こどもの初めての指さしを発見した時は、今まで手にしたことのない新しいモノをくれたような不思議な魅力があります。こどもの心の中で何かがうごきはじめているという期待と、近づきつつある「伝え合いの世界」への予感でしょうか。
こどもの指さしは、「一人指さしと伝達的指さし」(宮津寿実香:保育学研究第56巻)があるといわれます。一般に、「伝達的指さし」は、その前提として、共同注意(大人が指さした方を見る)の存在が強調されます。注意の共有ともいいますが、キッズでも対面してあそんでいるこどもに、「あれ?」とか「あっ!」「○○だ!」と何かを指さすと、一緒にそちらを向いてくれる…そんなしぐさですね。あいてのしぐさに心(注意)を寄せるはたらきであり、ことば・コミュニケーション学習の大切なポイントであるばかりでなく、生活を上手にこなしていくために必要なアイテムとも言えます。あそびや生活行為でのスタッフとのかかわり合いの楽しい積み重ねが元になるのだと思います。宮津先生は、伝達的指さしの時期に先立って、一人指さしがはじまるとされています。キッズでも、伝達の気持ちが込められた指さしが始まる前に、絵本を見ることが増え、自分の気持ちの中で「~だ」と確認するような一人指さしがよくみられます。この時期は、自己確認の邪魔にならないように気を配りながら、指差しの後にこちらの顔をみてくれることを期待しつつ、「○○だね」と確認の共有に向かいます。合わせて、指さしに引かれて心が伸び立つように、人差し指を1本、他の指から独立して伸ばす手助けもしながら伝達の機会へと導くようにしています。
指さしの妙
教室の毎日
21/12/28 15:08