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「可逆」

教室の毎日
2月号で、1歳半頃に、「ベットで足から降りる」「すべり台で階段を使う」など、向きや位置を変えれる(=可逆1)調整が芽生えることを紹介しました。この時期の調整は、自分を軸とした行為の調整であり、次に待つ相手や状況といった他者軸に合わせて気持ちの向きを変える調整(=可逆2)を得とくするには、このあと数年のあゆみを要します。
田中昌人(京都大学)という先生は、自分を軸にした調整を「~ではなく~」とよび、相手や状況を軸に置いた調整を「~だけれども~」という表現で紹介されています。決まり事、生活ルールといった他者軸に対する調整が始まるこの時期(≒4歳)が、集団生活のルールや諸課題に向き合う幼稚園の就園年齢にあたっているのもうなずけます。それは、自分の感覚で行動する世界から、状況にあわせて行動できる世界へのわたりの時期からくるものですが、今日では、幼稚園も、プレとしてその時期に向けた通園指導が広がりつつあるようです。
この「~だけれども~」モードを獲得するには、生理的な昼夜の確立、家庭と日中活動の違いへの適応、食事・排泄・更衣・その他の生活行為の理解、設定活動の課題の意味と実行スキルの充実と同時に、要求⇔促し⇔称賛などの相互交渉や生活行為を通した自意識、上手くいくことと上手くいかないことの経験の中での気持ちの調整力、調整できたことの達成感と自信の高まりなどが必要です。そうした生活と日中活動の経験の積み重ねを確認していくことは、児童発達支援に欠かせない課題だと思います。

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