ASD(自閉スペクトラム症)とは?専門機関や診断基準を解説【専門家監修】
ASD(自閉スペクトラム症)は発達障害の一つです。「対人関係や社会的コミュニケーションの困難」と「特定のものや行動における反復性やこだわり、感覚の過敏さまたは鈍麻さ」の2つの特徴があります。
この記事では、診断されるときの基準と、「ASD(自閉スペクトラム症)かも」と思ったときに相談できる専門機関や診断基準、受けられる支援についてお伝えします。
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ASD(自閉スペクトラム症)とは? どんな症状がある?
ASD(自閉スペクトラム症)とは
ASD(自閉スペクトラム症)の症状
ASD(自閉スペクトラム症)のある子どもには、言葉の遅れやオウム返しなどの特徴がみられることもあります。
また、特定の刺激や活動に対しての強いこだわりも、多くのASD(自閉スペクトラム症)のある子どもに見られる特徴です。「くるくる回るものをずっと見ている」「決まったおもちゃで遊びたがる」「道順が違うとパニックになる」など、興味を示すもの、こだわりを持つものは子どもによってそれぞれです。
また手をひらひらさせたり、ぴょんぴょん飛び跳ねたりといった「常同行動」も、ASD(自閉スペクトラム症)のある子どもにみられることがあります。
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ASD(自閉スペクトラム症)の原因
何らかの生まれつきの脳機能障害である、というのが、現在もっとも有力な説です。はっきりしているのは、しつけや愛情不足など、親の育て方が原因でないことです。
脳の機能障害の原因としては、一部に遺伝的な要因があるのではないか、と推測されています。何らかの先天的な遺伝要因に、さまざまな環境的な要因が重なり、相互に影響しあって脳機能の障害が発言するのではないか、と考えられているのです。研究では、複数の要因や組み合わせが影響している可能性が示されていて、ASD(自閉スペクトラム症)のあるすべてにあてはまる唯一の原因はない、とも推測されています。
ASD(自閉スペクトラム症)スペクトラムの診断
言語・認知・学習といった発達領域が未発達の乳児では、ASD(自閉スペクトラム症)の特徴となる症状が分かりにくい場合があります。ですから、生後すぐにASD(自閉スペクトラム症)の診断がでることはありません。個人差がありますが、早ければ1歳ごろから症状が現れはじめ、3歳までに何らかの症状が出てくると言われています。一般的には3~5歳ごろに気づくことが多いようです。定期検診の時に医師から専門機関の受診をすすめられる家族も少なくありません。家族が夜泣きや睡眠障害などの症状に気づき、子どもの育てにくさを感じていることが多いです。
ASD(自閉スペクトラム症)はなんらかの症状や困りごとに直面してはじめて障害がある可能性に気づきます。そのため、軽度のASD(自閉スペクトラム症)や家族や本人が気付かない場合、大人になるまで分からないこともあります。また、見過ごされたまま困難を抱える人もいるのです。
ASD(自閉スペクトラム症)と診断されることで、特性にあった工夫をしていくことで困難を解決していくことができるようになります。
ASD(自閉スペクトラム症)の種類と分類
※アメリカ精神医学会の『DSM-5-TR』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版改訂版)をもとに障害名を以下のように表記しております。
・ADHD(注意欠如多動症)
以前は「注意欠陥・多動性障害」という診断名でしたが、2022年発刊の『DSM-5-TR』では「注意欠如多動症」という診断名になりました。この記事では以下、ADHD(注意欠如多動症)と記載しています。
・LD・SLD(限局性学習症)
学習障害は現在、「SLD(限局性学習症)」という診断名となっていますが、最新版DSM-5-TR以前の診断名である「LD(学習障害)」といわれることが多くあるため、ここでは「LD・SLD(限局性学習症)」と表記します。
・知的障害(知的発達症)
現在、『ICD-11』では「知的発達症」、『DSM-5』では「知的能力障害(知的発達症/知的発達障害)」と表記されていますが、知的障害者福祉法などの福祉的立場においては「知的障害」と使用していることが多いため、この記事では「知的障害(知的発達症)」という表記を用います。
医療機関や、行政や司法の場で使われる疾病分類のマニュアルには、『DSM-5』と『ICD-10』があります。このマニュアルの改訂により、ASD(自閉スペクトラム症)は診断された時期によって、広汎性発達障害と呼ばれたり自閉症スペクトラム障害と呼ばれたりしています。
ICD-10の分類におけるASD(自閉スペクトラム症)の定義
※ICD-10について:2019年5月、世界保健機関(WHO)の総会で、国際疾病分類の第11回改訂版(ICD-11)が承認されました。日本国内ではこれから、日本語訳や審議、周知などを経て数年以内に施行される見込みです。WHOでの公表・承認を受けて、各国では翻訳やICD-10/11 変換表の作成、疾病分類表、死因分類表の作成などの作業が進められ、審議、周知などを経て施行されていきます。ICD-11への改訂によって分類コードが変化すると、書類上で要求されるICDコードが変わったり、疾病概念やカテゴリー、名称や診断基準も変更になる可能性もあります。
DSM-5-TRの分類におけるASD(自閉スペクトラム症)の定義
変更点としては、広汎性発達障害のサブカテゴリーである自閉症やアスペルガー症候群が廃止され、レット障害を除くすべての障害名が自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(Autistic Spectrum Disorder、略称ASD)に含まれるようになりました。これらは本質的には同じ1つの障害単位であると考えられており、症状の強さに従っていくつかの診断名に分類されます(そのため、spectrum=連続体と呼ばれています)。
その後2022年に『DSM-5』の改訂版『DSM-5-TR』が出版され、2013年以前に自閉症やアスペルガー症候群に分類された症状は、現在ではASD(自閉スペクトラム症)という診断名に分類されるようになりました。
一方で、すでに自閉症という診断名を受けている人も多くいます。また、発達障害者支援法での障害名が「自閉症」であることから、この障害名を使い続けている人も少なくありません。
ASD(自閉スペクトラム症)かもしれないと思ったら?
診断を受ける前に、相談できる専門機関
障害によって困りごとが出ている場合、家庭の中だけで解決するのは大変です。専門家に話を聞いてもらうことで、不安な気持ちもやわらぐでしょう。
また、早期にASD(自閉スペクトラム症)に対する教育方法や療育などの対処法を始めると、その後の発達・発育にもよい影響があると考えられています。
医療機関の診断を受ける前でも、専門機関では困難な状況を乗り越えるためのさまざまなアドバイスをしてもらえます。ASD(自閉スペクトラム症)の有無にかかわらず、子育てや子どもの発達で心配や不安があるときには、一度相談してみることをおすすめします。
子どもか大人かによっても行くべき専門機関が違うので、以下を参考にしてみてください。
■ 子どもの場合
・保健センター
・子育て支援センター
・児童発達支援事業所
・発達障害者支援センター など
■ 大人の場合
・発達障害者支援センター
・障害者就業・生活支援センター
・相談支援事業所 など
児童相談所などでは、知能検査や発達検査を無料で受けられる場合もあります。もちろん障害について相談することも可能です。
そのほか、発達障害者支援センターでも障害についての相談が可能です。電話相談を受け付けている施設もあるので、自宅の近くに相談機関がない場合には電話で問い合わせをしてみるのもよいでしょう。
以下は小児神経学会が発表している、発達障害診療医師の名簿です。このほかにも、児童精神科医師や診断のできる小児科医師もいます。まず身近な相談機関に行って、ASD(自閉スペクトラム症)の可能性があればそこから専門医を紹介してもらいましょう。
ASD(自閉スペクトラム症)の診断はどこで受けられる?
医療機関では、診断基準に基づいたテスト、生育歴の聞き取り、その人のライフスタイルや困難についての質疑応答など、しっかりと問診をしたうえで総合的に診断されます。
ASD(自閉スペクトラム症)がある人が受けられる支援は?
早期にそれらの特性に気づき、一人ひとりに合った環境をつくること、早期からの療育的支援や適切な教育を行っていくこと、苦手なことの対応方法を工夫していくことで、逆に特性を強みとして活かすこともできます。
福祉や医療が提供している支援を積極的に活用し、特性に合わせたサポートで子どもが自分らしく成長していけるように環境を整えていきましょう。
発達支援施設を利用する
児童福祉法では、障害児通所支援と呼ばれ、全国各地に施設が設置されています。未就学児は児童発達支援に、小学生から高校生は放課後等デイサービスに通うことができます。専門家のサポートを受けながら、自立支援や機能訓練をはじめとしたさまざまなプログラムを行うことで、できることが増え、子どもにも自信がついていきます。
障害者手帳の取得
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