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[第3回]

この仕事に熱中できるのは「簡単じゃない」から。自分に合ったフィールドは自ら動き拓いていく。

アメリカ合衆国シリコンバレー在住の若手プログラマー上杉周作さん。教育関係のITベンチャー企業で働く傍ら高校生に向けた講演や、NHK「ニッポンのジレンマ2016元日SP」に出演するなど活躍の幅を広げています。そんな上杉さんも幼少期の頃は学力の凸凹や友人関係に苦労した経験があるとか…。現在の活躍までのライフストーリーをお伺いします。

仕事のポリシーは、「小さなことでも周りが困っていたら助ける」

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編集部:プログラマーとしてご活躍されている上杉さん。今回は、仕事という視点でお伺いしたいと思います。

以前、「営業職ほどコミュニケーションやホスピタリティが重要じゃないから、対人関係は今そんなに困っていない」とおっしゃっていましたが…

上杉:そうですね。もちろん、仕事をする上でコミュニケーションは大事だと感じていますが、プログラマーという職業も働く環境も僕に合っていると思います。

編集部:働く上で心がけていることはありますか?

上杉:僕の働く上でのポリシーは「どんな小さなことでもいいから、周囲の社員が困っていたら、助ける」なんです。
困っている人がいたら、一番最初に気づいて助けてあげられる人でありたい。ネットがつながらないとか、プリントアウトができないとか、ほんの些細な事であっても。
編集部:それは、どうしてでしょうか。

上杉:Facebookでインターンをしていたとき、優秀な上司がいつも言っていました。

大企業では周囲の人を助けても対して変化は無いけれど、小さなチームでは周囲の人を助けると、会社も変わる。

周囲の人が成功すればするほど、プロジェクトは進むし成果もだせる。ベンチャーだったら、会社が成功したらストックオプションという形で自分にも見返りがある。

その上司はとても優秀で、彼は後に有名なIT企業の社長になったのですが、すごい人の行動原理ってシンプルなんだなと思ったんです。どんなに優秀な人も「当たり前のことを大切にしてる」と気づきました。

編集部:なるほど。

上杉:こう思えるまでは、自分の事でいっぱいいっぱいでしたから。

プログラマーになってから、毎日の業務で「これ簡単だな」と思った事はありません。多分、だからこそ僕はこの仕事が好きなんだと思います。
どう頑張っても「最高に綺麗な答え」というのは無く、どんなに優秀なプログラマーでも「プログラミングは簡単だ」と思うことは出来ない。

この業界の「永遠に終わりがない感じ」が、ぼくは好きですね。

子どもの世界を、まずは家族が知る。すると必要なものが見えてくるかもしれない。

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NHK「日本のジレンマ」に出演したとき
編集部:将来プログラマーになりたい、という子ども達も多い一方で、大人がそれをどうやって導いてあげたらいいのか難しいというお声も聞きますが…

上杉:そうですねえ、もし僕に子どもがいて、その子が自分の子ども時代と似ていたらまず「本人が興味のあることを一緒に勉強する」と思います。かじる程度でも。

と、いうのも、

僕の弟はチェスでアメリカの全米高校チャンピオン、日本チャンピオン、そしてチェスオリンピックの日本代表になったのですが、弟がチェスをはじめてすぐ、ぼくら家族全員でチェスをはじめたんですよね。

家族がちょっとでもその世界のことを知っていれば、子どもが言うことの信ぴょう性とか、どんな環境に置いてあげるのが良いのか、など考えやすいのだろうなと思います。

編集部:なるほど。一方で「何にも興味がない、出来ることはあるけど別にやりたいことではない」という子ども達もいますが…

上杉:そんなときは「人に会うこと」が大事だと思っています。

学校がつまらないなら、学校で出会えない人達や、同い年で自分よりはるかに先に行っている人とか。

今はインターネットがありますから、地域や国を超えて、刺激を取りに行くことは出来ると思います。ツイッターで「この人すごい」と思えるような人をフォローするだけでもいいと思いますよ。

凸凹があることに悩んでいた自分から、今、子どもたちに伝えたいこと

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学生向けに講演を行ったとき
編集部:確かに、少し調べてみるだけでも色んな選択肢が見えてきそうですね。

最後にお聞きしたいのですが、昔の上杉さんと同じような悩みを抱えている子どもたちと出会ったとしたら、どんなことを伝えたいですか。

上杉「好きなことをやったらいい」、と伝えます。その時は、ぜひアメリカも視野に入れてみてほしいですね。

もし日本の教育システムが息苦しかったり、勉強が物足りなく感じるのであれば、アメリカには「飛び級」がありますよ。大学の同級生には15歳くらいの子もいました。高校が簡単すぎるから、と。

「同世代との集団生活を経験しないのは、社会性の面で心配だ」という意見もありますけど、飛び級するような子は思考も大人びているので、そんな事ないのでは?という気もします。

編集部:なるほど。

上杉:「飛び級の逆」もいいですよね。僕は数学は飛び級して、国語は学年を戻してくれたら嬉しかったな。そしたら国語もしっかり理解できたのに(笑)

編集部: たしかに、それ便利ですよね。でも、上杉さんみたいに凸凹が大きい人って、やっぱり魅力的だと思いますけどね。

上杉: ほめても何も出てきませんよ(笑)

【インタビュー完】
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