物をあるものに入れる、物を決まった場所に合わせる、ということができるようになることは、その後の成長に欠かせない行為になります。くつをくつ箱にいれることや、おもちゃをおもちゃ箱に入れるような行為をさして、療育では「定位的調整」(聞きなれない)と呼びます。この定位的調整は、こうした整頓の場面だけではなく、おなべに蓋を合わせるままごとあそびや(道具的)、積み木積み(操作的)、「ちょうだい」と差し出した掌にものをおいてくれる社会的行為としてあらわれます。
大切なのは、こうした定位的調整の奥で動き始めた心のうごきです。この頃のこどもの心には、同時に2つのイメージ(2つの世界)が同居します。「くつと靴箱」あるいは「おもちゃと入れ物」など、2つを同時に心に描けるようになったこどもは、歯ブラシを見ると歯磨きを思い、絵と実物とがつながるなど、関連づけやマッチングができるようになります。それまでは、「くつ」は履くこと以外の何物でもなく、気にいらないものは放る、泣くというように、一度に1つのイメージで心がいっぱいなのです。そして、この時期に達したこどもは、2つをイメージする力を介助者と共有する(「三項関係」)作業を通して3つ目の世界-ことばの世界-の扉を開きます
<きめられた場所に置く>
教室の毎日
20/03/28 16:00