特別児童扶養手当とは?対象者や認定基準、支給日、手続き方法などを解説【専門家監修】

ライター:発達障害のキホン
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特別児童扶養手当とは、障害のある子どもを対象に、一定の手当を支給する国の制度です。子どもの状態によって支給される金額や必要書類が異なります。この記事では、特別児童扶養手当の概要や申請方法について解説します。

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監修: 中里哲也
帝京科学大学 准教授
社会福祉士、精神保健福祉士。大学卒業後、医療機関・有床クリニックにて医療ソーシャルワーカーとして約17年勤務。 現在は、帝京科学大学准教授(社会福祉学修士)として教壇に立ち、フリースクール運営も行っている。 日本医療ソーシャルワーカー協会元理事であり、各都道府県医療ソーシャルワーカー協会などで研修講師を務める。認定社会福祉士制度登録スーパーバイザーとして、個別スーパービジョンやグループスーパービジョンを実施。援助者の育成に尽力。
目次

特別児童扶養手当とは?

「特別児童扶養手当」とは、障害のある子どもを対象に、その保護者や養育者へ給付される扶養手当です。1964年の「特別児童扶養手当等の支給に関する法律」の制定によって発足しました。保護者の間などでは「特児手当」と略して呼ばれることもあります。

この法律は、精神または身体に障害のある児童について手当を支給することで、生活の豊かさの増進を支援することを目的としています。児童が20歳になるまで、障害の等級に応じて一定の金額が保護者もしくは養育者に支払われます。
出典:e-Govポータル「特別児童扶養手当等の支給に関する法律」
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=339AC0000000134_20220617_504AC0000000068
出典:特別児童扶養手当について|厚生労働省ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jidou/huyou.html

特別児童扶養手当の対象者・障害認定基準は?

特別児童扶養手当の対象者は、精神または身体に障害のある子どもとなっています。具体的には身体障害、知的障害(※)、精神障害などが該当し、発達障害も対象です。

※現在、『ICD-11』では「知的発達症」、『DSM-5』では「知的能力障害(知的発達症/知的発達障害)」と表記されていますが、法律においては「知的障害」とされているため、この記事では「知的障害」という表記を用います。


それぞれの障害について認定基準が定められており、障害の程度により1級または2級に該当する場合、支給対象となります。1級は誰かの補助がないと日常生活のことがほとんどできない程度の状態を、2級は他者の助けは必要としなくとも日常生活が極めて困難な状態を言います。

例えば、知的障害や発達障害の場合、以下のような認定基準になっています。
・1級
知的障害:知的障害があり、食事や身のまわりのことを行うのに全面的な援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が不可能か著しく困難であるため、日常生活が困難で常時援助を必要とするもの
発達障害:発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が欠如しており、かつ、著しく不適応な行動が見られるため、日常生活への適応が困難で常時援助を必要とするもの

・2級
知的障害:知的障害があり、食事や身のまわりのことなどの基本的な行為を行うのに援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が簡単なものに限られるため、日常生活にあたって援助が必要なもの
発達障害:発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が乏しく、かつ、不適応な行動が見られるため、日常生活への適応にあたって援助が必要なもの

出典:特別児童扶養手当等の支給に関する法律施行令別表第3における障害の認定について|厚生労働省ホームページ
出典:https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta9427&dataType=1
なお、特別児童扶養手当の障害認定基準は、障害年金の障害等級、1級・2級と同程度です。

また、特別児童扶養手当が支給されるのは、対象となる子どもの年齢が20歳未満と定められています。児童福祉法等では、児童は“18歳未満”と定義されますが、今回の特別児童扶養手当では、”20歳未満で精神又は身体に障害を有する児童”を対象としています。
出典:特別児童扶養手当について|厚生労働省ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jidou/huyou.html

特別児童扶養手当のQ&A

◇特別児童扶養手当のメリット・デメリットを教えてください
特別児童扶養手当のメリットとしては、障害の等級に応じて手当が支給されることで経済的な助けとなる点が挙げられます。
デメリットは基本的にはないと言えます。特別児童扶養手当の受給が周りに知られることや、不利な扱いを受けるなどもありません。

◇特別児童扶養手当は何歳まで支給されますか?
特別児童扶養手当は、定められた障害の状態に該当する20歳未満の子どもが対象です。ただし所得制限があり、保護者や養育者の前年度の所得によっては、支給が停止されることがあります。所得制限について、詳しくは後ほど説明します。

◇特別児童扶養手当を受け取るための条件を教えてください
特別児童扶養手当を受給するには、主に6つの条件があります。

1.給付対象の児童が20歳未満であること。
2.給付対象の児童が、日本国内に住んでいること。
3.保護者もしくは養育者が、日本国内に住んでいること。
4.給付対象の児童が、児童福祉施設等(母子生活支援施設、保育所、通園施設を除く)に入所していないこと。
5.給付対象の児童が、障害が理由での公的年金を受給できないこと。
6.受給資格者(子どもの父母等)、もしくはその配偶者、又は扶養義務者(※)の前年の所得が、一定の額を超えていないこと。
※扶養義務者とは、受給者世帯と生計をともにするもののことを言います。
参考:特別児童扶養手当について|厚生労働省ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jidou/huyou.html

特別児童扶養手当の支給額はいくら?

特別児童扶養手当の支給額は、支給対象となる児童の障害の程度によって定められています。障害の程度は2種類あり、1級は誰かの補助がないと日常生活を送ることが難しい程度の状態、2級は他者の助けは必要としなくとも日常生活が極めて困難な状態を言います。

障害の等級に応じた支給額は以下の通りです。
・1級=支給対象児童1人につき月額55,350円
・2級=支給対象児童1人につき月額36,860円


上記の金額は2024年4月時点の金額で、特別児童扶養手当の支給額は毎年見直されます。
出典:特別児童扶養手当について|厚生労働省ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jidou/huyou.html

特別児童扶養手当の所得制限って?

特別児童扶養手当は所得制限があり、請求者もしくはその配偶者、または扶養義務者の前年の所得がそれぞれ限度額を超えた場合、手当は支給されません。

所得制限の収入額の目安は以下の通りです。
出典:特別児童扶養手当について(厚生労働省ホームページ)をもとに作成
出典:特別児童扶養手当について(厚生労働省ホームページ)をもとに作成
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特別児童扶養手当の支給日

特別児童扶養手当の申請が認定されると、申請日の翌月分から手当が支給されます。原則として前4ヶ月分が年3回(12月期、4月期、8月期)、請求者が指定した金融機関の口座に振り込まれます。

なお、12月期のみ1ヶ月早い11月に手当が支給されます。また、下記の支払日が金融機関の休業日に当たる場合は、その直前の営業日が振込日となります。
特別児童扶養手当の支払日とその日に支払われる金額の対象月をまとめた表
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特別児童扶養手当と児童扶養手当の違いって?

特別児童扶養手当と同じく、保護者や養育者に対して手当が支払われる「児童扶養手当」というものがあります。名称は似ていますが、特別児童扶養手当とは支給対象が異なり、全く違う制度であるため注意が必要です。

特別児童扶養手当は、精神または身体に障害がある児童の保護者や養育者に手当を支給します。対して児童扶養手当は、主に父子家庭または母子家庭、それに近い状態で子どもを養育している保護者に対して手当を支給します。手当によって、その家庭の生活の安定と自立を促すことが目的です。
特別児童扶養手当と児童扶養手当それぞれの目的、対象、金額、支払時期に関してまとめた表
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両者とも受給にはさまざまな要件があり、それらの要件を満たしていると支給されます。また、支給額は物価の変動に応じて毎年見直されます。
出典:児童扶養手当について|子ども家庭庁ホームページ
https://www.cfa.go.jp/policies/hitori-oya/fuyou-teate
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