ADHD(注意欠如・多動性障害)の診断・検査の内容は?ADHDの特徴チェック

2016/06/08 更新
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ADHDは不注意、多動性、衝動性の3つの特徴がある発達障害です。最近では発達障害の認識も浸透しつつあり、子どもや自分がADHDなのか気になる方も多くなってきている傾向にあります。今回は障害の特徴や専門機関での診断基準についてまとめました。

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監修: 井上 雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
専門行動療法士
自閉症支援士エキスパート
LITALICO研究所 客員研究員
公認心理師
目次

ADHD(注意欠如・多動性障害)の3つの症状

ADHDとは、不注意(集中力がない)、多動性(じっとしていられない)、衝動性(考えずに行動してしまう)の3つの症状がみられる発達障害のことです。

症状の現れ方には個人差があり、大きく3つのタイプに分けることができます。
・不注意の特徴が強く表れる人(不注意優勢型)
・多動性と衝動性の特徴の2つが強く表れる人(多動性-衝動性優勢型)
・不注意、多動性・衝動性の3つの特徴が混ざり合って表れる人(混合型)

ADHDはいつ分かる?診断の年齢は?

ADHDは先天性の脳障害ですが、生後すぐには症状が分からないので確認できず、2歳ごろから少しずつADHDの症状が顕著に見られ始めます。その症状から専門機関に相談したり、医療機関を受診して気づくケースが多いようです。2~3歳の時期で多く見られる特徴は多動性だと報告されています。3歳児健診のときに疑いがあると告げられることもあります。

ADHDの特徴が正確に認識されるのは幼稚園~小学校就学の7歳ごろと言われています。ADHDの検査はそれ以前から受けることができますが、診断が下されるのは就学前の7歳前後がもっとも多いと言われています。低年齢の頃は「ADHDの疑い」として確定診断をせずに、慎重に診断・検査を行う医療機関もあります。ADHDの診断が下される平均年齢は男子は8歳、女子は12歳で、性別によっても違うと言われています。

また、子ども時代には気づかなかったが、大人になってからADHDと診断されている人も多くいます。アメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神障害のための診断と統計のマニュアル』第5版)においては、ADHDの診断年齢が7歳以下から12歳以下へと引き上げられており、成長してからの症状の発現に留意したものになっています。大人の場合多動の特徴がみられる人は少なくなりますが、不注意や衝動性の特徴から社会生活を困難に感じる人がいます。(※1)

医療機関でのADHDの診断

ADHDの診断はアメリカ精神医学会の診断基準であるDSM-5を用いて専門医によって行われます。DSM-5以外にも世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)(※)による診断基準が用いられる場合もあります。また、本人への面談や検査(行動評価表や知能・発達・神経学的検査)、子どもの場合には家族からの情報提供などによって総合的に診断がされます。

しかし、他の発達障害や自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害との区別や、併存があるかどうかの判断が非常に難しく、1回だけの受診で確定診断がされることはありません。専門家が何度か問診・検査を重ね、時間をかけて慎重に診断を行います。

参考としてDSM-5におけるADHDの診断基準をご紹介します。ただしADHDの正式な診断は医療機関での受診が必要なので自己判断は避けましょう。ADHDを疑ったり、気になることがあれば、専門機関への相談や医療機関の受診をおすすめします。
DSM-5においては、以下の基準によってADHD(Attention Deficit Hyperactivity Disorder)が診断されます。
①不注意および/または多動性―衝動性の症状によって、生活に支障が出たり、発達が妨げられたりしている
②12歳までに、不注意または、多動性―衝動性の症状が見られた
③家庭や学校、職場などの2つ以上の環境で、不注意または、多動性―衝動性の症状が見られる
④症状が社会的、学業的、もしくは職業的機能を損ねている明らかな証拠がある
⑤統合失調症や他の精神障害の経過で生じたのではなく、それらで説明することもできない

不注意と多動性―衝動性の症状は、以下の基準で定義されています。

不注意症状とは

以下の症状が6つ(17歳以上では5つ)以上あり、6ヶ月以上にわたって持続している。
a.細やかな注意ができず、ケアレスミスをしやすい。
b.注意を持続することが困難。
c.上の空や注意散漫で、話をきちんと聞けないように見える。
d.指示に従えず、宿題などの課題が果たせない。
e.課題や活動を整理することができない。
f.精神的努力の持続が必要な課題を嫌う。
g.課題や活動に必要なものを忘れがちである。
h.外部からの刺激で注意散漫となりやすい。
i.日々の活動を忘れがちである。

引用:DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル|日本精神神経学会 (監),医学書院(2014)

出典:https://www.amazon.co.jp/dp/4260019074/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_3lKZDbBQS9G5N

多動性/衝動性症状とは

以下の症状が6つ(17歳以上では5つ)以上あり、6ヶ月以上にわたって持続している。
a.着席中に、手足をもじもじしたり、そわそわした動きをする。
b.着席が期待されている場面で離席する。
c.不適切な状況で走り回ったりよじ登ったりする。
d.静かに遊んだり余暇を過ごすことができない。
e.衝動に駆られて突き動かされるような感じがして、じっとしていることができない。
f.しゃべりすぎる。
g.質問が終わる前にうっかり答え始める。
h.順番待ちが苦手である。
i.他の人の邪魔をしたり、割り込んだりする。

引用:DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル|日本精神神経学会 (監),医学書院(2014)

出典:https://www.amazon.co.jp/dp/4260019074/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_3lKZDbBQS9G5N
※ICD-10について:2019年5月、世界保健機関(WHO)の総会で、国際疾病分類の第11回改訂版(ICD-11)が承認されました。日本国内ではこれから、日本語訳や審議、周知などを経て数年以内に施行される見込みです。(※2)

専門機関での診断は受けるべき?どこへ行けばいいの?

診断を受ける基準は?

定型発達の場合でも2~3歳ごろまでは、じっとしていることが難しく、集中力も長くは続かない子どもが多いといえます。このことから、診断を受けるのは4~5歳児ぐらいからが多くなっています。このくらいの年齢になると多動や衝動性の他にも言葉の遅れ、不器用などの特性が明らかになり、また集団での場面での課題がだんだんと分かってくるからです。

受診をする基準は、同じ世代の子どもと比べて著しく不注意・多動性・衝動性の症状があり、友達とのトラブルを起こしやすい、学力の低下が著しいなど、日常生活に支障をきたし、本人が困難や生きづらさを感じているかどうかです。

大人の場合は日常生活をするうえで、ADHDの症状と考えられる特性によってさまざまな支障をきたし、日常生活や仕事が困難で、どうにか解決したいが自分ひとりではどうにもならないという状況が受診の基準になります。

ADHDの人は、日常生活や学校・職場などの色々な場面で困難を抱え悩んでいることが非常に多くあります。適切なサポートや治療を受けることができれば本人の特性を理解して、本人や周りが困っていることの悪循環から抜け出し、能力を伸ばしていくことができます。そのためにもADHDを疑ったら専門機関へ相談し、早い時期に専門医の診断を受け、適切なサポートや治療を受けることがADHDの人にとってとても大切になります。

ADHDを疑ったら、まずは身近な専門機関で相談を

いきなり専門医に行くことは難しいので、まずは無料で相談できる身近な専門機関の相談窓口を利用するのがおすすめです。子どもか大人かによって、行くべき機関が違うので、以下を参考にしてみてください。

【子どもの場合】
・保健センター
・子育て支援センター
・児童発達支援事業所 など
また、かかりつけの小児科や、乳幼児健診の際などに相談することもできます。

【大人の場合】
・発達障害者支援センター
・障害者就業・生活支援センター
・相談支援事業所 など

その後、すすめられた場合は上記の専門機関で紹介してくれる医療機関に行き医師からの診断を受けましょう。診断を受けてADHDだった場合は今後どのように対応していけばいいか聞くことができますし、仮にADHDでなくとも普段の行動を見直すきっかけになると思います。

診断が受けられる専門機関は?

ADHDの診断は、子どもの場合、小児科・児童精神科・小児神経科や発達外来などで受けることができます。(大学病院や総合病院などにあります)

大人になって検査・診断を初めて受ける場合には、精神科や心療内科、大人もみてくれる児童精神科・小児神経科や精神科など専門の医療機関を受診することが一般的ですが、大人の発達障害を診断できる病院はまだ数が多くありません。上記の相談機関で紹介してもらえるほか、医師会や障害者支援センター、発達障害者支援センターなどでも調べることができます。

発達障害の専門機関は他の病気に比べると少ないですが、発達障害者支援法などの施行によって年々増加はしています。以下のリンクは発達障害の診療を行える医師の一覧です。

診断の流れ、必要な持ち物は?

診断・検査の流れ

ADHDの診断は医師の問診がメインになります。直接問診で本人が自宅や学校でどのような日常を送っているのかを詳しく聞き取ったり、本人の様子を見たりして症状や特性を判断します。また、面談の時にこれまでの生育歴・既往歴・家族歴などの聞きとりも行います。子どものことを医師が正確に知るために、親や担任にチェックリストを記入してもらうこともあります。それ以外にも心理テストや知能テストを行い、総合的に判断します。

大人の場合には、医師の問診でまず現状の確認をします。この時に日常的に困っていること、普段の生活の様子、得意なことや他の病院にかかっているかどうかを伝えるようにします。次に子どもの頃の様子、家族から見た印象やこれまでの病歴などについてなど、これまでの経緯を聞かれます。次に心理検査・生理学的検査などが行われます。そうしてひとまずの診断が下されます。

以上がADHDの診断の流れになります。先にも述べたように1回の受診で確定診断が下されることはありません。時間をかけて慎重に診断が下されます。

診断に必要な準備や持ち物

受診する医療機関によっても変わりますので、持ち物や準備については予約時に確認しましょう。

日常生活での行動や様子も大きな診断の要素になります。専門機関を受診する前に、ADHDの特徴を本人がどの程度持っているか、本人の状態を把握しておくことも大切です。資料として役立つことがあるので、日常生活での行動や様子の具体的なメモを持参するとよいでしょう。

子どもの場合
・担任に記録してもらった学校での様子のメモなど
・母子手帳
・保育園や幼稚園時の連絡帳
・通知表
・子どもの自筆のノート など

大人の場合
・家族に聞いた子どもの頃の様子のメモ
・小学校の通知表など子どもの頃の様子が分かるもの など

ADHDのことをもっと知るためのリンク集

ADHDには3つのタイプがあります。3つのタイプや年齢・発達別の症状については、詳しくは次のコラムでご紹介しています。
ADHD(注意欠如・多動性障害)の3つのタイプとは?のタイトル画像

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【ADHD(注意欠如・多動性障害)】0歳から成人期まで、年齢別の特徴や症状の現れ方を解説しますのタイトル画像

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【ADHD(注意欠如・多動性障害)】0歳から成人期まで、年齢別の特徴や症状の現れ方を解説します

ADHDのあるお子さんへの関わり方や、サポートの仕方を知りたいときは、次のコラムが参考になります。
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まとめ

ADHDの人が診断を受ける最大のメリットは、周りからの理解や適切なサポート・治療を得られるようになり、これまで本人が抱えていた困難を好転できるようになることです。

また、子どもの行動やトラブルで悩んでいるパパ・ママも多いと思います。診断を受け専門家に相談することによって、どのような対応法が本人に合っているかが分かるので、落ち着いて向き合うことができるようになります。

まずは本人が困っている様子に気づくこと、そして気になることがあった時点で早めに身近な専門機関に相談することが大切です。そして診断を受けたら、周りの人はADHDの人に対しての正しい知識と理解をもち、本人の生きづらさや本人にとって困難なことがどうすれば少なくなるか、一緒に考えるように努めましょう。
発達障害 僕にはイラつく理由がある!
かなしろ にゃんこ。(著)
講談社
図解 よくわかるADHD
榊原 洋一 (著)
ナツメ社
ADHD 注意欠陥多動性障害の本
司馬 理英子 (著, 監修, 監修)
主婦の友社

参考文献・サイト

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