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非対称性緊張性頸反射(ATNR)(原始反射シリーズ)

〜非対称性緊張性頸反射(ATNR:Asymmetrical Tonic Neck Reflex)〜


非対称性緊張性頸反射は、乳幼児期に見られる原始反射の一つです。
この反射は、赤ちゃんの成長過程で非常に重要な役割を果たしますが、一定の時期(生後4〜6ヶ月頃)を過ぎても残っている(未統合である)場合、その後の運動発達や学習面にさまざまな影響を及ぼすことがあります。

〜ATNRとはどのような反射か?〜
ATNRは、赤ちゃんの顔を左右どちらかに向けたときに起こる反応です。

• 反応の出方:
顔を向けた側の腕と脚が伸び、反対側の腕と脚が曲がります。その姿がフェンシングの構えに似ていることから「フェンシング姿勢」とも呼ばれます。
• 役割:
お腹の中にいるときから存在し、産道を通るのを助けたり、出生後に目と手の協調(自分の手を見つめる)を促したりする役割があります。
未統合(残存)している場合の影響
通常は生後半年までに脳の成長とともに「統合」され、意識的な動きに代わっていきます。
しかし反射が強く残っていると、自分の意志とは無関係に体が動いてしまうため以下のような影響が出ることがあります。



1. 運動面への影響
• 正中線の越境が困難:
体の真ん中(正中線)を越えて反対側のものを取ったり、左右の手を一緒に使う作業が苦手になります。

• 寝返りやハイハイの妨げ:
顔を向けると手足が勝手に伸び縮みするため、スムーズな寝返りや、左右交互に手足を動かすハイハイがしにくくなります。

• バランス感覚:
自転車に乗る際、左右を確認しようと顔を向けるとハンドルを持つ腕が伸びてしまい、バランスを崩しやすくなることがあります。


2. 学習・視覚面への影響
• 目と手の協調:
手元を見ながら字を書く際、顔を動かすと腕に力が入ったり動いたりしてしまうため、書字に多大なエネルギーを消費します。

• 追視の困難:
目で物を追う際、顔の向きに釣られて手や体も動こうとするため、本を読むときに一行飛ばしてしまったり、どこを読んでいるか見失いやすくなります。


3. 日常生活への影響
• 姿勢の保持:
机に向かって座っているとき、横を向くたびに手足が反応してしまうため、じっと座っているのが苦痛に感じたり、姿勢が崩れやすくなります。
• 食事の動作:
お皿を見ようと顔を向けると、腕が伸びてスプーンを口に運びにくくなるなどの影響が出ることがあります。


〜統合を促すための視点〜
ATNRの統合を助けるには、「顔の向きとは無関係に体を動かす経験」を積むことが有効です。

• 正中線での遊び:
体の真ん中で両手を合わせる、おもちゃを左右の手で持ち替える。
• クロスパターン運動:
右手で左膝を触るなど、体の左右を交差させる動きを取り入れる。
• 追視のトレーニング:
首を固定した状態で、目だけで動くものを追う練習。


このように、反射を「抑え込む」のではなく、適切な運動遊びを通じて脳と体のネットワークを再構築していくアプローチが一般的です。

「不器用」「落ち着きがない」「姿勢が悪い」と見えがちな姿の裏には、こうした原始反射の影響が隠れていることが少なくありません。お子さん自身も「一生懸命やっているのに、なぜかうまくいかない」と葛藤している場合があります。
はぐみのおうちでは、お子さんが「楽しい!」と夢中になれる遊びを通して、自然な形で反射の統合を促すサポートを行っています。



療育センターエコルド はぐみのおうち
理学療法士 内山明奈
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