1歳半健診とは?積み木や指差しなどのチェック項目は?診査内容や目的、持ち物の工夫まで紹介【医師監修】

ライター:発達障害のキホン
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1歳半健診は、正式には「1歳6か月児健康診査」といい、子どもの心と体の発達を確認します。また、育児相談をはじめとしたサポートを受けることができます。このコラムでは1歳半健診の目的、内容、健診後、待ち時間の工夫などを紹介します。

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監修: 藤井明子
小児科専門医
小児神経専門医
てんかん専門医
どんぐり発達クリニック院長
東京女子医科大学大学院修了。東京女子医科大学病院、長崎県立子ども医療福祉センターで研鑽を積み、2019年よりさくらキッズくりにっく院長に就任。2024年より、どんぐり発達クリニック院長、育心会児童発達部門統括医師に就任。お子様の個性を大切にしながら、親御さんの子育ての悩みにも寄り添う診療を行っている。 3人の子どもを育児中である。
目次

1歳半健診とは

1歳半健診は、正式には「1歳6か月児健康診査」といい、各市町村の保健センターなどで主に集団で行われる乳幼児健診(乳幼児健康診査)の一つであり、子どもの成長、栄養状態、先天的な病気の有無などを確認すると共に、栄養指導や保護者(養育者)へのサポートを行う、大切な健診です

1歳半健診の内容って?

1歳半健診では、積み木を使い指先の微細運動の発達を診たり、意味のある言葉や物事を理解できているか、コミュニケーションがとれるかなどを確認したりします。また歯や口内環境について一般的な歯科検診のように行ったり、身体測定や診察などもあります。

上記の項目が必ずできないといけないわけではありません。心や言葉の発達は1歳半の時点では一人ひとり発達度合いに差があります。家庭ではできているという場合は、その旨を伝えるとよいでしょう。
乳幼児健診には、医師、歯科医師だけでなく、保健士、場所によっては栄養士、管理栄養士、歯科衛生士、看護師、心理職に従事している人などの専門家がいます。保護者の方の日ごろの悩みや子どもの様子で気になることあれば、積極的に相談してみましょう。

乳幼児健診のスケジュール

乳幼児健診の時期は、1ヶ月、3~4ヶ月、6~7ヶ月、9~10ヶ月、12ヶ月、1歳半、3歳です。ごく少数、自治体によってその後の4歳、5歳、6歳の幼児健診を行っている場合があります。

そして、その中でも1歳半と3歳の健診は母子健康法で定められた健診であり、費用は自治体が負担してくれるため、原則無料となっています。自治体によっては、そのほかの健診も無料の場合があります。
母子健康法

第十二条  市町村は、次に掲げる者に対し、厚生労働省令の定めるところにより、健康診査を行わなければならない。
一  満一歳六か月を超え満二歳に達しない幼児
二  満三歳を超え満四歳に達しない幼児
第二十一条  市町村が行う第十二条第一項の規定による健康診査に要する費用及び第二十条の規定による措置に要する費用は、当該市町村の支弁とする。
出典:https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82106000&dataType=0&pageNo=1
1歳半健診は、体の発達を中心に診てきたそれまでの乳幼児健診とは違い、心と体の発達の両方を診査します。保護者の方の中には、「1歳半健診の内容ってどんなものがあるの?」「子どもの様子が気になる」「母子手帳の項目ができない」など、1歳半健診を受ける前にさまざまな不安を抱えている方も少なくないのではないでしょうか。

このコラムでは、1歳半健診の目的や内容を、実際に1歳半健診を実際に経験した保護者の方の経験談も交えながら説明していきます。

1歳半健診の目的

1歳半健診では、次のような目的で診査が行われています。

1.子どもの体の健康、発達の確認
2.子どもの心の健康、発達の確認
3.疾患の有無
4.子どもとその保護者のサポート

1歳半健診とそれまでの健診の大きな違いは、子どもの心の発達も診査することです。

それまでの健診では、乳児の体の成長、たとえば、身長や体重、栄養状態などを確認することを目的としてきました。

しかし、1歳半ごろからは脳幹支配から大脳支配が優位になるため、心身の発達がより著しくなってきます。そのため1歳半健診では、知的発達と社会性・行動の発達という大きく2つの観点から子どもの成長を診ます。たとえば、意味のある単語を発するか、理解できているか、アイコンタクトがとれるか、動作を真似するか、など。また歩行や微細運動(積み木を積めるかなど)、遊びや生活の中での行動の発達も確認します。

それ以外にも、生活習慣や子どもの興味などに関することも確認し、必要があれば栄養指導、育児相談を促し、心身の健康をサポートします。


そして、1歳半健診では、先天性疾患や、斜視、聴覚異常、心音異常、皮膚の異常などの有無を確かめる重要な機会でもあります。子どもの様子により、経過観察の場合もあれば、専門的な病院を紹介してもらえることもあります。

心の発達は体の発達と同じように一人ひとり異なります。1歳半ごろは、心身の発達スピートの個人差も大きい時期です。発達がゆっくりの場合でも早期に働きかけることで、遅れを取り戻すことができることもあるので、1歳半健診を受けて現在の発達状況をしっかり把握しておくことは重要です。

子どもと保護者へのサポートも健診の大きな目的として位置づけられています。子育てには保護者の健康状態はとても重要です。日々の悩みや不安を保健師さんや専門家に相談できるチャンスが1歳半健診です。多くの健診で相談の時間が設けられているので、事前に相談したいことを考えて行くとよいでしょう。

そのほかにも、子どもへの栄養指導や、同じ月齢の子どもを持つ保護者との交流の場としての役割も、1歳半健診は担っています。

1歳半健診の内容、積み木や指差しなどのチェック項目や当日の流れ

一般的な集団健診の1歳半健診の診査内容と流れを詳しく説明していきます。

当日は、まず受付を行います。
受付時間が決まっている場合と、健診を行っている時間ならいつ来てもよいという場合があります。市区町村からあらかじめ送られてきた問診票、母子手帳と診査受診券で受け付けを済ませましょう。問診票はあらかじめ記入しておきましょう。

診査項目

問診(予診)では、問診票を使いながら、実際に保健師さんが子どもの様子を診ます。その後、保護者の相談に乗ってくれます。子どもの様子については一般的に以下の診査項目で確認していきます。

1.積み木
指先の微細運動ができているかを診ます。具体的に積み木を2、3個積むことができるか、積み木を打ち合わせて音を出すことができるかを確認します(場所によっては、クレヨンなどで殴り書きをさせて、指先の微細運動を確認することもあります)。保健師が「積み木ちょうだい」などの言葉がけをして、他人の言葉を理解できるかを同時に確認する場合もあります。

2.指さし
意味のある言葉が理解できているか、物事を理解できているかを診ます。犬や車などの絵が描かれたボードを見ながら、保健師の「●●はどれかな?」などという声掛けに反応して、その絵を指でさせるかを確認します。また絵を見たときに知っているものに関して、「ぶーぶー」や「わんわん」など発語を伴うか確認します。それと同時に会話をしているときに目が合うかなどを確認しています。

3.言葉
言葉や話しかけに対する反応を見ながら、コミュニケーションがとれるか診ます。名前を呼ばれて反応するか、「バイバイ」と言いながら手を振ると、真似をしてバイバイと手を振るか、「ポイしてきて」といわれてゴミ捨てができるかなどを確認します。これは実際にその場で確認するより、家庭でできているか聞かれる場合が多いようです。

上記の項目が必ずできないといけないわけではありません。上記は、1歳半ごろの子どもにとっての目安の一例です。心や言葉の発達は1歳半の時点では一人ひとり発達度合いに差があります。また、家庭ではできているけど、その場でできなかった場合は、その旨を伝えるとよいでしょう。家庭でできているかどうかも重要な判断材料です。

次に、保健師が保護者の相談にのってくれます。事前に用意してきた相談内容を相談してみましょう。市区町村によって、相談は最後になる場合もあります。

歯科

歯の萌出(ほうしゅつ)があるか、乳歯の本数はいくつか、生え方は正常、口内環境や、歯磨きがしっかりできているか、虫歯やそのほかの歯科疾患を診ます。一般的な歯科検診のように行います。事前に歯磨きをしておきましょう。

市区町村によっては、フッ素塗布を行ってくれることもあります。

身体測定と診察

確認します。身長は寝て測るものが一般的ですが、立って測る場合もあります。子どもが怖がって泣いてしまって測れない場合などは、保護者の方と一緒に体重計に乗って測る場合もあります。

その後、大泉門が塞がっているか、胸の音に異常はないか、皮膚や性器の状態、脚がX脚O脚になっていなかを触診と目視で医師が診ます。ここでは服やおむつを脱ぎます。受付の時点でおむつ一枚になってくださいと指示がある自治体もあるので、冬場は寒さ対策のためにおくるみやバスタオルなどを持参しておくとよいでしょう。

また、診察では歩行(一人歩き)の確認もします。転んだり、つかまったりせずに歩けるか、歩くと同時に上半身と下半身の協調運動ができているかを確認します。一人歩きができるかは、1歳半の子どもの運動能力を測るのにちょうどよいとされています。

個人差があるため、1歳半以降に歩き始めることもあります。子どもが1歳半健診の時点で歩行をうまくできなくても、それだけですぐに心配だということではありません。また普段とは違う環境で子どもが歩行を嫌がったり、上手にできなかったりした場合は、普段の様子などを医師に伝えましょう。
参考:乳幼児健康診査身体審査マニュアル|国立研究開発法人国立成育医療研究センター
https://www.ncchd.go.jp/center/activity/kokoro_jigyo/manual.pdf

診査結果の説明と相談

結果と共に母子手帳を返却されます。結果を受けて、保護者が気になっていることを相談できます。自治体によっては、問診のときに行われた相談を結果返却のときに行うことがあります。子どものしつけや育児、保護者自身のことなど、なんでも相談できます。

また、栄養指導や歯科指導が行われる場合もあります。食事だけでなく断乳、卒乳に関しても相談指導をもらえるでしょう。

診査項目によっては、診査する側の目安として、異常なし、要観察、要紹介と判断が分かれています。

・異常なし: 疾患の疑いがない
・要観察: 診察や問診等で疾病の疑いがあり、保健機関で経過観察の必要があるもの
・要紹介: 診察や問診等で所見があり、医療機関等に紹介して診断や治療等を求める 必要があるもの

要観察や要紹介となった場合は、医療機関の紹介や、臨床心理士を紹介してくれることもあります。また、アドバイスや指導がある場合や、3歳児健診の時まで様子を見ましょうとなる場合もあります。ですが、これはあくまでも目安であり、子ども一人ひとりの状態や緊急性に合わせて医師や保健師がその後の対応を判断します。
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