うちの子、どうしてこうなの?
無理に「普通」に合わせなくていい理由
〜自閉スペクトラム症の脳の仕組み〜
毎日のお子さんのサポート、本当にお疲れ様です。
「どうしてこんな行動をするんだろう?」
「私の言っていること、伝わってないのかな…」
お子さんと接する中で、そんな風に悩んだり、すれ違いを感じたりすることは少なくないと思います。
それはお母さんの育て方のせいでも、お子さんの性格のせいでもなく「脳のネットワークの作りの違い」から来ているものなのです。
今日は、自閉スペクトラム症(ASD)のお子さんの「脳の特性」について、お伝えしたいと思います。
この仕組みを知ることで、これからの療育選びや、お子さんとの関わり方が少し楽になるかもしれません。
〜脳の中は「複雑な路線図」〜
私たちの脳の中には、たくさんの神経細胞があり、それらが線路のように繋がってネットワークを作っています。東京駅や大阪駅のような大都市の駅を想像してみてください。たくさんの路線が入り組んで、あっちへ行ったりこっちへ行ったりしていますよね。脳の中も、あんな風に神経のネットワークが張り巡らされています。
赤ちゃんは、成長するにつれてこのネットワークをどんどん複雑にしていきます。まるでアミダくじのように線路が増えていくのです。
「じゃあ、ネットワークが複雑になればなるほど頭が良くなるの?」と思いますよね。
実は、不思議なことに脳は、ある時期を過ぎるとせっかく作った複雑なネットワークをあえてシンプルに戻していくのです。
〜社会性を育てるための「シナプスの刈り込み」〜
生後8ヶ月頃から10歳頃にかけて、脳は増えすぎた神経(シナプス)を減らしていきます。これを「シナプスの刈り込み」と呼びます。
伸びすぎた庭木を剪定したり、美容室で髪の毛をすいてボリュームを減らしたりするのと同じイメージです。
なぜ、そんなことをするのでしょうか?
それは、「社会性を育てるため」です。
脳のネットワークが複雑すぎると、一人で色々なことを深く考えられる反面、自分の複雑な思考を「他人に伝える」ことが難しくなってしまいます。社会の中で周りの人とコミュニケーションを取り、共通の理解を持つためには、ある程度考え方を「平均化(シンプルに)」する必要があるのです。
定型発達のお子さんの脳は、こうして社会性を育てるために、自らネットワークを整理整頓していきます。
〜自閉スペクトラム症のお子さんの脳で起きていること〜
では、自閉スペクトラム症のお子さんの脳はどうでしょうか。
実は、この「シナプスの刈り込み」が行われる割合がとても少ないことが分かっています。
つまり、複雑な神経ネットワークがそのまま多く残っている状態なのです。
ネットワークが整理(刈り込み)されないということは、社会性やコミュニケーションの力が育ちにくい、ということに繋がります。
「人の気持ちを想像するのが苦手」「思ったことをそのまま口に出してしまう」といったお子さんの特性は、決してワガママではなく、この「刈り込みが少なく、ネットワークが複雑なままの脳の仕組み」から来ているのです。
社会の中で生きていく上では苦労することもありますが、その反面、特定の分野で非凡な才能や、素晴らしい集中力を発揮することもあります。これは「どちらが良い・悪い」ではなく、「脳の作りそのものが違う」ということなのです。
〜無理に「普通」に合わせる療育はNG〜
10歳頃になると、この脳のネットワークの構築(刈り込み)はほぼ終わります。
ここでとても大切なことをお伝えします。
自閉スペクトラム症のお子さんの脳を、定型発達の脳に変えることは医学的に不可能です。
ですから、お子さんを無理やり定型発達の「普通」の枠にはめ込もうとしたり、できないことを強制させたりするような療育や関わり方は、あまり効果がありません。
それどころか、子どもの頃は大人の力で無理やり言うことを聞かせられたとしても、大きくなった時に大きなストレスとなり、思わぬ二次障害(ひずみ)となって表れてしまう危険性があります。
未来を壊してしまうのではなく、未来を作るための療育を選ぶこと。
お子さんを「定型発達の社会にどう押し込むか」ではなく、「この子の特性に合った環境や、社会との折り合いの付け方をどう探すか」という視点が、何よりも大切になります。
「理解できなくて当たり前」から始めよう
脳の作りが違うのですから、定型発達の親御さんが、お子さんの世界をすべて理解しようとしても、それは難しくて当然です。
「なんでこんなことするの!?」と理解できなくて普通なのです。
まずは、「理解できなくて当たり前なんだ」と認めてあげることから始めてみませんか。
「この子にはこの子の世界があり、この子の脳の働きがあるんだな」と、その世界を否定せずに見守ってあげること。
問題行動に見えることも、「この子の脳の中では、どんな理由があってこの行動になっているんだろう?」と想像してみること。
完全に理解することはできなくても、「理解しようと寄り添う姿勢」を持つだけで、お子さんはきっと安心し、救われるはずです。
お子さんはお子さんのままで大丈夫。
お互いの「違い」を認め合いながら、親子で笑顔になれる妥協点を、少しずつ一緒に見つけていけたらと思います。
療育センターエコルド はぐみのおうち
理学療法士 内山明奈
無理に「普通」に合わせなくていい理由
〜自閉スペクトラム症の脳の仕組み〜
毎日のお子さんのサポート、本当にお疲れ様です。
「どうしてこんな行動をするんだろう?」
「私の言っていること、伝わってないのかな…」
お子さんと接する中で、そんな風に悩んだり、すれ違いを感じたりすることは少なくないと思います。
それはお母さんの育て方のせいでも、お子さんの性格のせいでもなく「脳のネットワークの作りの違い」から来ているものなのです。
今日は、自閉スペクトラム症(ASD)のお子さんの「脳の特性」について、お伝えしたいと思います。
この仕組みを知ることで、これからの療育選びや、お子さんとの関わり方が少し楽になるかもしれません。
〜脳の中は「複雑な路線図」〜
私たちの脳の中には、たくさんの神経細胞があり、それらが線路のように繋がってネットワークを作っています。東京駅や大阪駅のような大都市の駅を想像してみてください。たくさんの路線が入り組んで、あっちへ行ったりこっちへ行ったりしていますよね。脳の中も、あんな風に神経のネットワークが張り巡らされています。
赤ちゃんは、成長するにつれてこのネットワークをどんどん複雑にしていきます。まるでアミダくじのように線路が増えていくのです。
「じゃあ、ネットワークが複雑になればなるほど頭が良くなるの?」と思いますよね。
実は、不思議なことに脳は、ある時期を過ぎるとせっかく作った複雑なネットワークをあえてシンプルに戻していくのです。
〜社会性を育てるための「シナプスの刈り込み」〜
生後8ヶ月頃から10歳頃にかけて、脳は増えすぎた神経(シナプス)を減らしていきます。これを「シナプスの刈り込み」と呼びます。
伸びすぎた庭木を剪定したり、美容室で髪の毛をすいてボリュームを減らしたりするのと同じイメージです。
なぜ、そんなことをするのでしょうか?
それは、「社会性を育てるため」です。
脳のネットワークが複雑すぎると、一人で色々なことを深く考えられる反面、自分の複雑な思考を「他人に伝える」ことが難しくなってしまいます。社会の中で周りの人とコミュニケーションを取り、共通の理解を持つためには、ある程度考え方を「平均化(シンプルに)」する必要があるのです。
定型発達のお子さんの脳は、こうして社会性を育てるために、自らネットワークを整理整頓していきます。
〜自閉スペクトラム症のお子さんの脳で起きていること〜
では、自閉スペクトラム症のお子さんの脳はどうでしょうか。
実は、この「シナプスの刈り込み」が行われる割合がとても少ないことが分かっています。
つまり、複雑な神経ネットワークがそのまま多く残っている状態なのです。
ネットワークが整理(刈り込み)されないということは、社会性やコミュニケーションの力が育ちにくい、ということに繋がります。
「人の気持ちを想像するのが苦手」「思ったことをそのまま口に出してしまう」といったお子さんの特性は、決してワガママではなく、この「刈り込みが少なく、ネットワークが複雑なままの脳の仕組み」から来ているのです。
社会の中で生きていく上では苦労することもありますが、その反面、特定の分野で非凡な才能や、素晴らしい集中力を発揮することもあります。これは「どちらが良い・悪い」ではなく、「脳の作りそのものが違う」ということなのです。
〜無理に「普通」に合わせる療育はNG〜
10歳頃になると、この脳のネットワークの構築(刈り込み)はほぼ終わります。
ここでとても大切なことをお伝えします。
自閉スペクトラム症のお子さんの脳を、定型発達の脳に変えることは医学的に不可能です。
ですから、お子さんを無理やり定型発達の「普通」の枠にはめ込もうとしたり、できないことを強制させたりするような療育や関わり方は、あまり効果がありません。
それどころか、子どもの頃は大人の力で無理やり言うことを聞かせられたとしても、大きくなった時に大きなストレスとなり、思わぬ二次障害(ひずみ)となって表れてしまう危険性があります。
未来を壊してしまうのではなく、未来を作るための療育を選ぶこと。
お子さんを「定型発達の社会にどう押し込むか」ではなく、「この子の特性に合った環境や、社会との折り合いの付け方をどう探すか」という視点が、何よりも大切になります。
「理解できなくて当たり前」から始めよう
脳の作りが違うのですから、定型発達の親御さんが、お子さんの世界をすべて理解しようとしても、それは難しくて当然です。
「なんでこんなことするの!?」と理解できなくて普通なのです。
まずは、「理解できなくて当たり前なんだ」と認めてあげることから始めてみませんか。
「この子にはこの子の世界があり、この子の脳の働きがあるんだな」と、その世界を否定せずに見守ってあげること。
問題行動に見えることも、「この子の脳の中では、どんな理由があってこの行動になっているんだろう?」と想像してみること。
完全に理解することはできなくても、「理解しようと寄り添う姿勢」を持つだけで、お子さんはきっと安心し、救われるはずです。
お子さんはお子さんのままで大丈夫。
お互いの「違い」を認め合いながら、親子で笑顔になれる妥協点を、少しずつ一緒に見つけていけたらと思います。
療育センターエコルド はぐみのおうち
理学療法士 内山明奈