ADHD(注意欠如多動症)の特徴とは?2歳ごろから現れる?チェックリストも【専門家監修】

ライター:マンガで分かる発達障害のキホン
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「マンガで学ぶ子どものADHD(注意欠如多動症)」今回は、症状が現れる時期がテーマです。幼少期から学童期、思春期と、年代別に変化する代表的な症状や困りごとについても解説します。

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監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。
目次

ADHD(注意欠如多動症)の特徴は2歳ごろから

ADHD(注意欠如多動症)の特性がはっきりしてくるのは早くても2歳ごろ、診断されるのは7歳ごろからが多いです。幼児期や小学生時代に目立っていた行動は、思春期になると落ち着いてくることが多いようですが、一方で劣等感を抱きやすくなるという傾向も報告されています。
ADHD(注意欠如多動症)の症状はなん歳くらいからわかるのでしょうか、と疑問に思う保護者と走り回る子どもの様子。(監修:鳥取大学教授、専門行動療法士、自閉症支援士エキスパート、公認心理師 井上雅彦先生 )
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ADHD(注意欠如多動症)の症状は2歳~7歳ごろに多く目立ち始めます。(監修:鳥取大学教授、専門行動療法士、自閉症支援士エキスパート、公認心理師 井上雅彦先生 )
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ADHD(注意欠如多動症)の症状は、成長とともに落ち着くこともあるのでしょうか?と疑問に思う保護者と走り回る子どもの様子。(監修:鳥取大学教授、専門行動療法士、自閉症支援士エキスパート、公認心理師 井上雅彦先生 )
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ADHD(注意欠如多動症)の特性の一つである「多動」は、思春期になると幼児期や小学生のころのようには目立たなくなることが多いです。(監修:鳥取大学教授、専門行動療法士、自閉症支援士エキスパート、公認心理師 井上雅彦先生 )
イラスト/かなしろにゃんこ。
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ADHD(注意欠如多動症)は発達障害のひとつで生まれながらに脳機能の発達に遅れや偏りがあります。学習や対人関係、社会生活に困難を抱えることも多く、他の発達障害と併存することもあります。
ADHD(注意欠如多動症)と診断された人たちの中には、乳児期にも「なかなか寝つけない」「寝返りが多く、落ち着きがない」「抱っこされることを嫌がる」などの傾向があった、と振り返る声も。ただ、このような行動は定型発達の赤ちゃんにも見られるもので、一概にADHDと結びつけることはできません。

ADHD(注意欠如多動症)の特性がはっきりしてくるのは、早くても2歳ごろからです。「じっとしていられない」「かんしゃくを起こすことが多い」「ものを壊したり、乱暴な遊びを好む」などの様子から、専門機関に相談したり、医療機関を受診して気づくケースが多いようです。また、3歳児健診のときにADHD(注意欠如多動症)の疑いがあるということで、フォロー対象になることもあります。

2~3歳の時期に多く見られる特徴は、多動性や衝動性であると報告されています。落ち着いて座っているのが苦手、電車やバス、公共の場など、静かにするべき場所でも騒いでしまうなど、多動性の特徴は親にとってもヒヤヒヤするもの。周囲の視線が突き刺さり、肩身の狭い思いに苦しんだ経験を持つ方も少なくないでしょう。

ADHD(注意欠如多動症)の主な症状は? チェックリストで確認!

ADHD(注意欠如多動症)のある人によく見られる困りごとの一部を紹介します。ADHD(注意欠如多動症)の症状は「不注意」「多動性」「衝動性」の3つですが、これらの症状は関係しあったり、重なったりしている場合も少なくありません。
ADHD(注意欠如多動症)の困りごと・特性のチェックリスト。ADHD(注意欠如多動症)の症状は不注意・多動性・衝動性の3つですが、これらの症状は関係しあったり、重なったりしている場合も少なくありません。(監修:鳥取大学教授、専門行動療法士、自閉症支援士エキスパート、公認心理師 井上雅彦先生 )
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年齢や環境によっても現れる特性や困りごとは異なります。また、ADHD(注意欠如多動症)の特性があるからといって、必ずしも生きづらさや困難を抱えるとも限りません。ただ、もし上記のリストの特性や困りごとに当てはまるものが多く、長期にわたって日常生活や学校生活に支障が出ている場合は、相談機関に相談をしてみるのがよいでしょう。
ADHD(注意欠如多動症)の3つのタイプとは?【専門家監修】のタイトル画像

ADHD(注意欠如多動症)の3つのタイプとは?【専門家監修】

順番を待てず割り込んでしまうのタイトル画像

目的にまっしぐらで周囲のことが見えていないのかも、と思ったら

また、ちょっとした工夫で困りごとは小さくすることができます。ADHD(注意欠如多動症)のあるお子さんの例をご紹介します。

せわしなく動き回る理由をADHD(注意欠如多動症)のある小2息子に聞いてみたら【体験談】

家での勉強中、床にねそべって続きを解いて、トランポリン休憩をはさみ、ハンモックに乗ってユラユラしつつ問題を読み、机で次を解いたらまた動き始める息子さん(むっくん)。勉強しにくいのでは?と感じたお母さんがその理由を質問し、思いついたのは…
「どんな感じで動いてるの?そんなに動いて疲れないの?」私の質問を聞いたむっくんは、しばらく考えてこう答えました。
「なんかじっとしていると、ムズムズするっていうか。体がくすぐったくなるんだよ。勉強しているとその間はじっとするじゃん?じっとするとまばたきで瞼しか動かせないでしょ?ずっとそうしてたらオレはくすぐったくてたまらなくなるけどなぁ」
なるほど、むずむず!むずむずの理由は体幹の弱さなのか、感覚刺激なのか、いろいろと気になってしまうからなのか、分からないけれど。むっくんはむずむずしている不快感を解消する目的で動き回るということに納得です。
(中略)
この会話の最中、あっ!と叫んでむっくんは「あるもの」を取りに行きました。それはバランスボール。むっくんのお気に入りで普段からよく使っています。おもむろに自分の椅子を避けて、バランスボールをセッティング。イス代わりに腰かけてぼよんぼよんと楽しみます。
「これなら瞼以外も動かせるし、机で字も書ける!長く座っててもむずむずしない!すごくいい!!」
バランスボールがむっくんの学習お助け隊に入隊しました。
出典:https://h-navi.jp/column/article/35028666
不登校中の小2発達障害息子、家庭学習中にウロウロゆらゆら…せわしなく動き回る理由を聞いてみると?のタイトル画像

不登校中の小2発達障害息子、家庭学習中にウロウロゆらゆら…せわしなく動き回る理由を聞いてみると?

このように困りごとも工夫次第で日常が過ごしやすくなります。
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子どもがADHD(注意欠如多動症)と診断される時期は?

ADHD(注意欠如多動症)の特性がよりはっきりとあらわれるのは、幼稚園〜小学校に入学する7歳ごろといわれています。したがってADHD(注意欠如多動症)の診断を受けた時期も、就学から7歳ごろにかけてが多いようです。低年齢のころは「ADHD(注意欠如多動症)の疑い」として確定診断をせずに、慎重に診断・検査を行う医療機関もあります。

また、大人になってからADHD(注意欠如多動症)と診断される人もいます。学齢期は、ちょっと変わった子どもとして扱われ、本人の性格の問題として見過ごされてきたものの、社会に出てから仕事や対人関係で困難を抱え、受診に至ることも多いようです。
最近ではADHD(注意欠如多動症)という名称が広がり、発達障害への認識が広まってきたことから、子ども時代に診断を受ける方も増えているといえるでしょう。
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ADHD(注意欠如多動症)の特徴は?何歳ごろ診断される?【専門家監修】

1歳半健診でわが子の「多動」に気づき【体験談】

1歳半健診前には発達に関して気になることはなかったけれど、1歳半健診で同じ年ごろの子どもが集まる場面に初めて行ったときにわが子の発達が気になり始めた方もいます。
1歳半健診を受ける時期になりましたが、母子手帳のチェックリストにある“指差し”や“言葉での簡単なやりとり”などもできていたため、私は安心しきって「この子の1歳半健診はすぐに帰れるだろう」と考えていました。
(中略)
1歳半健診の会場に着いてすぐ、「あれ?」と感じました。
ほかの子どもたちはおとなしくお母さんの横で待っているのに、娘だけがウロウロと待合室を練り歩くのです。
「こっちにおいで」「ママのお膝で待とう」「大好きな絵本もあるよ」など、どれだけ声をかけても振り返りません。いつもなら呼んだら来るし、振り返って笑うのに、一体どうして?と思いました。
(引用、一部改変)
出典:https://h-navi.jp/column/article/35029152
1歳半健診の検査項目では何も指摘はなかったものの、その半年後ごろから多動だけでなく、激しい癇癪を起こすようになり、医師に相談することになったそうです。
(療育園の)先生方も「癇癪の様子がただごとではない」と感じたそうです。そこから「詳しく話を」ということになり、今度は心理士に加えて医師にも診ていただくことになりました。
一番の困りごとというと多動だったので、私はてっきり「発達障害があるとしてもADHDの傾向だろう」とばかり思っていました。
ところが、医師と心理士さんが問題視したのは多動や癇癪の強さよりも場所見知りと人見知りを全くしないことの方で、「現時点で診断をつけるとするなら自閉スペクトラム症」と告げられました。
これには本当に驚きましたが、ADHDの診断は3歳ごろまでつけづらいという理由のほか、よくよく考えると、「周囲の様子を見ることなく自分の欲求を優先してしまう」という自閉的な傾向が場所見知りと人見知りのなさにつながっていたのか!とそこで初めて気づきました。
(引用、一部改変)
出典:https://h-navi.jp/column/article/35029152/2
このように多動傾向が強い場合でも3歳以前は、発達段階としても多動傾向があるため、慎重に判断されることが多いようです。
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