定型発達と信じてた2歳次女も自閉症?1歳半健診のチェックリストは〇だけど…「ただごとではない癇癪」をきっかけに療育へ

ライター:にれ
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自閉スペクトラム症と知的障害の診断がついている長女・まゆみは1歳半健診をきっかけに療育を受けることになりました。長女のときは発達に遅れがあることが明らかだったので「引っかかるだろうな」と覚悟していましたが、目立った遅れのない次女・あずさの1歳半健診は「この子は問題ないだろう」と気楽に構えていました。その1歳半健診で初めて次女の発達の違和感に気づくことになり、療育につながるまでのお話をご紹介します。

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監修: 初川久美子
臨床心理士・公認心理師
東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち
臨床心理士・公認心理師。早稲田大学大学院人間科学研究科修了。在学中よりスクールカウンセリングを学び、臨床心理士資格取得後よりスクールカウンセラーとして勤務。児童精神科医の三木崇弘とともに「発達研修ユニットみつばち」を結成し、教員向け・保護者向け・専門家向け研修・講演講師も行っている。都内公立教育相談室にて教育相談員兼務。

定型発達だと思っていた次女

私には二人の娘がいます。長女のまゆみは自閉スペクトラム症と知的障害の診断がついており、次女のあずさはいわゆるグレーゾーンの自閉傾向があると指摘されています。

現在は4歳と2歳の娘たちですが、1歳半健診はそれぞれに思い出深いものがあります。
まゆみのときは、誰が見ても「何か困りごとのある子だな」と分かるくらい意思疎通が難しい子どもで、騒ぎすぎて別室待機になったことや、相談ごとが多すぎて帰宅が夕方になったことを今でも覚えています。

やがて次女のあずさも1歳半健診を受ける時期になりましたが、母子手帳のチェックリストにある“指差し”や“言葉での簡単なやりとり”などもできていたため、私は安心しきって「この子の1歳半健診はすぐに帰れるだろう」と考えていました。

結果として、その1歳半健診で初めてあずさの発達面の違和感に気づき、その半年後に改めて自閉傾向の指摘を受けたことから、療育を始めることになります。

「この子は問題ないだろう」と思いながら向かった次女の1歳半健診

次女のあずさと1歳半健診の会場に着いてすぐ、「あれ?」と感じました。
ほかの子どもたちはおとなしくお母さんの横で待っているのに、あずさだけがウロウロと待合室を練り歩くのです。
「こっちにおいで」「ママのお膝で待とう」「大好きな絵本もあるよ」など、どれだけ声をかけても振り返りません。いつもなら呼んだら来るし、振り返って笑うのに、一体どうして?と思いました。

仕方なく抱きかかえて席に戻ろうとすると、今度は大暴れ。どうにか席に座らせても、じっとできずにすぐウロウロ…。また捕まえても、私の手から逃れようとどんどん機嫌が悪くなってしまいます。
探索に夢中になって指示が通らないその様子は、長女まゆみの小さいころを彷彿とさせました。
1歳半健診にて。ほかの子どもたちはおとなしくお母さんの横で待っているのに、次女のあずさだけがウロウロと待合室を練り歩き、抱っこして席に座らせようとすると大暴れで困り果てる母(イラスト、にれ)
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検査項目に引っかかりはしなかったけど……不安を感じた待合室での様子

検査が終わるたびにあっちこっち行きながらも、検査自体は引っかかることなく進んでいきました。この点は予想通りだったものの、まさか待ち時間でこんなに苦労するとは想定外でした。
『次の人』として待機している少しの間にも、あずさは床のシートを剥がして裏側を確かめています。そんなことをしているのは会場であずさだけでした。

私はそんな娘の様子に不安を感じ、その場にいた保健師さんに聞いてみました。
「この子、多動でしょうか。こんなに落ち着きがないなんて」
保健師さんも観察してくれていたようで、「確かによく動く子ですね、いつもこうですか?」と聞かれました。

確かにあずさは普段からよく歩き、よく遊ぶ子どもです。ただ、制止しているにも関わらずこんなに好奇心のまま動き回る様子は記憶にありません。
考えてみると、あずさは病院にかかったことがほぼなく、予防接種も予約制で、移動もマイカーばかりのため、「じっとして待ってね」と声をかける機会があまりなかったように思います。1歳半健診はあずさにとって、初めての「じっと待つべき場」だったのです。

不安が膨らみ、長女の療育先に相談

「異常なし」として1歳半健診が済んだあずさ。けれど、一度抱いた不安は私の中で膨れ上がりました。

ひと月ほど悩んだのち、私は長女の通う療育施設に「次女も多動傾向で困りごとが出てきた」と相談させてもらいました。
幸いなことに、療育先は発達外来のある病院と提携しており、あまり待たずに心理士の方に診てもらうことができました。

ただ、その時点では「異常とまではいえない」という結果で、「言葉もよく出ており、おもちゃを介して遊んだときに“ちょうだい”も“どうぞ”もできるので現時点では発達上問題ないといえます。よく動きたがるのはお姉ちゃんの行動を見て学んでいるとも考えられますし、性格的にも好奇心が強いようです。場所見知りと人見知りのなさは見られますが、そう心配はいらないでしょう」ということでした。

「そうか、あずさの中ではまゆみの行動がスタンダードになってるんだ。もっと同年代の子の振る舞いを見る機会をつくらないと」と納得した私は、支援センターや児童館に行く回数を増やすことを安心材料にしていました。

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