過集中とは?ADHDや自閉スペクトラム症(ASD)の人の過集中の特徴や対策は?集中すると周りの声が聞こえない、一つのことしかできない場合の対策も解説【専門家監修】

ライター:発達障害のキホン

ADHDとASD(自閉スペクトラム症)の特性の一つに、素晴らしい集中力を発揮するということがあります。ですが集中しすぎて自分で行動がコントロールできなくなると、疲れすぎてしまったり、トラブルにつながってしまうこともあります。この記事では、過集中のさまざまな対策や注意点などを説明します。

監修者井上雅彦のアイコン
監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 客員研究員
応用行動分析学をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のための様々なプログラムを開発している。
目次

過集中とは?ADHDと自閉スペクトラム症(ASD)の特性なの?

過集中とは

過集中とは、自分の好きなこと・関心のあることに没頭し過度に集中することで、日常生活にまで支障が出るような状態を示します。さらに極度に集中状態が続くと、心身に影響が出てしまうこともあります。ADHDや自閉スペクトラム症(ASD)のある人の中には過剰に集中するという特性が見られる場合があります。
次に、ADHDや自閉スペクトラム症(ASD)の特性と過集中との関係について説明します。

ADHDと過集中の関連は?

ADHD(注意欠如多動症)の主な症状としては、不注意・衝動性・多動性が見られます。例としては、興味関心のないことには集中できない、落着きがない、衝動的に行動してしまうといった症状が見られます。

こうしたところから、ADHDのある人は集中しづらいのではないかというイメージがあるかもしれませんが、そうではありません。場合によっては自分がやりたいことや興味のあることに対しては集中しすぎて切り替えができないこともあります。
ADHD(注意欠如・多動症)の3つのタイプとは?【専門家監修】のタイトル画像

ADHD(注意欠如・多動症)の3つのタイプとは?【専門家監修】

自閉スペクトラム症(ASD)と過集中の関連は?

自閉スペクトラム症(ASD)のある人の場合は、社会性と会話でのコミュニケーションで大きなつまずきがみられることが多いです。また限定された物事へのこだわり・興味があり、いったん興味を持つと過剰といえるほど熱中することがあり、一度興味のあることに手をつけると集中しすぎて周りが目に入らなくなってしまうこともあります。
自閉スペクトラム症(ASD)の幼児期~思春期の特徴、診断方法、治療や療育方法を解説【専門家監修】のタイトル画像

自閉スペクトラム症(ASD)の幼児期~思春期の特徴、診断方法、治療や療育方法を解説【専門家監修】

自閉スペクトラム症(ASD)とADHDの7つの違いは?こだわりや多動はどちらの特性?症状の比較と併存症状について【専門家監修】のタイトル画像

自閉スペクトラム症(ASD)とADHDの7つの違いは?こだわりや多動はどちらの特性?症状の比較と併存症状について【専門家監修】

過集中の強みと困難さ

ここでは、過集中による強みと困難さを簡単にまとめていきます。

強み

■集中力が高い
時間や周りの環境に流されることなく、自分が集中したいことに取り組み、没頭することができます。気づいたら何時間もたっているということもありますし、目標に向かい集中することができます。

■高い能力を発揮する
一つのことに集中するおかげで、集中する事柄に対して高い能力を発揮したり、知識を深めることができる場合があります。例えば、通常3時間でかかる作業を1時間で終わらせられたり、専門的な知識や技術を発揮する人がいます。

困難さ

■日常生活に支障をきたすこともある
寝る・飲食・排泄などの基本的なことを忘れて没頭してしまうことがあります。時間を忘れ、集中してしまい、日常生活に支障をきたしてしまうこともあります。

■過集中しているときに介入されると感情的になることがある
やめさせようとする家族に対して暴言を吐くなど、あたってしまうこともあります。過集中の状態がある程度落ち着いてからの方が注意を受け入れやすいこともあるようです。

■依存性が高まりやすい
インターネットやゲームなど、特定のものに過集中するうちに依存性が高まってしまうこともあります。

■虚脱状態になることもある
過集中状態が続くと、その後反動で虚脱状態に陥ってしまうことがあります。虚脱状態になると、何にたいしても集中することができなかったり、やる気がなくなってしまったり、場合によっては寝込んでしまうなど心身に影響が現れることがあります。

過集中になりやすい人の対策

ここで、過集中になりやすい人が、日常生活に支障をきたさないための対策をあげていきます。

■子どもと一緒にスケジュールをたてる
時間を忘れて没頭してしまうなら予定をたてましょう。仕事や作業に没頭する時間、作業を終える時間や休憩時間をしっかり決めることで、日常生活や健康に支障をきたすことは少なくなります。

■時計を見るくせをつける
作業をしてどれくらいの時間がたったのか確認することができます。まずは時計を見るくせをつけることで、自分が今どんな状態なのか考えることができます。スケジュールと連動させて自分でアラームをかけるのもよいでしょう。

■身近な人に協力してもらう
いくら自分で過集中を防ごうと努力しても、すべて忘れて過集中の状態になってしまうことがあります。その際は、職場の人・家族・友達に伝えることで、注意や声がけをしてもらいましょう。注意や声掛けが苦手は場合は、SNSのメッセージ機能を使うと感情的にならずにすむかもしれません。

■ゲームなどに関してはペアレンタルコントロールを利用する
ゲームなどに依存しやすい場合は、注意してやめさせるのではなく、ペアレンタルコントロールによって一定時間がきたら電源がOFFになる機能を使う方法があります。今あるゲーム機器のほとんどがこのような機能を持っていますので、インターネットなどで方法を調べてみましょう。

■没頭してもよい日や時間を決める
時間を決めるが守れない場合は、日ごろは抑えめにして、がんばったらポイントがもらえて休みの日、曜日などはそのポイントに応じて好きなだけできるようにしてあげるとメリハリがつく場合もあります。

追加する

バナー画像 バナー画像

年齢別でコラムを探す


同じキーワードでコラムを探す



放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

コラムに対する投稿内容については、株式会社LITALICOがその内容を保証し、また特定の施設、商品及びサービスの利用を推奨するものではありません。投稿された情報の利用により生じた損害について株式会社LITALICOは一切責任を負いません。コラムに対する投稿内容は、投稿者の主観によるもので、株式会社LITALICOの見解を示すものではありません。あくまで参考情報として利用してください。また、虚偽・誇張を用いたいわゆる「やらせ」投稿を固く禁じます。「やらせ」は発見次第厳重に対処します。