ASD(自閉スペクトラム症)の診断・検査の内容は?【専門家監修】
家族や自分自身が「もしかしたらASD(自閉スペクトラム症)かな?」と思うことはあると思います。ASD(自閉スペクトラム症)の症状に気づき、早期に医療機関や専門機関に行くことが支援や早期治療のきっかけになります。受診・検査のことなどをまとめてみました。家族やご自身がASD(自閉スペクトラム症)かな?と思った時に参考にしてください。
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ASD(自閉スペクトラム症)とは
以前は「自閉症」という診断名が用いられていましたが、アメリカ精神医学会発刊の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)において自閉的特徴を持つ疾患が統合され、2022年発刊の『DSM-5-TR』では「自閉スペクトラム症」という診断名になりました。この記事では以下、ASD(自閉スペクトラム症)と記載しています。
自閉症とは、①他人との社会的関係の形成の困難さ、②言葉の発達の遅れ、③興味や関心が狭く特定のものにこだわることを特徴とする発達の障害です。その特徴は、3歳くらいまでに現れることが多いですが、小学生年代まで問題が顕在しないこともあります。中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定されています。(出典:自閉症・情緒障害とは|文部科学省)
ASD(自閉スペクトラム症)とは?専門機関や診断基準を解説【専門家監修】
ASD(自閉スペクトラム症)の特徴的な2つの症状
対人関係や社会的コミュニケーションの困難
具体的な特徴としては、
・目線を合わすことができない
・周囲に関心がないように見える
・相手の気持ちが分からない
・その場の空気が読めない
・人の話したことをオウム返しする
・抽象的な言葉・比喩や皮肉の意味を理解できない
・呼んでも反応しない
・自分の話したいことだけ一方的に話す
などが挙げられます。
ASD(自閉スペクトラム症)のある方は、会話をしていても目を合わすことが苦手なことがあり、無理に視線を合わせようとすると落ち着きがなくなったり、パニックになってしまう場合もあります。また、環境の変化を敏感に感じることが苦手なため、対人関係に困難につながることがあります。
特定のものや行動における反復性やこだわり、感覚の過敏さまたは鈍麻さ
具体的な特徴としては、
・落ち着きがなく、手を動かしたり、部屋の中を行ったり来たりする
・毎日決まった行動をし、予定外の行動は取れない
・1つのものに執着する
・自分の興味があるものに対して、とても執着する
・予定外のできごと・初めての人/場所/活動などに抵抗を示す
・感覚刺激に対する過敏さまたは鈍感さ、感覚刺激への並外れた興味がある
などが挙げられます。
ASD(自閉スペクトラム症)の人は、自分の興味のあることに対してとことん熱中する傾向があります。なので、自分の興味のある物事をとことん調べ、誰も教えていないのに専門家顔負けの知識を持っている方も珍しくありません。
【専門家監修】過集中とは?ADHD(注意欠如多動症)やASD(自閉スペクトラム症)との関連、声かけ無視への対策
感覚遊びの1つなのかな?と思ったときにできる工夫は…
ASD(自閉スペクトラム症)はいつ分かる?診断の年齢は?
ASD(自閉スペクトラム症)はなんらかの症状や困りごとに直面してはじめて障害がある可能性に気づきます。そのため、軽度のASD(自閉スペクトラム症)や家族や本人が気付かない場合、大人になるまで分からないこともあります。また、見過ごされたまま困難を抱え苦しんでいる人もいるのです。
ASD(自閉スペクトラム症)と診断されると、対処方法もはっきりしてきます。ですからその後の生活も、さまざまな特性にあった工夫をしていくことで困難を解決していくことができるようになります。
ASD(自閉スペクトラム症)の診断基準
専門機関での診断は受けるべき?どこへ行けばいいの?
ASD(自閉スペクトラム症)かもしれないと思ったら、まずは専門機関で相談を
ですが、適切なサポートを受けられないまま生活していると、最も困りごとに直面するのは本人です。また、ASD(自閉スペクトラム症)の症状には個人差があります。まずは、気になる症状や困りごとなどがある場合、または子育てや生活を送っていく中で何か不便を感じる場合、年齢に関係なく早めに身近な専門機関へ相談されることをおすすめします。
少しでも早く本人の特性に気づいてあげれば、フォローして困難の乗り越え方を手助けすることも可能になりますし、できるだけ生活しやすい環境を整えてあげることもできるかもしれません。それには親や家族で抱え込まず、専門家や周りの人たちの協力を得ながら、その子にあったやり方で接することが大切です。
特にASD(自閉スペクトラム症)は小さい時からその方に合った療育を行うと、才能を最大限に発揮することのできる障害であることに加えて、生活面でもちょっとしたことを気をつけるだけで、本人や家族のストレスを軽減することができます。
いきなり専門医に行くことは難しいので、まずは無料で相談できる身近な専門機関の相談窓口を利用するのがおすすめです。早めに相談し、ASD(自閉スペクトラム症)に対して正しい知識を付けることが重要です。家族で試行錯誤をして対処法を見つけていくよりも、専門機関に相談し色々な方法を教えてもらった方が、時間もかかりませんし、ストレスも少なくすみます。必要であれば医療機関を紹介してもらうこともできます。子どもか大人かによって、行くべき機関が違うので、以下を参考にしてみてください。
【子どもの場合】
・保健センター
・子育て支援センター
・児童発達支援事業所 など
【大人の場合】
・発達障害者支援センター
・障害者就業・生活支援センター
・相談支援事業所 など
医療機関はどのようなところへ行けばいいの?
医療機関での診断は、子どもの場合は、専門外来のある小児科、脳神経小児科、児童精神科などで行われることが多いです。また、18歳以上の場合は一般的に精神科や心療内科などで診断がなされます。しかし、ASD(自閉スペクトラム症)を診療できる専門の医療機関はまだまだ少ないのが現状です。また、保健センターなどでは知能検査や適応能力を診断する検査を受けられるところもあります。
医療機関で診断を受けるかどうか、決めるのは本人やご両親の判断となりますが、専門機関で相談し、すすめられた場合は、ぜひ医療機関に行き医師に相談しましょう。診断を受けてASD(自閉スペクトラム症)だった場合は今後どのように対応していけばいいか聞くことができますし、仮にASD(自閉スペクトラム症)でなくとも普段の行動を見直すきっかけになると思います。
以下のリンクは発達障害の診療を行える医師の一覧です。
診断の流れ、当日準備していくものは?
発達障害を診断できる医療機関はまだ数が多くないこともあり、予約をして初診までに1ヶ月以上かかることもあります。それまでの間に問診票を渡されて記入し、初診の時に持っていく場合もあるので、予約を入れた時に必要なものを問い合わせましょう。基本的には専門機関の指示に従ってください。
何も指示がなかった時は、どのようなことが問題だと思うのかを伝えるために、今まで記録してきた日記や、問題や気になる行動があればメモにまとめたり携帯で動画を撮って持っていくなど、普段の生活で気になることを、医師に伝えやすいように準備をしていきましょう。
まとめ
家族で悩み孤立してしまうのは、誰にとってもいいことではありません。ASD(自閉スペクトラム症)だということを受け入れるのには時間がかかるかもしれませんが、家族みんな笑顔で過ごせるように、さまざまな方に話を聞き、さまざまな方法を試すのはマイナスにはなりません。悩んでいるより行動することでストレス解消になりますし、同じ問題を抱えている方とお話ができれば、いいアドバイスがもらえるかもしれません。地域と家族が障害の特性を理解し、本人にとって生活をしやすい環境を作っていきましょう。
ASD(自閉スペクトラム症)はいつ分かる?遺伝との関連、検査、治療法、療育方法まで【専門家監修】
放たれた夫のセリフに絶望。癇癪、夜泣き、孤独な自閉症育児のSOSは届かず――バラバラだった家族は、いま
「果てしなくグレー」と就学相談の先生。通常学級か特別支援学級か…自閉症息子の就学に悩みに悩んだあのころ
3歳グレー息子が発達検査!発達外来受診から数ヶ月、「ついに自閉症の診断が?」不安とスッキリしたい気持ちと…
俳優・東ちづるさん取材--芸能界で感じる後ろめたさとは。障害がないからチャンスがあった?「自閉症啓発デー」やまぜこぜの社会を目指す「Get ㏌ touch」10年の活動の思い
ASD(自閉スペクトラム症)とは?自閉症の2つの特徴を専門家が解説!マンガで学ぶ自閉スペクトラム症
子どもの癇癪(かんしゃく)とは?癇癪を起こす原因や発達障害との関連は?しんどいときの対応方法、相談先まとめ【専門家監修】