1. 運動遅滞とは？

運動遅滞とは、同年齢の子どもと比べて運動発達がゆっくり進んでいる状態を指します。
具体的には以下のような動作が遅れ気味になることがあります。

粗大運動：歩く、走る、ジャンプ、階段の昇降

微細運動：はさみ、積み木、スプーンやお箸の使用

原因はさまざまで、筋力不足、バランス感覚の未発達、感覚処理の偏り、低緊張、発達障害、早産などが関係する場合もあります。

2. 運動遅滞の子への療育の基本方針
2-1. 段階を細かく分けて成功体験を積む

いきなり難しい動きを求めるのではなく、
「立つ → 一歩踏み出す → 数歩歩く → 軽く走る」といったように、ステップを細かく区切ることが大切です。

2-2. 感覚統合遊びを取り入れる

感覚統合とは、視覚・聴覚・触覚・前庭感覚（バランス感覚）などを統合し、体をうまく動かすための脳の働きです。
運動遅滞の子には、以下のような感覚統合遊びが効果的です。

平均台やバランスストーンでのバランス遊び

回転イスやトランポリンでの回転刺激

綱引きや押し相撲などの押す・引く動作

2-3. 生活動作とリンクさせる

療育は遊びだけでなく日常生活の中でも実践できます。

階段の上り下り（移動ついでに筋力アップ）

洗濯物を運ぶ（バランス＋腕力）

おもちゃの片付け（しゃがむ・立つ動作）

3. 家庭でできる運動遅滞の療育遊び
目的 遊び例 ポイント
バランス感覚 クッション渡り 柔らかい素材で安全確保
筋力強化 トンネルくぐり 手足で支える力を育てる
協調運動 ボールキャッチ 柔らかく大きめのボールから
微細運動 ピンセット遊び 指先の力と集中力をアップ
4. 保護者が注意すべきポイント

他の子と比較しすぎない

無理なフォームの押し付けは避ける

医療機関や専門職（理学療法士など）に相談する

5. まとめ

運動遅滞の子への療育は、ただ運動を繰り返すだけではなく、
感覚・筋力・バランス・協調性を総合的に育てることが大切です。
家庭でも遊びや生活動作を通して、楽しみながら「できた！」という成功体験を積み重ねることで、運動能力は少しずつ伸びていきます。