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ことばが出ない要因と発達障害の関係

ことばが出ない要因と発達障害の関係(全6回)

ことばの発達は、脳や耳の機能、周囲の環境、性格などさまざまな要因に左右されます。
多くの場合は個人差の範囲内ですが、中には発達障害や聴覚の問題など、早期に専門的支援が必要なケースもあります。

一方で、難聴や環境要因、性格など発達障害以外の理由で遅れることもあります。
大切なのは、「何が原因か」を早めに見極めることです。
原因によって支援方法は大きく異なるため、気になる場合は健診や発達相談を活用し、専門家の評価を受けることが安心につながります。

発達障害による言語発達の特徴(ASD・知的発達症・言語発達遅滞など)
ASD(自閉スペクトラム症)の場合、言葉そのものよりも「相手とやり取りすること」への関心が弱く、指差しやアイコンタクトといった非言語的コミュニケーションも乏しい傾向があります。

知的発達症では、全般的な発達のペースがゆっくりで、ことばの理解・表出の両方に遅れが見られます。
言語発達遅滞(SLI/DLD)は、知的発達や聴覚には問題がないのに言葉の発達のみが遅れる状態で、語彙や文法の習得が同年代より遅いのが特徴です。

これらはいずれも「待てば自然に出る」とは限らず、早期に言語聴覚士による支援や日常での意図的な関わりが必要です。
特性を理解し、その子に合わせたペースや方法で言葉を引き出すことが、発達の土台づくりにつながります。

発達障害以外の原因(難聴・環境要因・双子・性格など)
難聴は、軽度でも言語発達に大きな影響を与えます。
特に中耳炎を繰り返す場合や生まれつきの聴覚障害がある場合は、音の入力が不十分となり、発語が遅れることがあります。

環境要因では、周囲の会話が少ない、テレビや動画視聴が多く一方的な音刺激が中心、といった状況でことばの経験が不足することがあります。
また、双子やきょうだい間では、互いの身振りや声で通じ合ってしまい、発語の必要性を感じにくくなるケースもあります。

さらに、おっとりした性格や慎重な気質の子は、発語よりも観察や理解を優先する傾向があり、話し始める時期が遅く見えることもあります。
これらの場合でも、放置せず観察と適切な刺激を続けることが大切です。

複合要因で遅れが出るケース
実際には、ひとつの原因だけでなく複数の要因が重なって言葉の遅れが生じることが少なくありません。
例えば、軽度の聴覚障害がある子がASDの特性も併せ持つ場合、音の聞き取りとコミュニケーションの両面で困難が生じ、発語がさらに遅れることがあります。

また、発達障害の特性に加えて、家庭での会話量が少ない、保育環境が合わないなどの環境要因が加わることもあります。
複合要因の場合、片方の問題だけを支援しても十分な効果が得られないため、医療・療育・家庭の連携が不可欠です。多角的な評価と支援により、少しずつでも安定した成長を目指すことができます。

つづく
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