今日から数回に分けて、『発達障がいとトラウマ』という本をご紹介したいと思います。
私がこれまでご紹介してきたいくつかの本の中にも書かれていたことですが…。
発達障害は脳の生まれつきの特性によるものではありますが、現在、発達障害とみなされている子どもたちの中には、別の原因によって発達障害のような症状を呈している子どもたちが結構隠れているのではないか…ということについて、この本でも大変分かりやすく書いて下さっています。
発達障害のお子さんを育てていらっしゃる保護者の方はもちろん、医療関係者、教育者の他、いきるちからのような療育施設で勤務をしているスタッフ、特に児童発達管理責任者の方にご一読頂きたい内容だと感じました。
今日はまず、第一章の中から、私がとても大切だと思った個所をご紹介します。
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発達障がいの最初の原因は「生まれつき」だとしても、その特徴が顕在化するプロセスでは、「育ちの環境」からも、大きな影響を受けているのです。
一方、強すぎるトラウマを経験したり、養育者から十分な世話や保護を受ける機会がなかったりして、育ちの環境が極端に劣悪だった場合には、そのこと自体も、発達障がいと同等な問題を生じさせ得るということが分かってきました。
(略)
「生まれつき」の発達障がいによる問題と、「育ちの環境」でトラウマによって発生した問題の両方が、混在しているということもあります。
たとえば、臨床実践の現場からは、虐待の被害が原因でトラウマを経験した子どもたちの多くが、「発達障がい」としての診断にも該当する状態であった、という指摘があります。
つまり、生まれつきの発達障がいによる問題が、トラウマの影響で増幅され、解決の難しい重度の困りごとを抱えていたのです。
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如何でしょうか。
この可能性については、私も数年前からとても強く抱いているものです。
ご興味がある方は、「チャウシェスクの子どもたち」あるいは「The English and Romanian Adoptee Study」というキーワードで検索されたり、『子ども虐待という第四の発達障害(杉山登志郎著/学習研究社)』という本をご参照ください。
虐待というのは、私たちがすぐにイメージする「折檻」的なことだけを指しているのではありません。
子どもたちが必要とする愛情や養育をきちんと受けられないことも、ある意味、虐待という概念に含まれているように思います。
今は共働きが一般的ですし、また、シングルマザーなど、お一人でお子さんを育てておられるご家庭も多いですよね。
核家族化が進み、頼れる親族も身近にいなかったり、或いは、いたとしても頼れない事情があったりするかもしれません。
そんな中、お母さんがお一人で色んなことをしょい込み過ぎざるを得ない状況に長い間置かれてしまったら、お母さん自身が壊れてしまうこともあるでしょう。
特に、発達障害グレーゾーンのように「見てわかる」障害ではない場合、周りからの理解も得られず、お母さんが孤立してしまうことも多いと思います。
真面目で一生懸命で責任感が強く我慢強いお母さん。
あなたはとても素晴らしい人です。尊敬に値する人です。
でも、頑張りすぎてご自身を壊してしまっては、元も子もないんです。
だから、「私がもっと頑張らなくては!」「これは、私の責任だから」と、「~ねばらなない」「~すべき」という考えにとらわれ過ぎず、少し肩の力を抜いて、「エイヤッ!」と周りを頼ってしまいましょう。
他所と違うこと、他人と違うことは、ごく当たり前のことです。
誰かに助けを求めることは、別に恥ずかしいことでも何でもありません。
きっと初めはとても勇気の要ることだと思います。
でも、大丈夫です。
障害を持つお子さんと関わることを仕事として選んだ人たちはみんな、あなたの大切なお子さんを一緒に育てていきたいと願っているはずです。
夫にも、親にも理解してもらえず、孤軍奮闘している方がおられたら、追いつめられる前にどうか、役所の相談窓口、女性相談窓口、もちろん、いきるちからも含めた療育施設へ相談してみて下さい。
あなたの愛するお子さんが、あなたのストレスの捌け口になってしまう前に、どうか周りに助けを求めて下さい。
お母さんとお子さんのどちらもが不幸になってしまう前に、100点満点を目指さず、子育てを楽しめる余裕を持てるように、周りを巻き込んで楽になって下さい。
皆さんの大切なお子様の育ちに関わらせて頂いていること、本当に嬉しく思っています。
私たちは日々、皆さんのお子様からたくさんのものを受け取らせて頂いています。
素敵なお子さんを生み育てて下さり、そして私たちが「子育て」の一翼を担わせて頂けていることに、心から感謝しています。
お子さんとご家族の皆さんが、温かい愛で満たされますように。
ご家庭が、安らぎの場でありますように。
今日の担当は、YELLOWでした。(*˘︶˘人)
子育てを頑張っているあなたへ
コラム
23/09/04 17:03