【専門家監修】ASD(自閉スペクトラム症)の子どもの0歳~6歳、小学生、思春期まで年齢別の特徴、診断や治療、支援、接し方など
ASD(自閉スペクトラム症)とは、以前自閉症やアスペルガー症候群などの名称で呼ばれていた診断をまとめてできた診断名です。社会的なコミュニケーションの困難さ、限定された行動、興味、反復行動などの特性が見られ、年齢や環境などによってさまざまな困りごとが生じてきます。ASD(自閉スペクトラム症)の子どもの0歳~6歳の未就学期、小学生、思春期ごとに表れやすい困りごと、診断、治療法、支援や子どもに対する接し方について紹介します。
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ASD(自閉スペクトラム症)とは?
このコラムで分かること
- ASD(自閉スペクトラム症)の定義と、0歳~6歳・小学生・思春期など成長段階ごとに変化する特性や困りごと
- 3歳児健診などをきっかけとした早期発見のポイントや、医療機関での具体的な診断・検査方法
- 児童発達支援や放課後等デイサービス、障害者手帳など、利用できる公的な支援制度と経済的サポート
- 「視覚的に伝える」「予定を予告する」など、子どものパニックを防ぎ安心させるための具体的な接し方
- 二次障害を防ぐための早期療育の重要性と、保護者が一人で悩まないための相談窓口
ASD(自閉スペクトラム症)は幼少期に気づかれることが多いと言われていますが、特性の表れ方には個人差があるため就学期以降や成人期になってから困りごとが生じて診断を受ける場合もあります。
ASD(自閉スペクトラム症)の原因
ASD(自閉スペクトラム症)の子どもの特徴【0歳~思春期】
ASD(自閉スペクトラム症)の子どもの特徴の一例
・コミュニケーションを取るのが困難
・特定の刺激や活動に対するこだわりがある
・言葉の遅れがある
・臨機応変に対応するのが苦手
・感覚に過敏がある
・状況に合わせた話し方をするのが苦手
・興味のあるものにはとことん没頭する など
特徴には個人差があり、すべての子どもに当てはまるわけではありませんが、一つの参考としてご覧ください。以下では、大まかな年代別の特徴の表れ方を紹介していきます。
0歳~6歳(乳幼児~小学校入学前)
しかし、診断前でも幼児期全体を通してみると、以下のような特徴的な行動をとっていたことが多いと言われています。
■人や物に対する興味の偏りがある
視線を合わせようとしない子どもが多いと言われています。ほかにも一人遊びをし続ける、ほかの子どもへの興味が薄い、名前を呼んでも振り返らないなどの特徴が見られることがあります。
また、定型発達の子どもは興味があるものを指で指して相手に伝えようとするのに対し、ASD(自閉スペクトラム症)がある子どもは指さしをして相手に興味を伝えることをしない傾向があります。
■コミュニケーションを取るのが困難
ASD(自閉スペクトラム症)の子どもは会話においても特徴が見られることがあります。一方的に言いたいことだけをしゃべる、質問に対してうまく答えられないなどの特徴があります。言葉以外にも、身振り手振りなど言語外のコミュニケーションが苦手という特徴も見られることがあります。
■特定の刺激や活動に対するこだわりがある
ASD(自閉スペクトラム症)の子どもは、特定の刺激や活動にこだわりがみられることがあります。例を以下でご紹介します。
・くるくるまわるものをずっと見ている
・ドアを意味もなく開け閉めする
・お気に入りのおもちゃをひたすら並べる
・道順が違うとパニックになる
・遊具やおもちゃを使う順番を待てない
・活動の切り替えが難しい など
■言葉の遅れがある
ASD(自閉スペクトラム症)の子どもの中には、年齢別の発達の目安と比べて、言葉を発するのが遅かったり、語彙がなかなか増えていかないという場合があります。
6歳~12歳(小学校入学~卒業)
人の気持ちや意図を汲み取ることが苦手な傾向があるため、年齢相応の友人関係を育むことに困難がある場合があります。クラスメイトなど周りの子どもにあまり関心がなく、マイペースに自分の好きなことに熱中する傾向があります。また、後述する感覚の過敏性から人が多い場所が苦手で集団の活動に参加することが難しい場合もあります。
■臨機応変に対応するのが苦手
予定の変更に対応することが困難で、きちんと決められたルールを好み、場面に応じて臨機応変に対応することが苦手な傾向にあります。
■強いこだわりを持つ
日常生活において特定の物事や順番などにこだわりを持っていることが多く、いつもと手順が変わると混乱してしまうことがあります。
■感覚に過敏がある
視覚、聴覚、触覚などの感覚に過敏がある子どももいます。ほかの人には気にならない光や音などに過敏に反応したり、肌着のタグが触れるなどの感覚がひどく不快だったりと、子どもによって過敏の表れ方は異なります。また、過敏の反対で感覚の鈍さが見られる感覚鈍麻(どんま)がある子どももいます。
12歳~(小学校卒業後)
敬語や丁寧語の使い分けが難しいなど、立場や状況に合わせた話し方をするのが苦手な傾向があります。
■人の気持ちや感情を読み取るのが苦手
人が何を考えているのかなどを推測するのが苦手な傾向があり、皮肉や比喩などの微妙なニュアンスの理解が困難で、相手の言葉を言葉通り捉えることで思わぬトラブルになることもあります。
■雑談が苦手
目的の無い会話をするのを難しく感じる場合が多いです。聞き手の興味関心にかかわりなく、自分の興味関心があることを一方的に話し続けることがあります。
■興味のあるものにはとことん没頭する
特定の物事に強いこだわりを持つ傾向があります。そのため、興味のあることにとことん没頭し豊富な知識を身に付けることも多いですし、その分野で大きな成果をあげられることもあります。
ASD(自閉スペクトラム症)の二次障害
こうした二次障害を予防するためには、なるべく早いうちから特性の理解や環境調整など、適切な支援を行うことが大切です。
ASD(自閉スペクトラム症)の診断
問診
問診表が前もって渡されるか、病院のWebサイトからダウンロードできる場合もあるので、事前に話す内容をまとめておくとよいでしょう。
行動観察
心理検査
そのほかにも併存している疾患の有無などを検査したうえで、医師が総合的に判断します。
ASD(自閉スペクトラム症)の診断は子どもの場合は児童精神科、小児神経科、発達外来のある総合病院などで受けることが可能です。基本的に予約制なのであらかじめ確認しておきましょう。また、市町村保健センターなどでは心理検査を受けられる場合もあります。
下記のサイトでは全国の発達障害専門の小児科がリストアップされています。受診の際の参考にしてみてください。
ASD(自閉スペクトラム症)の治療方法
特性に合った支援
そのため、特性を把握して子どもに合ったコミュニケーション方法や環境調整の方法、それに困難をカバーできるツールの使い方を身につけるなど、その子に合った支援を行うことで困りごとを軽減させていきます。
例えば視覚に過敏がある子どもの場合、一人で自室で勉強している時には集中できても、学校の教室だと刺激が多すぎて集中ができないことがあります。その際に、教室での席を周りの動きが目に入らない先頭の席にする、パーティションで視界を区切るなどその子に合った支援を行うことで、困りごとを減らしていくといった方法があります。
また、児童発達支援/放課後等デイサービスといった公的支援サービスを利用することもできます。詳しくは後述する5章でご紹介します。
薬物療法
薬物療法は効果が出るまで時間がかかるほか、副作用が生じることもあります。気になることがある際は、主治医に相談しながら治療を進めるようにしましょう。
ASD(自閉スペクトラム症)の子どもへの支援
児童発達支援/放課後等デイサービス
児童発達支援は0歳から6歳までの小学校入学前の子どもが対象で、放課後等デイサービスは小学校入学以降の子どもが対象となっています。
どちらのサービスも障害者手帳や診断がなくても、市町村保健センター、児童相談所、医師などにより支援の必要が認められれば利用することが可能です。詳しいことは自治体の障害福祉窓口などでご確認ください。
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合理的配慮
ほかにも合理的配慮の例は以下のようなものがあります。
・聴覚過敏の子どもにイヤーマフの使用を許可する
・辛くなった時に落ち着くための部屋を用意する
・予定の変更がありそうな時はあらかじめ予告する など
合理的配慮は本人や保護者と通っている園の担当、学校の担任、スクールソーシャルワーカーなどが相談しながら可能な範囲で実施していきます。
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障害者手帳
ASD(自閉スペクトラム症)など発達障害のある人は、精神障害者保健福祉手帳が対象のほか、知的障害(知的発達症)を伴う場合は療育手帳も対象です。
精神障害者保健福祉手帳は自治体の障害福祉窓口、療育手帳は児童相談所がそれぞれ窓口になっています。
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自立支援給付
自立支援給付を利用するには、自治体の障害福祉窓口に申請して受給者証の交付を受ける必要があります。
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ASD(自閉スペクトラム症)の子どもへの接し方
主に以下のようなポイントがあります。
・具体的に伝える
・一度に一つのことを伝える
・注意をひいてから伝える
・あらかじめ予定や全体の流れを伝える
・口頭だけでなく写真やイラストなど視覚的な方法で伝える
・予定変更の可能性がある場合は、あらかじめ伝える
・子どもにとって安心できる場所を用意する など
例えば「少し座ってて」と伝えても「少し」がどのくらいかわからず実行できないことがあります。そのため、「6時まで」など具体的に伝えるようにしましょう。また、その際に言葉だけでなく実際の時計を使って説明するのも効果的です。
ただ、ASD(自閉スペクトラム症)という診断に関わらず、子ども一人ひとり個性は異なります。その子の様子を見て、適切な接し方を探していくことが大事です。
ASD(自閉スペクトラム症)に関する相談先
子どもについて相談できる身近な窓口の例
・市町村保健センター
・児童相談所
・子育て支援センター
・児童発達支援センター
・発達障害者支援センター
・自治体の子育て窓口 など
まとめ
ASD(自閉スペクトラム症)は子どものころから言葉の遅れやこだわり、対人関係などの困難によって気づかれ、3歳ごろから診断を受けることが多いと言われています。
ASD(自閉スペクトラム症)の特性からくる困りごとは、子どもの成長と小学校入学など環境の変化にしたがって変わっていきます。つらい状況が続くことで、不登校など二次障害につながることもあるため、早いうちに子どもに合った支援を行っていくことが大切です。
いきなり医療機関を受診するのは抵抗があるという場合は、市町村保健センターや児童相談所など身近な専門機関に相談することも方法の一つです。
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