。我が家もそんなことが何度かありました。

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療育スタート…でも先生との相性が悪い?!

発達障害の診断を受けると、特に就学前の子どもに対しては早期療育が勧められることが多いです。
我が家の息子も3歳後半で発達障害の診断を受け、4歳になったタイミングで病院のリハビリテーションセンターで言語療法を受けるように言われました。

言語療法は一回一時間ほど、月に一度のペースで受けています。
療育が始まった頃の息子はコントロール不可能な状態で、リハビリテーションセンターという初めての場所に大パニックになり、足腰が悪いおじいさんやおばあさんが沢山いる部屋で大暴れをしてしまいました。

そのことがきっかけで、「安全管理のため療育待ちの時間は子どもはリハビリテーションセンターには入らないこと」という院内規定まで出来てしまう始末で、本当に病院には申し訳ないことをしたと思います。

そんな状態の息子でしたから、担当の先生との「相性」どころではありませんでした。

よく同じ発達障害の子どもを持つお母さんたちと療育について話をすると、「先生との相性が悪かったからすぐに変えてもらった」とかいう話題が出るものです。
ところが我が家の場合は、飛び回り、大声をあげて抵抗する息子を前に、担当の先生も目を丸くしている状態だったのです。

「子どもとの相性を見る」なんて生易しいものではありませんでした。

「プロの先生なのに、どうして?」という不安

療育がスタートしたものの、とにかく息子は一筋縄ではいきません。
ちょっとチャレンジが要求されることに対しては、すぐに「やらなーい」「やだー」と言い出すし、外から救急車の音が聞こえるたびに離席して窓の外を眺めに飛んでいってしまいます。

私はそういう息子の特性はよく分かっていたつもりでしたが、段々と担当の先生に対する不安と不満が高まってきたのです。

「この先生、プロなのになぜ息子をコントロールできないの…?私の声かけのほうがずっと息子が言うこと聞くんだけど…。大丈夫なのかな」と。

回を重ねるごとに不安はどんどん高まっていき、「息子の大事な時間は過ぎていく…。子どもの成長は待ってくれない。担当を変えてもらったほうがいいのではないか?」と、焦りはじめました。

私が家庭教師をしていたとき…

当初は、療育への不安と不満が顔に出ていたと思います。
「大丈夫なのだろうか」「これでいいのだろうか」、そんなことで頭がいっぱいでした。

しかし、私の頭によぎったのは、学生時代に経験した、家庭教師として子どもに勉強を教えた時のことでした。

それこそ「一筋縄ではいかない子ども」も沢山教えました。教え始めるとすぐに眠ってしまう子、出来ない問題は一切やりたがらない子、母親や家族に対して罵声を浴びせる子…。

最初は「もうダメだ。この子とはやっていけない」と思っていましたが、少しずつ子どもの行動のパターンや性格が見えてきて、辛抱強く付き合っていくうちにペース配分や教え方が見えてくる…、私はそんな経験をたくさんしていたのです。

そう、「相性」なんて初めから決まっているものではないのです。

お互いのことを知り、「相性」を築き上げるには時間がかかるのです。

先生も生徒のパターンを学び、生徒も先生のパターンを学び、お互いベストなパターンを作り上げていくのです。

私はそんな経験を沢山していたからこそ、不安でいっぱいになりながらも「よし、もう少し待ってみよう。委ねてみよう」と考え直すことができました。

そしてある日、ふと気づいたのです。

息子は相変わらず態度は良いとは言えないけれども、救急車のサイレンが聞こえてきても離席をしなくなっている。先生の質問をきちんと聞き、しっかり答えるようになっている。

そして、息子と担当の先生の間には、なんとも言えない温かな信頼関係が生まれ始めていたのです。

「すぐに」ではなく信じて待っていよう

発達障害の子どもを育てるとき、いつも親は試されます。

なぜなら「待つ」ことが大事な子育てだからです。

何をするにも時間がかかります。他の子どもがいとも簡単にできることが、なかなか出来なかったりします。

でも、焦らずに見守ることが、発達障害の子どもを育てるうえで何よりも大事なことだと思っています。

場所に慣れるのも、人にも慣れるのも、時間がかかる子どもたちです。人と信頼関係を結ぶのも、人一倍時間がかかってしまいます。でも療育では、先生との信頼関係を結ぶことが大きな学びになるのです。

難しい子どもとの「相性」を築き上げるのも時間がかかります。療育の先生とのやり取りに対しても、焦らずに「ちょっと待ってみよう。委ねてみよう」という気持ちで見守ってみませんか。
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