ADHD(注意欠如・多動症)の3つのタイプとは?【専門家監修】

ライター:発達障害のキホン

ADHDは不注意、多動性、衝動性の3つの症状がみられる発達障害のひとつです。子どもの20人に1人、成人の40人に1人にADHDが生じるといわれますが、周りに理解されづらく、仕事や学業、日常のコミュニケーションに支障をきたすことがあります。ADHDは人によって症状の傾向が異なり、大きく3つのタイプに分けることができます。この記事では、ADHDの症状と、3つのタイプの特徴について詳しく解説します。

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監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 客員研究員
応用行動分析学をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のための様々なプログラムを開発している。
目次

ADHD(注意欠如・多動症)とは?

ADHD(注意欠如・多動性障害)は不注意(集中力がない)、多動性(じっとしていられない)、衝動性(考えずに行動してしまう)の3つの症状がみられる発達障害のことです。年齢や発達に不釣り合いな行動が仕事や学業、日常のコミュニケーションに支障をきたすことがあります。

人口調査によると、子どもの20人に1人、成人の40人に1人にADHDが生じることが示されています。以前は男性(男の子)に多いといわれていましたが、現在ではADHDの男女比は同程度に近づいていると報告されています。(※1)

文部科学省はADHD(注意欠如・多動性障害)を以下のように定義しています。
ADHDとは、年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力、及び/又は衝動性、多動性を特徴とする行動の障害で、社会的な活動や学業の機能に支障をきたすものである。
また、7歳以前に現れ、その状態が継続し、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される。

引用:学習障害(LD)、注意欠陥/多動性障害(ADHD)及び高機能自閉症について|文部科学省
出典:https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/attach/13966...
上記の文部科学省の定義では7歳以前に症状が現れるとされていますが、2013年に出版されたアメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)では、診断年齢は12歳に引き上げられています。

近年では、子どもだけではなく大人になってからADHDと診断される人も多く、注目を浴びています。(※2)

ADHDの3つの症状

ADHDの症状は「不注意」「多動性」「衝動性」の3つに分けることができます。それぞれの具体的な特徴を見ていきましょう。

1.不注意による症状

鉛筆を忘れてしまったイラスト
ADHDの不注意
Upload By 発達障害のキホン
・忘れ物が多い
・何かやりかけでもそのままほったらかしにする
・集中しづらい、でも自分がやりたいことや興味のあることに対しては集中しすぎて切り替えができない
・片づけや整理整頓が苦手
・注意が長続きせず、気が散りやすい
・話を聞いていないように見える
・忘れっぽく、物をなくしやすい

2.多動性による症状

授業中に教室内を走り回るイラスト
ADHDの多動性
Upload By 発達障害のキホン
・落ち着いてじっと座っていられない
・そわそわして体が動いてしまう
・過度なおしゃべり
・公共の場など、静かにすべき場所で静かにできない

3.衝動性による症状

友達の持ち物を奪ってしまうイラスト
ADHDの衝動性
Upload By 発達障害のキホン
・順番が待てない
・気に障ることがあったら乱暴になってしまうことがある
・会話の流れを気にせず、思いついたらすぐに発言する
・他の人の邪魔をしたり、さえぎって自分がやったりする

ADHDの3つのタイプとそれぞれの特徴

前の章でADHDには3つの症状があることを説明しましたが、人によってその現れ方の傾向が異なり、大きく3つのタイプに分けることができます。また、性別によっても多いタイプが変わってきます。

1.多動性-衝動性優勢型

多動と衝動の症状が強く出ているタイプです。次のような特徴が現れることがあります。

・落ち着きがなく、授業中などでも構わず歩き回ったり、体を動かしてしまうなど、落ち着いてじっと座っていることが苦手
・衝動が抑えられず、ちょっとしたことでも大声を上げたり、乱暴になったりしてしまい、乱暴な子、反抗的だととらえられやすい
・衝動的に不適切な発言をしたり、自分の話ばかりをする
・全体的にみるとこのタイプは少ないが、男性(男の子)に現れることが多い

2.不注意優勢型

不注意の症状が強く出ているタイプです。次のような特徴が現れることがあります。

・気が散りやすくて、物事に集中することが苦手
・やりたいこと、好きなことに対してはとても集中して取り組むが切り替えが苦手
・忘れ物や物をなくすことが多く、ぼーっとしているように見えて人の話を聞いているのか分からない
・幼いころは、ADHDではなくとも忘れ物が多い人が少なくないため、ADHDと気づかれにくい。不注意の特性は女性(女の子)に現れることが多い。

3.混合型

多動と衝動、不注意の症状が混ざり合って強く出ているタイプです。次のような特徴が現れることがあります。

・多動性-衝動性優勢型と不注意優勢型のどちらの特徴も併せ持っており、どれが強く出るかは人によって異なる
・忘れ物や物をなくすことが多く、じっとしていられず落ち着きがない
・ルールを守ることが苦手で順番を守らない、大声を出すなど衝動的に行動をすることがある

これらの分類はアメリカ精神医学会のDSM-4-TRによって規定されたものです。現在でもADHDの分類はこれらの3つのタイプによって分けられることが多いのですが、2013年に出版されたDSM-5においては、新たな診断基準が規定されています。詳しくは次のリンク集でも紹介している「ADHD(注意欠如・多動性障害)の診断・検査の内容は?ADHDの特徴チェック」をご参照ください。

また、ADHDはアスペルガーや自閉症を含む自閉症スペクトラム(ASD)や学習障害(LD)などほかの発達障害や、睡眠障害などと合併することもあります。その場合は上記に挙げた以外の症状が見られる場合もあります。
次ページ「ADHDについてもっと知るためのリンク集」


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