偏食の激しい息子にとって、食事の時間は苦痛そのものでした。

朝食ではトースト1枚食べるのに40分もかかり、わずかな夕食は1時間半かけて食べていました。

家族もイライラを募らせてしまいますし、何より息子にとってすごくストレスだった食事の時間でした。

視覚優位の息子は、物事を口頭で伝えるよりも文字で箇条書きにした内容を見せた方が理解がはやいため、普段は可能な限り文字にして伝えることにしています。

そのため、外出時も様々なカードを作って持ち歩いているのですが、療育の先生にそのカードをお見せしたところ、「こんなカードをご存知ですか？」と子どものやる気を引き出してくれる「パワーカード」を教えてくれました。

アイリーサ・ギャニオン氏が提唱するパワーカードは、

(1)短いシナリオ

(2)名刺サイズのカード(パワーカード)

という2つの要素で構成されています。

(1)短いシナリオとは

・子どもが憧れているヒーローやヒロインが、問題解決を試みて成功するような楽しいストーリーを作成し、子どもが真似できそうなステップを書きだしておく。

(2)パワーカードとは？

・何が問題で、どのように解決すれば良いかを簡潔に書きだす。


こんなことで本当に息子の食事に対する姿勢が変わるのか、半信半疑でしたが、藁にもすがる思いでシナリオとパワーカードを作成しました。

その結果、本当に息子の食事時間が大幅に短縮されたのです。

親の指導は聞き飽きていても、憧れのヒーローの行動ならば真似をしたい、少しでも近づきたいという心理が働くのかもしれません。

どのお子様にも効果があるのかどうかはわかりませんが、我が家流のシナリオ＆パワーカードを紹介したいと思います。

息子向けに作成したのは、「キョウリュウジャーがご飯を食べる時に気つけていること」というシナリオです。
まずシナリオを作成し、一緒に読んだり、読み聞かせたりします。

「キョウリュウジャーは、食事をとても大切にしています。

なぜなら、しっかりと食べることで、体が大きく強くなることを知っているからです。

苦手なおかずもありますが、いろいろな食べ物から栄養をとることで、健康になることを知っているので、残さず食べるようにしています。

健康でなければ楽しい毎日を過ごすことはできませんし、いざというときに、弱い人を守ることができないからです。

キョウリュウジャーは、清潔に食事をすることに決めています。

ご飯やおかずを落とすと、部屋が汚れ、周りの人にも迷惑がかかるので、食べ物がこぼれないように、気をつけて口に運んでいます。

おかずが大きすぎて食べられない時は、「小さくカットしてください」と周りの人に助けを求めることにしています。

口の周りに汚れがつかないように気を付けていますが、汚れてしまった時には、すぐにティッシュで拭くようにしています。

清潔に食べることは、とても大切なことです。

キョウリュウジャーは、30分でご飯を食べることにしています。

だらだら食べていると、「あっという間にお腹が膨らんでしまう」ことを知っているからです。

お腹が膨らんでしまうと、必要な栄養をとることができません。お口の中の食べ物がなくなったら、すぐに次の食べ物を口にいれることにしています。

そうすると、テーブルに一人だけ残って食べることもなくなります。手と口を清潔に洗ってから、好きなことをして過ごすことができます。

キョウリュウジャーは、全国のお友達にも同じように「食事を大切にしてもらいたい」と思っています。

（１）体を大きく強くするために、残さずにいろんなおかずを食べること

（２）手や口、部屋を汚さずに清潔に食べ、汚れたらティッシュで拭くこと

（３）おかずや大きすぎる時は、周りの人に助けを求めること

（４）30分以内に食べ終え、清潔にしてから遊ぶこと

これを守れば、君もキョウリュウジャーみたいに、カッコ良くなれるぞ！！」