2年の不登校を経て「何かやりたい」と息子が言った。進学までの道のり

ライター:多原美加
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不登校になり、自宅静養していた息子が「何かやりたい」と思うようになりました。進学を決意するまでの息子の様子や私の想い。周りのたくさんの方々の支えがあったから、新たな道を開く事ができました。

中1から不登校になった息子

発達障害と目の障害があり、不安を強く感じると声が出せなくなることがある息子は、中学1年生のときから不登校になりました。

不登校になってから月日がたち、息子は中学3年生になりました。息子の身体はいつの間にか大きくなり、私の背を越すほど成長していいきます。

また、家で療養がゆっくりとできたこともあり、少しずつ笑顔を取り戻していきました。

そして家の中で過ごす毎日に退屈さを感じてきたようで、よく「暇だ。何かすることない?」と聞いてくるようになりました。その言葉を聞いた私は、「そろそろ動きだす心の準備ができてきたのかも。」と感じました。

そんなとき、息子の気持ちを聞き出してくれたのはかかりつけの病院の先生でした。
先生は「将来は何がしてみたい?進学をどう考えてる?」と息子に聞き、選択肢を5つほど紙に書き出しました。

・普通の高校に行く
・特別支援学校の高等部に行く
・定時制の高校に行く
・働く
・ニートになる

その選択肢を見て息子は「ニートにはならない。」「何かやらないといけないけど、何をしたら良いのか分からない。」と答えました。

この頃の息子はまだまだ夢も希望も持てず、将来を考えるのが難しかったため、何をどうして良いのか分からないという状態でした。

息子が一歩を踏み出すために、親ができることはなんだろう

「何かをやりたい。」と思い始めていた息子ですが、長い間不登校だったため、あらゆる経験も知識も少ない状態です。そんな息子が自分で決めていきなり何かを始めるのは難しいでしょう。

そこで私は長年関わってくれていた心理士の先生からアドバイスをいただき、
「少しづつ社会の情報を与えていく。そのなかから親が選択肢をあげて、導いていく。」という関わり方の基本を決めて、少しつづ世間とかかわるところから始めました。

家庭内で行ったのは、テレビからの情報をうまく利用することでした。例えばタレントや、キャスターの仕事を指し「これも仕事なんだよ。」と声かけしていました。ニュースからも「世の中にはいろんな仕事ある。」というメッセージを伝えていきました。

外出も無理のないところからスタートしました。近場のコンビニに行ったり、時にはコンサートに行ったりと、外出で関わる人から関連付けて、進学や将来の選択肢をできるだけ多く伝えていきました。

そして息子の様子を見ていた私は、ある1つの考えにたどり着きました。

「この子には、信頼の置ける人との関わりが必要。そして同じ障害のある人との関わりが大事。障害があっても生きていく道はたくさんあるんだと知ってもらうことが大切。」

母としての素直な想いを、息子に伝える

そのような考えに至ったときに私の頭に浮かんだのは、数年前に出会った、息子と同じ目の病気で全盲になった特別支援学校の先生のことでした。

その先生は私の気付かない息子の気持ちを指摘してくれたり、見た目で判断せずひとりひとりの心に寄り添う支援が必要なことを息子が通う学校に伝えてくれたり、私の思いを聞いてくれたりと、ずっと私たち親子を支えてくださっていました。

その先生がいる特別支援学校なら、この子は生きる力をつけていけるのでは?

特別支援学校に見学に行き、先生方の子どもへの接し方を見ると、私の思いは確信に変わりました。

そして私は考え抜いた末に、息子にその素直な気持ちを伝える事にしました。

「お母さんのわがままだと思ってきいてくれる?お母さんはこの特別支援学校が素晴らしい場所だと思ってる。あなたがここで学んでくれたらお母さんは嬉しい。ここを卒業したら、自分の好きなように生きなさい。その時は全力で応援するから。その力を身につける為にもここで学んで欲しい。
次ページ「特別支援学校へ入学した息子に、笑顔が戻ってきた」

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