わざとなの?いいえ。子どものその回答、ちゃんと理由があるんです。
ライター:鈴木希望
発達障害の子どもの質問攻め、揚げ足をとっているの?あまのじゃくなの?そう感じたことはありませんか。もちろん本人は揚げ足取りのつもりはなく、素朴に疑問を抱いているだけ。それならこちらも攻めの姿勢で行けば楽しめるかも!?……なんて考えるのはわたしも発達障害だからですかね?
「だって、何分までは聞かなかったじゃん!」
息子・ハルは4歳の誕生日を迎える少し前、時計に興味を持ち、読み方を覚えたいと夢中になっていました。
ハル:「ハルは時計がわかるようになりました。
だから、のん(私のことを息子はのんと呼びます)、ごはんつくっているときとか、時間を知りたくなったら、ハルに聞いてください」
困った母から頼られる状況を作りたい様子で、台所に置いていたデジタル時計をいそいそと撤去。
ならばと思い、ある日の夕方、晩ごはんを作りながら質問してみました。
わたし:「ハル、今何時かなあ?」
ハル:「えっとね、5時!」
わたし:(……ん?帰宅したのが5時前後だったから、もっと経っていると思うけどなあ)
時計を確認すると、5時45分。
わたし:「あれ、5時45分だね」
ハル:「だってのん、何時かしか聞かなかったじゃん。何分かは聞かれていないから、言わなくていいと思ったよ」
…そうか、そうだよな。
わたし:「じゃあ次からは何分かも聞くね」
ハル:「ハルは時計がわかるようになりました。
だから、のん(私のことを息子はのんと呼びます)、ごはんつくっているときとか、時間を知りたくなったら、ハルに聞いてください」
困った母から頼られる状況を作りたい様子で、台所に置いていたデジタル時計をいそいそと撤去。
ならばと思い、ある日の夕方、晩ごはんを作りながら質問してみました。
わたし:「ハル、今何時かなあ?」
ハル:「えっとね、5時!」
わたし:(……ん?帰宅したのが5時前後だったから、もっと経っていると思うけどなあ)
時計を確認すると、5時45分。
わたし:「あれ、5時45分だね」
ハル:「だってのん、何時かしか聞かなかったじゃん。何分かは聞かれていないから、言わなくていいと思ったよ」
…そうか、そうだよな。
わたし:「じゃあ次からは何分かも聞くね」
「なんとなく分かるでしょ?」が難しい。理解力がないわけじゃない。
気を抜くと、うっかり「何時?」だけになってしまうわたし。そのたびにいちいち訂正。さすがに息子もパターンが読めてきた模様。
ハル:「何時か聞かれたら、何分かも答えなくちゃダメなの?」
わたし:「ダメって決まりはないけど、そういう場面が多いと思うよ」
ハル:「でもさあ、何分か聞かれてないのに、何分か答えたほうがいいって、どうしてみんな気付づけるの?」
…だよなあ、気付かないよなあ。
「みんながそうしているから」「なんとなく」でルールを覚えることは、アスペルガー当事者にとって難しいことなのです。
理解力がないわけではありません。
何がどういう理由でそのようになったのか、きっちり説明をしてもらえたら飲み込めます。
わたし:「1分だったら“ぷん”だけど、2分だったら“ふん”でしょ?もしかしたら『何時何分?』って聞いたときに『あれ?今は“ぷん”じゃなくて“ふん”だから、なんて答えればいいのかな?』って思う人もいるかも知れないよね。
でも『何時なんぷん?もしくは、なんふん?』は長いから『何時?』って質問に、何分かまでまとめて答えるようにしたんじゃない?誰が決めてどう広まったかは知らないけど」
ちょっと苦しい理屈かな、息子はわかってくれたかな、ドキドキ。
ハル:「そっか!」
晴れやかな笑顔を見せてくれて、たいそう安心したものです。
ハル:「何時か聞かれたら、何分かも答えなくちゃダメなの?」
わたし:「ダメって決まりはないけど、そういう場面が多いと思うよ」
ハル:「でもさあ、何分か聞かれてないのに、何分か答えたほうがいいって、どうしてみんな気付づけるの?」
…だよなあ、気付かないよなあ。
「みんながそうしているから」「なんとなく」でルールを覚えることは、アスペルガー当事者にとって難しいことなのです。
理解力がないわけではありません。
何がどういう理由でそのようになったのか、きっちり説明をしてもらえたら飲み込めます。
わたし:「1分だったら“ぷん”だけど、2分だったら“ふん”でしょ?もしかしたら『何時何分?』って聞いたときに『あれ?今は“ぷん”じゃなくて“ふん”だから、なんて答えればいいのかな?』って思う人もいるかも知れないよね。
でも『何時なんぷん?もしくは、なんふん?』は長いから『何時?』って質問に、何分かまでまとめて答えるようにしたんじゃない?誰が決めてどう広まったかは知らないけど」
ちょっと苦しい理屈かな、息子はわかってくれたかな、ドキドキ。
ハル:「そっか!」
晴れやかな笑顔を見せてくれて、たいそう安心したものです。
質問は存分に。ためらっても誰も得をしないから。
どうして一つひとつ答える事にしているのか、それはわたし自身の経験にあります。
わたしは質問ばかりしてる子どもでした。
みんなと同じように「なんとなく、みんなそうだから」と理解することが難しかったのです。
そのうち周囲からは「いちいち細かい」「理屈っぽい」と疎まれ始め質問することをためらうようになりました。次第にできないことも増え、性格も卑屈になる一方でした。
質問をしないことは、結果的に自分にとっても周りにとっても、メリットが一切ないんですよね。
そういった経験があるためか、我が家ではこんな会話が日常的になっているのです。
一方で、「世の中のみんなからそういう対応をしてもらえるわけじゃない。答えてもらえないことに慣れさせた方がいい」という意見を聞くこともあります。
確かにその通りで、自分のやり方について迷いがないとは言い切れません。
ただ、息子の質問に一つひとつ答えていくと「こういう考え方ものあるのか」と理解し、別の場面で上手に対応している姿をみると
あながち間違ったやり方でもないような気がしています。
…今のところ。
わたしは質問ばかりしてる子どもでした。
みんなと同じように「なんとなく、みんなそうだから」と理解することが難しかったのです。
そのうち周囲からは「いちいち細かい」「理屈っぽい」と疎まれ始め質問することをためらうようになりました。次第にできないことも増え、性格も卑屈になる一方でした。
質問をしないことは、結果的に自分にとっても周りにとっても、メリットが一切ないんですよね。
そういった経験があるためか、我が家ではこんな会話が日常的になっているのです。
一方で、「世の中のみんなからそういう対応をしてもらえるわけじゃない。答えてもらえないことに慣れさせた方がいい」という意見を聞くこともあります。
確かにその通りで、自分のやり方について迷いがないとは言い切れません。
ただ、息子の質問に一つひとつ答えていくと「こういう考え方ものあるのか」と理解し、別の場面で上手に対応している姿をみると
あながち間違ったやり方でもないような気がしています。
…今のところ。