将来を見据えたとき、このままでいいのだろうか?

小学生になっても療育は続くのですが、その頃には旧車両の3000系がほとんど来ない状態。

このままでいいのだろうか、と思いゆっくりと見通しを伝えていくことにしました。
年長の3月1日から、用もないのに渋谷駅に連れて行き、入場券を買って井の頭線ホームに連れて行きました。

そして「もうすぐ、小学生だね。4月から1000系や急行電車にも乗るからね」と伝え、家でも“1000系の急行電車”と“1000系の各駅電車”の写真を見せ続けました。

いよいよ1年生になった4月の療育初日。
息子は決して嬉しそうな顔はしませんでしたが、泣き叫ぶことはなく身体を固くして乗ってくれたのです。

このやり方がよかったかどうかは、今でもわかりません。でも、はじめの2年間はこだわりに応じ、たっぷりと安心感を積んだことで、苦手な「変化」にも対応できるようになったのかな、と勝手に解釈しています。

そして、「お母さんとしてよく頑張ったね」と自分で自分を褒めました。

現在の息子はというと…

4月には高校生になる息子に当時の話をしたら、はにかんだ顔をして「もう井の頭線は卒業した」と言います。

自閉症児として生まれて数年しか経っていない幼児期に、「苦手なことを克服しなさい」と言われるのは本人にとっては相当酷なことだと思います。母親として子どもが安心できるよう、まずは寄り添うことで、恐々でも新しいものに挑戦できるようになっていくのだと思いました。

息子は今でも“傘が壊れても同じデザインの傘しか持てない”、“食事前には納豆を立って食べる”など、こだわりがゼロになったわけではありません。でも、幼児期に比べたらずいぶん減ってきました。

だからこそ、今悩み苦しんでいるママに伝えたいと思います。
「発達障害児だって、成長します。絶対に後退はしません。
日々経験を積んで、それなりに学んでいるのです。今はしんどいかもしれませんが、ずっと今のままの状態が続くことはありませんから大丈夫ですよ!」と。
こだわりからの卒業、最初の一歩は「とことん付き合う」ことの画像
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