ASD(自閉スペクトラム症)の診断基準

専門機関を受診し、問診とコミュニケーション能力・言語の発達を調べるための知能検査・心理検査などを行います。施設によってはMRIで脳の器質的な病気がないか調べたり、脳波を検査しててんかんなどの併存症がないか調べる場合もあります。ASD(自閉スペクトラム症)の診断基準には、アメリカ精神医学会の『DSM-5-TR』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版 改訂版)が使われており、検査結果から総合的に判断します。

専門機関での診断は受けるべき?どこへ行けばいいの?

ASD(自閉スペクトラム症)かもしれないと思ったら、まずは専門機関で相談を

ASD(自閉スペクトラム症)かな?と感じることがあったとしても判断に困ったり、なかなか受診へ踏み切ることができない場合もあると思います。

ですが、適切なサポートを受けられないまま生活していると、最も困りごとに直面するのは本人です。また、ASD(自閉スペクトラム症)の症状には個人差があります。まずは、気になる症状や困りごとなどがある場合、または子育てや生活を送っていく中で何か不便を感じる場合、年齢に関係なく早めに身近な専門機関へ相談されることをおすすめします。

少しでも早く本人の特性に気づいてあげれば、フォローして困難の乗り越え方を手助けすることも可能になりますし、できるだけ生活しやすい環境を整えてあげることもできるかもしれません。それには親や家族で抱え込まず、専門家や周りの人たちの協力を得ながら、その子にあったやり方で接することが大切です。

特にASD(自閉スペクトラム症)は小さい時からその方に合った療育を行うと、才能を最大限に発揮することのできる障害であることに加えて、生活面でもちょっとしたことを気をつけるだけで、本人や家族のストレスを軽減することができます。

いきなり専門医に行くことは難しいので、まずは無料で相談できる身近な専門機関の相談窓口を利用するのがおすすめです。早めに相談し、ASD(自閉スペクトラム症)に対して正しい知識を付けることが重要です。家族で試行錯誤をして対処法を見つけていくよりも、専門機関に相談し色々な方法を教えてもらった方が、時間もかかりませんし、ストレスも少なくすみます。必要であれば医療機関を紹介してもらうこともできます。子どもか大人かによって、行くべき機関が違うので、以下を参考にしてみてください。

【子どもの場合】
・保健センター
・子育て支援センター
・児童発達支援事業所 など

【大人の場合】
・発達障害者支援センター
・障害者就業・生活支援センター
・相談支援事業所 など

医療機関はどのようなところへ行けばいいの?

身近な相談センターに行って相談し、ASD(自閉スペクトラム症)の疑いがあり、診断を希望すればそこから専門医を紹介してもらえます。自宅の近くに相談センターがない場合には、電話での相談にのってくれることもあります。ASD(自閉スペクトラム症)を含む発達障害の専門の医療機関は他の病気に比べると少ないですが、発達障害者総合支援法などの施行によって年々増加はしています。

医療機関での診断は、子どもの場合は、専門外来のある小児科、脳神経小児科、児童精神科などで行われることが多いです。また、18歳以上の場合は一般的に精神科や心療内科などで診断がなされます。しかし、ASD(自閉スペクトラム症)を診療できる専門の医療機関はまだまだ少ないのが現状です。また、保健センターなどでは知能検査や適応能力を診断する検査を受けられるところもあります。

医療機関で診断を受けるかどうか、決めるのは本人やご両親の判断となりますが、専門機関で相談し、すすめられた場合は、ぜひ医療機関に行き医師に相談しましょう。診断を受けてASD(自閉スペクトラム症)だった場合は今後どのように対応していけばいいか聞くことができますし、仮にASD(自閉スペクトラム症)でなくとも普段の行動を見直すきっかけになると思います。

以下のリンクは発達障害の診療を行える医師の一覧です。
日本小児神経学会 「発達障害診療医師名簿」
https://service.kktcs.co.jp/smms2/c/jscn/ws/jscn/List.htm?t=https://www.childneuro.jp/themes/childneuro/relation/licenselist_dd.html

診断の流れ、当日準備していくものは?

医療機関では、専門医の問診とさまざまな検査を総合してASD(自閉スペクトラム症)かどうか診断されます。何度か診察を重ね、慎重にASD(自閉スペクトラム症)かどうかが判断される場合が多いようです。

発達障害を診断できる医療機関はまだ数が多くないこともあり、予約をして初診までに1ヶ月以上かかることもあります。それまでの間に問診票を渡されて記入し、初診の時に持っていく場合もあるので、予約を入れた時に必要なものを問い合わせましょう。基本的には専門機関の指示に従ってください。

何も指示がなかった時は、どのようなことが問題だと思うのかを伝えるために、今まで記録してきた日記や、問題や気になる行動があればメモにまとめたり携帯で動画を撮って持っていくなど、普段の生活で気になることを、医師に伝えやすいように準備をしていきましょう。
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