ASD(自閉スペクトラム症)の診断・検査の内容は?【専門家監修】

ライター:医師・専門家監修|発達障害・支援のキホン
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出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=28174008633

家族や自分自身が「もしかしたらASD(自閉スペクトラム症)かな?」と思うことはあると思います。ASD(自閉スペクトラム症)の症状に気づき、早期に医療機関や専門機関に行くことが支援や早期治療のきっかけになります。受診・検査のことなどをまとめてみました。家族やご自身がASD(自閉スペクトラム症)かな?と思った時に参考にしてください。

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監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。
目次

ASD(自閉スペクトラム症)とは

発達障害の種類と概念図
発達障害の種類と概念図
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ASD(自閉スペクトラム症)は、「対人関係や社会的コミュニケーションの困難」と「特定のものや行動における反復性やこだわり、感覚の過敏さまたは鈍麻さ」などの特性が幼少期から見られ、日常生活に困難を生じる発達障害の一つです。知的障害(知的発達症)を伴うこともあります。幼少期に気づかれることが多いといわれていますが、症状のあらわれ方には個人差があるため就学期以降や成人期になってから社会生活において困難さを感じ、診断を受ける場合もあります。

以前は「自閉症」という診断名が用いられていましたが、アメリカ精神医学会発刊の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)において自閉的特徴を持つ疾患が統合され、2022年発刊の『DSM-5-TR』では「自閉スペクトラム症」という診断名になりました。この記事では以下、ASD(自閉スペクトラム症)と記載しています。
自閉症とは、①他人との社会的関係の形成の困難さ、②言葉の発達の遅れ、③興味や関心が狭く特定のものにこだわることを特徴とする発達の障害です。その特徴は、3歳くらいまでに現れることが多いですが、小学生年代まで問題が顕在しないこともあります。中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定されています。(出典:自閉症・情緒障害とは|文部科学省)
出典:https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/mext_00807.html
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ASD(自閉スペクトラム症)とは?専門機関や診断基準を解説【専門家監修】

ASD(自閉スペクトラム症)の特徴的な2つの症状

ASD(自閉スペクトラム症)は3歳頃までに主な症状や特性が現れ、成長するにつれいろいろな症状が顕著になります。以下に2つの代表的な症状を説明します。

対人関係や社会的コミュニケーションの困難

ASD(自閉スペクトラム症)のある方は、対人関係を築くことが苦手なことが多いです。

具体的な特徴としては、
・目線を合わすことができない
・周囲に関心がないように見える
・相手の気持ちが分からない
・その場の空気が読めない
・人の話したことをオウム返しする
・抽象的な言葉・比喩や皮肉の意味を理解できない
・呼んでも反応しない
・自分の話したいことだけ一方的に話す
などが挙げられます。

ASD(自閉スペクトラム症)のある方は、会話をしていても目を合わすことが苦手なことがあり、無理に視線を合わせようとすると落ち着きがなくなったり、パニックになってしまう場合もあります。また、環境の変化を敏感に感じることが苦手なため、対人関係に困難につながることがあります。

特定のものや行動における反復性やこだわり、感覚の過敏さまたは鈍麻さ

ASD(自閉スペクトラム症)の方はある一定の行動をとったり、感覚に偏りがある傾向があります。

具体的な特徴としては、
・落ち着きがなく、手を動かしたり、部屋の中を行ったり来たりする
・毎日決まった行動をし、予定外の行動は取れない
・1つのものに執着する
・自分の興味があるものに対して、とても執着する
・予定外のできごと・初めての人/場所/活動などに抵抗を示す
・感覚刺激に対する過敏さまたは鈍感さ、感覚刺激への並外れた興味がある

などが挙げられます。

ASD(自閉スペクトラム症)の人は、自分の興味のあることに対してとことん熱中する傾向があります。なので、自分の興味のある物事をとことん調べ、誰も教えていないのに専門家顔負けの知識を持っている方も珍しくありません。
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手を動かす・ジャンプをするなど、ずっと同じ行動を繰り返すのタイトル画像

感覚遊びの1つなのかな?と思ったときにできる工夫は…

ASD(自閉スペクトラム症)はいつ分かる?診断の年齢は?

言語・認知・学習といった発達領域が未発達の乳児では、ASD(自閉スペクトラム症)の特徴となる症状が分かりにくい場合があります。ですから、生後すぐにASD(自閉スペクトラム症)の診断がでることはありません。個人差がありますが、早ければ1歳ごろから症状が現れはじめ、3歳までに何らかの症状が出てくると言われています。一般的には3~5歳ごろに気づくことが多いようです。定期検診の時に医師から専門機関の受診をすすめられる家族も少なくありません。家族が夜泣きや睡眠障害などの症状に気づき、子どもの育てにくさを感じていることが多いです。

ASD(自閉スペクトラム症)はなんらかの症状や困りごとに直面してはじめて障害がある可能性に気づきます。そのため、軽度のASD(自閉スペクトラム症)や家族や本人が気付かない場合、大人になるまで分からないこともあります。また、見過ごされたまま困難を抱え苦しんでいる人もいるのです。

ASD(自閉スペクトラム症)と診断されると、対処方法もはっきりしてきます。ですからその後の生活も、さまざまな特性にあった工夫をしていくことで困難を解決していくことができるようになります。
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ASD(自閉スペクトラム症)の診断基準

専門機関を受診し、問診とコミュニケーション能力・言語の発達を調べるための知能検査・心理検査などを行います。施設によってはMRIで脳の器質的な病気がないか調べたり、脳波を検査しててんかんなどの併存症がないか調べる場合もあります。ASD(自閉スペクトラム症)の診断基準には、アメリカ精神医学会の『DSM-5-TR』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版 改訂版)が使われており、検査結果から総合的に判断します。

専門機関での診断は受けるべき?どこへ行けばいいの?

ASD(自閉スペクトラム症)かもしれないと思ったら、まずは専門機関で相談を

ASD(自閉スペクトラム症)かな?と感じることがあったとしても判断に困ったり、なかなか受診へ踏み切ることができない場合もあると思います。

ですが、適切なサポートを受けられないまま生活していると、最も困りごとに直面するのは本人です。また、ASD(自閉スペクトラム症)の症状には個人差があります。まずは、気になる症状や困りごとなどがある場合、または子育てや生活を送っていく中で何か不便を感じる場合、年齢に関係なく早めに身近な専門機関へ相談されることをおすすめします。

少しでも早く本人の特性に気づいてあげれば、フォローして困難の乗り越え方を手助けすることも可能になりますし、できるだけ生活しやすい環境を整えてあげることもできるかもしれません。それには親や家族で抱え込まず、専門家や周りの人たちの協力を得ながら、その子にあったやり方で接することが大切です。

特にASD(自閉スペクトラム症)は小さい時からその方に合った療育を行うと、才能を最大限に発揮することのできる障害であることに加えて、生活面でもちょっとしたことを気をつけるだけで、本人や家族のストレスを軽減することができます。

いきなり専門医に行くことは難しいので、まずは無料で相談できる身近な専門機関の相談窓口を利用するのがおすすめです。早めに相談し、ASD(自閉スペクトラム症)に対して正しい知識を付けることが重要です。家族で試行錯誤をして対処法を見つけていくよりも、専門機関に相談し色々な方法を教えてもらった方が、時間もかかりませんし、ストレスも少なくすみます。必要であれば医療機関を紹介してもらうこともできます。子どもか大人かによって、行くべき機関が違うので、以下を参考にしてみてください。

【子どもの場合】
・保健センター
・子育て支援センター
・児童発達支援事業所 など

【大人の場合】
・発達障害者支援センター
・障害者就業・生活支援センター
・相談支援事業所 など

医療機関はどのようなところへ行けばいいの?

身近な相談センターに行って相談し、ASD(自閉スペクトラム症)の疑いがあり、診断を希望すればそこから専門医を紹介してもらえます。自宅の近くに相談センターがない場合には、電話での相談にのってくれることもあります。ASD(自閉スペクトラム症)を含む発達障害の専門の医療機関は他の病気に比べると少ないですが、発達障害者総合支援法などの施行によって年々増加はしています。

医療機関での診断は、子どもの場合は、専門外来のある小児科、脳神経小児科、児童精神科などで行われることが多いです。また、18歳以上の場合は一般的に精神科や心療内科などで診断がなされます。しかし、ASD(自閉スペクトラム症)を診療できる専門の医療機関はまだまだ少ないのが現状です。また、保健センターなどでは知能検査や適応能力を診断する検査を受けられるところもあります。

医療機関で診断を受けるかどうか、決めるのは本人やご両親の判断となりますが、専門機関で相談し、すすめられた場合は、ぜひ医療機関に行き医師に相談しましょう。診断を受けてASD(自閉スペクトラム症)だった場合は今後どのように対応していけばいいか聞くことができますし、仮にASD(自閉スペクトラム症)でなくとも普段の行動を見直すきっかけになると思います。

以下のリンクは発達障害の診療を行える医師の一覧です。
日本小児神経学会 「発達障害診療医師名簿」
https://service.kktcs.co.jp/smms2/c/jscn/ws/jscn/List.htm?t=https://www.childneuro.jp/themes/childneuro/relation/licenselist_dd.html

診断の流れ、当日準備していくものは?

医療機関では、専門医の問診とさまざまな検査を総合してASD(自閉スペクトラム症)かどうか診断されます。何度か診察を重ね、慎重にASD(自閉スペクトラム症)かどうかが判断される場合が多いようです。

発達障害を診断できる医療機関はまだ数が多くないこともあり、予約をして初診までに1ヶ月以上かかることもあります。それまでの間に問診票を渡されて記入し、初診の時に持っていく場合もあるので、予約を入れた時に必要なものを問い合わせましょう。基本的には専門機関の指示に従ってください。

何も指示がなかった時は、どのようなことが問題だと思うのかを伝えるために、今まで記録してきた日記や、問題や気になる行動があればメモにまとめたり携帯で動画を撮って持っていくなど、普段の生活で気になることを、医師に伝えやすいように準備をしていきましょう。

まとめ

ASD(自閉スペクトラム症)の症状が出て本人が困っているのに、そのまま放置してしまうのは、本人や家族にとって一番避けたいことです。近所の子育て支援センターや掛かりつけの医師に相談するだけで道は開けます。また、保育所や幼稚園に通っているのであれば、担任の先生に相談するだけで、どこに行って相談するべきなのか教えてくれるかもしれません。
 
家族で悩み孤立してしまうのは、誰にとってもいいことではありません。ASD(自閉スペクトラム症)だということを受け入れるのには時間がかかるかもしれませんが、家族みんな笑顔で過ごせるように、さまざまな方に話を聞き、さまざまな方法を試すのはマイナスにはなりません。悩んでいるより行動することでストレス解消になりますし、同じ問題を抱えている方とお話ができれば、いいアドバイスがもらえるかもしれません。地域と家族が障害の特性を理解し、本人にとって生活をしやすい環境を作っていきましょう。
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