特性を抱えるお子さまを持つお母さま(Aさん)に、お子さまが生まれてから今までの出来事と療育についてお話を聞かせていただきました。
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緊急帝王切開で出てきた彼の表情は、いつも豊かで笑顔も多かったことを今でも思い出します。このあと発達面で特性が現れてくるとは思ってもみなかったくらいです。
最初の4か月はすぐに起きてしまい家族全員が寝不足。夫が睡眠確保のため帰ってこないことが増え、母は情緒不安定になっていました。5、6か月目からは頭蓋矯正治療を開始。睡眠時、左右に動きやすかった頭をヘルメットで固定したことで、ようやく子も親も寝られるように。
生後7か月目で集団生活の保育園に入所。0歳児から高熱をよく出す子でした。中耳炎にも悩まされ続け、それに加え1歳6か月頃からは発語の少なさ、日常癇癪にも不安を感じ、最初は保育園の先生に相談。各々の個性を大切にする園であるので、その時は「個性」として見守っていくことに。
2歳になり、育てにくさをより強く感じ始め、2歳3か月辺りから保育園でお友達をよく噛むようになりました。2歳6か月検診で地元の小児科へ発達面を相談。発語が5-6語しかない原因が耳や脳の影響であった場合、一日も早い段階で医療の介入が必要とのことで大きな病院(国立成育医療研究センタ ー)で診てもらうことに。2歳9か月で初診。聴力検査に異常はなし。初診時の先生は彼のことを診て、「できることもあるので自閉っぽくないんだよな~」と頭を抱えておられました。自閉じゃないんだ、と安堵したのも束の間、その二か月後にK式発達検査・SRS-2・感覚プロファイル検査短縮版・ADOS-2を受け、結果がでた3歳1か月で「自閉スペクトラム症(中度)」のグレー診断。その後、定期的に受診し、親の心のケアもしていただいています。
我が子の診断を受け、やっぱりなと思うのと同時に、この子が一生この特性を抱えたまま社会の荒波に耐えていけるのかが不安で仕方なく、この日から毎晩お酒を飲むようになりました。
2023.9月(3歳0か月)の段階では「言語発達遅滞:現在も有意語はなく、また言語理解にも有意な遅滞を認めており、療育の介入が必要な状態である。」という診断であったため、そちらで受給者証の申請をし、2023.10月から療育でお世話になっています。
初日は、どっと疲れたのか夕飯も好きなものしか食べず、ソファーでTVを観ながら19時台には寝てしまいました。そこから週3日ずつ療育・保育園に通っています。通所1-2か月で発語が増えていることに喜びを感じましたが、通所3か月目で一定時間座る練習が始まると自傷行為をするように。指噛みや口腔内を噛みちぎり布団や服が血だらけになることもありました。
その月は、療育後、いつも情緒不安定になっていました。このまま通わせて良いものか悩んだ時期でもありました。ですが、今、親として一番伝えたいことは「療育や医療の介入はとにかく凄い」ということです。
特性のある子に、祖父母から伝わる子育て論で子育てをしていても、結果、親も子も苦しむだけです。
療育にお世話になるまでは、怒りに任せた育児をすることも多く、日々そのことに後悔し、子を寝かしつけながら涙し、行動を改めるも、また同じことをする、の繰り返しでした。今思うと、怒られてばかりの息子が一番辛いですよね。彼が困っている事を、誰にも理解されなかった訳ですから。親として一番反省しています。
療育という専門のサポートを受けることで、今は、我が子の育て直しをしていただいている気持ちでおります。
また、療育と保育園が連携をとってくださっていることで、彼の短期目標・長期目標を明確にし、それを達成できるだろう環境を整えてもらっています。通所6か月で、気づいたらベビーカーや電動自転車、自動車なしで、この子と手をつないで買い物ができるようになっていました。それまでは、電車や線路をみると、改札を通るまで癇癪を起していた子が、「今日は電車に乗りません、買い物をします」と簡潔に伝えるだけで「今日、電車ブブーだね」と気持ちを切り替えてくれます。うちの子の場合は、行動を起こす前に簡潔に説明をする、この反復で癇癪が軽減される子だということを知りました。
また、今までは電気のスイッチ・ドライヤーや鼻の吸引機のコンセント・エレベータのボタンなど、本人以外が先に行動に移すだけで癇癪を起していましたが、6か月経過した今では劇的に軽減されています。
かといっても、うちの子は視覚が優先しやすく転導性の高い子ですので、まだまだ落ち着きはありません。今後、良い注目を増やしていく必要があります。そういった課題を、期間を設け訓練して頂いています。
こちらの療育は言語聴覚士がいらっしゃいます。当初、すぐにでも言語聴覚士の指導を受けさせたかったのですが、発語も言語理解もままならない子にすぐ言語聴覚士をつけるのではなく、社会性を育むための土台作りを経て、一定の成長がみられた後に行うことが大切なのだと気づかされました。
関係機関で我が子の相談をしていく中で、「発達に特性(問題)があると診断をうけてしまうと、子供のキャリアに傷がつく」「うちの子に限ってそんなことはない、これは個性です」という親御さんの気持ちに触れることもあります。
実際、母も、彼には早い段階で幼児教室に通ってもらい、願わくは私立の小学校で勉強をしてもらいたいと思っていました。ですが、この診断をうけ、今後は、就学にあたり普通学級・支援学級・特別支援学級という話になろうかと思います。
現段階で普通学級に行かせることを目指してはいますが、この「普通」に行かせることがこの子にとって幸せなことなのか。今の段階では正直答えが出ません。
この子がその場所で「楽しく学べるか」、また、そこが「居心地のいい場所なのか」、が一番なのではと考えることもあります。親として、この子を隠すことはしたくありませんので、彼の心に寄り添いながら居場所を決めていきたいと思っています。
療育・保育園の連携など、周りの理解があるおかけで、本人がこの後、様々な選択の場で、生きやすい道を選んでいけるような心が育めると信じ、今後も療育・保育園・医療機関のサポートを受けていきたいと思います。
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Aさん、本当に貴重なお話を聞かせていただき誠にありがとうございました。
お子さまのことでお悩みのお母さま・お父さま!どうぞ児童発達支援はぴねす烏山に気軽にご相談ください。
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はぴねす烏山(児童発達)
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特性を抱えるお子さまとの「今まで」と「これから」
教室の毎日
24/04/23 17:09