【自閉症とは】気になる症状があるときは?相談できる専門機関や診断基準を解説します

2016/07/15 更新
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自閉症は先天的な発達障害の一つです。「社会性と対人関係の障害」「コミュニケーションや言葉の発達の遅れ」「行動や興味の偏り」の3つの特徴があります。

この記事では、診断されるときの基準と、「自閉症かも」と思ったときに相談できる専門機関についてお伝えします。

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監修: 井上 雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
専門行動療法士
自閉症支援士エキスパート
LITALICO研究所 客員研究員
公認心理師
目次

自閉症とは?

自閉症とは、現在は自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)と呼ばれることが多い、先天的な発達障害の一つです。
症状として、「社会性と対人関係の障害」、「コミュニケーションや言葉の発達の遅れ」、「行動や興味の偏り」の3つの特徴が発達段階で現れると言われています。

今回のコラムでは、わが子に「自閉症があるのでは」と感じたときの相談先と診断、診断基準についてまとめました。

自閉症の疑いを感じたらどうすればいい?

診断を受ける前に、相談できる専門機関

自閉症の症状に関して気になることがある場合は、医師に相談して診断を受けることができますが、その前に、専門機関での相談をおすすめします。誰かに相談することによって気持ちも楽になります。

家庭の中で悩んでいても、困難に対する改善策はなかなか見つかりません。また、早期に小さい頃から自閉症に対する教育方法や療育などの対処法を始めると、その後の発達・発育にも影響があると考えられています。

また、自閉症の有無にかかわらず、専門機関では困難な状況を乗り越えるための様々なアドバイスをしてもらえるので、一度相談してみることをおすすめします。
自閉症があるのではと感じた時、自分だけで専門医を探すのはなかなか難しいため、まずはお住まいの地域の身近な専門機関に相談するようにしましょう。子どもか大人かによっても行くべき専門機関が違うので、以下を参考にしてみてください。

■ 子どもの場合
・保健センター
・子育て支援センター
・児童発達支援事業所
・発達障害者支援センター など

■ 大人の場合
・発達障害者支援センター
・障害者就業・生活支援センター
・相談支援事業所 など

知能検査や発達検査は児童相談所などで無料で受けられる場合もありますし、障害について相談することも可能です。その他、発達障害者支援センターでは障害についての相談ができます。自宅の近くに相談機関がない場合には、電話での相談にものってくれることもあります。

以下は小児神経学会が発表している、発達障害診療医師の名簿です。この他にも、児童精神科医師や診断のできる小児科医師もいます。まず身近な相談機関に行って、診断の疑いがあればそこから専門医を紹介してもらいましょう。

自閉症の診断を受けたいと思ったら

自閉症の診断は、医師によって行われます。医療機関での診断は、子どもの場合は、専門外来のある小児科、脳神経小児科、児童精神科などで行われることが多いです。また、18歳以上の場合は一般的に精神科や心療内科で診断がなされます。しかし、自閉症を診療できる専門の医療機関はまだまだ少ないのが現状です。各地域の「発達障害者支援センター」に相談をして、専門の医療機関を紹介してもらう方法をおすすめします。担当者との相性も大切なので、納得のいく医療機関を選ぶようにしましょう。

医療機関では、診断基準に基づいたテスト、生育歴の聞き取り、その人のライフスタイルや困難についての質疑応答など、しっかりと問診をしたうえで総合的に判断されます。

自閉症スペクトラムの診断基準

以下に、精神医学の場でよく使用される診断マニュアルの『DSM-5』にある、自閉症スペクトラムの診断基準をご紹介します。


A. 複数の状況で社会的コミュニケーションおよび対人的相互反応における持続的な欠陥があり、現時点または病歴によって、以下により明らかになる(以下の例は一例であり、網羅したものではない)。
(1)相互の対人的・情緒的関係の欠落で、例えば、対人的に異常な近づき方や通常の会話のやりとりのできないことといったものから、興味、情動、または感情を共有することの少なさ、社会的相互反応を開始したり応じたりすることができないことに及ぶ。
(2)対人的相互反応で非言語コミュニケーション行動を用いることの欠陥、例えば、まとまりの悪い言語的・非言語的コミュニケーションから、視線を合わせることと身振りの異常、または身振りの理解やその使用の欠陥、顔の表情や非言語的コミュニケーションの完全な欠陥に及ぶ。
(3)人間関係を発展させ、維持し、それを理解することの欠陥で、例えば、様々な社会的状況に合った行動に調整することの困難さから、想像上の遊びを他人と一緒にしたり友人を作ることの困難さ、または仲間に対する興味の欠如に及ぶ。

B.行動、興味、または活動の限定された反復的な様式で、現在または病歴によって、以下の少なくとも2つにより明らかになる(以下の例は一例であり、網羅したものではない)
(1)常同的または反復的な身体の運動、物の使用、または会話(例:おもちゃを一列に並べたり物を叩いたりするなどの単調な常同運動、反響言語、独特な言い回し)。
(2)同一性への固執、習慣へのかたくななこだわり、または言語的・非言語的な儀式的行動様式(例:小さな変化に対する極度の苦痛、移行することの困難さ、柔軟性に欠ける思考様式、儀式のようなあいさつの習慣、毎日同じ道順をたどったり、同じ食物を食べたりすることへの要求)
(3)強度または対象において異常なほど、きわめて限定され執着する興味(例:一般的ではない対象への強い愛着または没頭、過度に限定・固執した興味)
(4)感覚刺激に対する過敏さまたは鈍感さ、または環境の感覚的側面に対する並外れた興味(例:痛みや体温に無関心のように見える、特定の音、感覚に逆の反応をする、対象を過度に嗅いだり触れたりする、光または動きを見ることに熱中する)

C. 症状は発達早期に存在していなければならない(しかし社会的要求が能力の限界を超えるまで症状は明らかにならないかもしれないし、その後の生活で学んだ対応の仕方によって隠されている場合もある)。

D. その症状は、社会的、職業的、または他の重要な領域における現在の機能に臨床的に意味のある障害を引き起こしている。

E. これらの障害は、知的能力障害(知的発達症)または全般的発達遅延ではうまく説明できない。知的能力障害と自閉スペクトラム症はしばしば同時に起こり、自閉スペクトラム症と知的能力障害の併存の診断を下すためには、社会的コミュニケーションが全般的な発達の水準から期待されるものより下回っていなければならない。

引用:「DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル」P.49|日本精神神経学会(監)2014年 医学書院

出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4260019074

自閉症の種類と分類

医療機関や、行政や司法の場で使われる疾病分類のマニュアルには、『DSM-5』と『ICD-10』(※)があります。このマニュアルの改訂により、自閉症は診断された時期によって、広汎性発達障害と呼ばれたり自閉症スペクトラム障害と呼ばれたりしています。そこで、ここでは自閉症の診断名の変化と分類について解説します。

※ICD-10について:2019年5月、世界保健機関(WHO)の総会で、国際疾病分類の第11回改訂版(ICD-11)が承認されました。日本国内ではこれから、日本語訳や審議、周知などを経て数年以内に施行される見込みです。WHOでの公表・承認を受けて、各国では翻訳やICD-10/11 変換表の作成、疾病分類表、死因分類表の作成などの作業が進められ、審議、周知などを経て施行されていきます。ICD-11への改訂によって分類コードが変化すると、書類上で要求されるICDコードが変わったり、疾病概念やカテゴリー、名称や診断基準も変更になる可能性もあります。(※1)

ICD-10の分類における自閉症

自閉症は、世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)(※)の分類では広汎性発達障害に含まれます。
発達障害の中で、自閉症がどのように分類されるのかを示した図
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広汎性発達障害のうち、知能指数が高い(IQ70以上)高機能自閉症の場合は「アスペルガー症候群」、知能指数が低い(IQ70以下)の場合は「カナー症候群」にあてはまります。自閉症の分類は分かりにくいですが、以下の図がわかりやすいので参考にしてください。
自閉症の程度と知的なおくれの程度によって、わかれる自閉症の分類をあらわした図
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DSM-5の分類における自閉症

2013年に出版されたアメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)ではそれまでの診断基準であるアメリカ精神医学会の『DSM-Ⅳ-TR』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第4版 テキスト改訂版)における広汎性発達障害の分類に変更点がありました。

変更点としては、広汎性発達障害のサブカテゴリーである自閉症やアスペルガー症候群が廃止され、レット障害を除くすべての障害名が自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(Autistic Spectrum Disorder、略称ASD)に含まれるようになりました。これらは本質的には同じ1つの障害単位であると考えられており、症状の強さに従っていくつかの診断名に分類されます(そのため、spectrum=連続体と呼ばれています)。

このようなことから、2013年以前に自閉症やアスペルガー症候群に分類された症状は、現在では自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害という診断名に分類されるようになりました。詳細は下の図をご覧ください。

しかし『DSM-5』が未だ浸透していない場合もあり、『ICD-10』の診断基準を用いる医師もいることや、すでに自閉症の診断名を受けている人も多くいます。また、発達障害者支援法での障害名が「自閉症」であることから、この障害名を使い続けている人も多くなっています。
診断基準の変更により、広汎性発達障害のサブカテゴリーである自閉症やアスペルガー症候群が廃止され、障害名が自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害に含まれるようになったことを表す図
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自閉症の症状・特徴は人それぞれ

自閉症には様々な症状がありますが、その症状には個人差があります。

早期にそれらの特性に気づき、一人一人に合った環境をつくること、早期療育や適切な教育を行っていくこと、苦手なことの対応方法を工夫していくことで、逆に特性を強みとして活かすこともできます。自閉症のある人の中でも、特性を活かして活躍している人がいます。特性を活かせるような環境づくりをすることで、本人の生活上の困難さを解消し、その人らしく生きることが可能になるでしょう。

自閉症についてもっと詳しく知るリンク集

「もしかして自閉症?」お子さんの発達等について、気になる症状があるときには、次のコラムも参考になります。
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自閉症の診断・検査の内容は?

自閉症の症状は、お子さんの年齢・発達によって目立つ症状が変わってきます。年齢別の症状について詳しくは次のコラムでご紹介しています。
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【自閉症とは】年齢別の症状の現れ方とは?0歳から成人期までの特徴を解説します

自閉症がある人には、「社会性と対人関係の障害」「コミュニケーションや言葉の発達の遅れ」「行動や興味の偏り」の3つの症状が発達段階で現れます。具体的にどんな言動として現れるのかについては、次のコラムが参考になります。
【自閉症とは】発達段階で現れる3つの特徴について解説しますのタイトル画像

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その他にも、自閉症に関連するコラムを出しています。ぜひ参考にしてみてください。
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参考文献・サイト

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