何度言っても伝わらないのはなぜ?中学生の息子に理由を聞いたら…

ライター:kaoru
何度言っても伝わらないのはなぜ?中学生の息子に理由を聞いたら…のタイトル画像

子どもにどれだけ注意しても、言うことを聞いてくれないのはなぜでしょう?子どもにわかりやすい、伝え方はあるのでしょうか?ヒントは息子から教えてもらいました。

聞くことが苦手な息子が考えた、コミュニケーション方法

アスペルガー症候群の息子は、コミュニケーションにおいて、いくつかの困難を抱えながら生きています。言語は達者ですが「話す」ことの円滑さに相対して、「聞く」ことが苦手。

だからこそ、「人の話を聞かない」「空気が読めない」などと言われ、同級生や先輩、年下の相手に至るまで、息子は上手く関わる事ができず、時々衝突します

子どもだけではありません。相手が大人でも、コミュニケーションが上手くいかないことがあるのです。

ある日息子が自慢げに、説教の受け方を教えてくれたことが、あります。

「大人が怒って説教を始めたら、タイミングよくうなずいて、時に『はいっはいっ』と相槌を打つ。相手の言葉が切れたところで、素早く謝る。僕の経験だと、この方法が1番早く説教が終わる。」

息子は、説教を聴いて反省するのではなく、いかに早く説教を終わらせるかを、考えていました。

これまでのお説教は、半分しか届いていなかった?

「大人の説教は雑音にしか聞こえない。不快な音にしか聞こえないから早く終わらせた方が良い。」こう考える息子は、決してふざけている訳ではありません。

ガミガミくどくど言われても、頭に入っていかないようなのです。息子にとって説教する先生の声は、雑音があまりに多すぎるために、「伝えたいこと」が届かないのです。

息子は、「何もかも一生懸命聞くと、頭がこんがらがってパニックになってしまうけど、聞かずに相槌と謝るタイミングを計るだけにしたら、耐えられるようになった」と教えてくれました。

「お母さんのお説教も、雑音にしか聞こえないの?」と思わず聞きました。

「お母さんの説教も半分は雑音だけど、お母さんはちょっと違うんだ。聞き流している僕の耳に、突然スコンと言葉が入ってきて、思わず納得してしまうんだよ」

母親として息子の発見に感心しつつ、自分の言葉も半分は雑音だったかと思うと、少し複雑ではあります。

「お説教の内容に納得してしまう割には、『うーっ』って唸ったり、泣いたりするよね?どうして?」と聞くと、「言われたことを脳が考えようとしてるのに、それも待たずに次々と言うから、混乱しちゃうんだよ」と息子。

息子は注意をされる場面で、「ふてくされている」とか「返事がない」と思っていましたが、実は混乱しているだけだったんですね。妙に納得してしまいました。

息子にとって嫌な説教というのは、厳しさではなかった!

説教の話で1人、思い出した先生がいます。

中学に入った息子が「すごく良い先生なんだよ」と教えてくれたのですが、その先生の評判を聞いて驚きました。学年で1番厳しい先生だったからです。

こんなに厳しい先生を気に入っているのはなぜだろう?不思議に思って聞いてみました。

「先生は厳しいよ、でも正論しか言わない。どんなことを言われても納得してしまう。だから何を言われても大丈夫。僕がキライなのは、結論を出さずに話がどんどん変わっていく人。

最後まで一生懸命聞いても、最終的に何が言いたいのか分からない人の話は、説教じゃなくても、雑音にしか聞こえない。」

息子が苦手なのは怖い人ではなく、わかりにくい人だったんだ!目からウロコが落ちる思いでした。

「話しているうちに、あちこちと話題が変わったあげく、明確な結論が出ない」といった会話は、息子を最も混乱させるのだと、思っておいたほうが良さそうです。

息子が「お母さんの話も半分は雑音」と言った意味の謎が少し解け、気を付けるべきポイントも、把握できました。
次ページ「「わかりやすいこと」が成長につながる」

追加する

バナー画像 バナー画像

年齢別でコラムを探す


同じキーワードでコラムを探す



放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

コラムに対する投稿内容については、株式会社LITALICOがその内容を保証し、また特定の施設、商品及びサービスの利用を推奨するものではありません。投稿された情報の利用により生じた損害について株式会社LITALICOは一切責任を負いません。コラムに対する投稿内容は、投稿者の主観によるもので、株式会社LITALICOの見解を示すものではありません。あくまで参考情報として利用してください。また、虚偽・誇張を用いたいわゆる「やらせ」投稿を固く禁じます。「やらせ」は発見次第厳重に対処します。