「私は、自分の気持ちに蓋をする」発達障害の娘の中学時代、孤独な闘いの中で語ったことは

ライター:シアン
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小四で転校してから、いじめの対象になってしまった娘。何度も、クラス担任や校長との話し合いをしましたが、事態は改善されないまま卒業式を迎えました。新しい気持ちで入学した中学でしたが、そこでもまた、娘にとって辛い状況が待ち受けていたのでした。小学生編に続き、今回は中学生編をお話します。

入学した中学でもいじめが待ち受けていた

私の娘は、22歳の時にアスペルガー症候群と診断されました。

そんな娘が小中学生だった当時は、まだまだ発達障害についての世間の認識が薄かった時代。娘の特性に対する理解や支援を得られず、小学校高学年から続いたいじめの影響で、神経性食欲不振症、不登校、被害妄想、幻聴幻覚、解離などの二次障害が現れていきました。

そして、いま現在も入院治療が続いています。
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小4から始まった娘へのいじめ。学校へ向かうその背中はとても寂しそうで…

今回は、前回記事の小学生時代に続き、娘の中学生時代についてお話します。

これは今から、15年ほど前の出来事です。

現在では信じられないような出来事に、親子で随分と苦しめられてきました。障害や教育に対する支援・態勢が、現在と比べてどのくらい異なっていたのか、その点も含めて読んで頂けると嬉しいです。
いじめの事態が改善されないまま小学校を卒業した娘でしたが、期待を持って入学した中学でも、再びいじめが待ち受けていました。

三校の小学校から生徒が集まる中学だったので、娘の名前はすぐに知れ渡ってしまい、新しい仲間にも打ち解ける事ができないようでした。

学校に行く事が苦痛になっているのではないかと感じましたが、頑張って登校している娘を見ると何も言えず、ただ楽しく過ごせるようにと祈る事しか出来ませんでした。

加えて同じ頃、重度知的障害のある四年生の次男が、担任が変わり環境が変わった事で落ち着かなくなり、些細な事でも大声を出しパニックを起こすようになりました。私は、娘の事が気になりつつも、目の前の次男の対応に追われていました。

2泊3日の学年行事から帰宅後、言葉を話せなくなった娘。

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出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10518001169
娘に変化が起きたのは6月下旬でした。新1年生の行事である2泊3日のふれあい合宿を終えて帰宅した時のことです。

「お帰り〜!」と、私は声をかけましたが、娘は何も言わずに黙って下を向いたまま。出かける前には、「行きたくない」と口にしていたので、いろいろあったのだろうなと思い、私はそれ以上は何も言いませんでした。

夕食の時間になっても、娘は何も話さず、食事も口にせず、下を向いたままでした。

私は娘の様子が気になったものの、
「合宿で何かあったのだろうか。話したくないなら仕方がない、明日になれば、少しは元気になるだろう…」
と考え、事態をあまり重く受け止めていませんでした。

ところが事態は、私の想像をはるかに超えたものでした。翌日以降も、何を聞いても、返事をするどころか、顔を上げる事すらせず黙ったまま。言葉を発するのが困難なように見えました。ただ事ではないと感じた私は、担任に相談し、言葉が出ないまま学校に通うのは無理だろうと、夏休みまでの1ヶ月間、学校を欠席させると決めたのでした。

娘の言葉は、その後の2ヶ月間も出る事はありませんでした。

児童相談所の医師の言葉に、親としての自信を失くしてしまい…

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その後学校からは、娘を児童相談所に連れて行くように勧められ、私は娘と次男と出かけて行きました。

相談所に行くと、女性職員との簡単なやり取りの後、「精神科の医師に診て貰います」と言われ、その場で待つように指示されました。

しばらくして現れた若い医師は、私と娘と次男をチラリと見ていきなり、こう告げました。

「お母さんが悪いです!」

驚いて、言葉も出ない私に、医師は続けて言いました。

「お母さんの育て方が悪いから、子どもがこうなったのですよ!」

私は、あまりの言葉にショックを受けました。

この時、医師とはまだ一言も言葉を交わしていません。
何も話していないのに、なぜ断言するの?
なんとひどい言い方。
話も何も聞かないで、何が分かると言うの?

私はただただ驚き、自分の子育てを全否定されたショックで、やりきれなさと悔しい気持ちでいっぱいでした。

医師との面談の後、女性職員が申し訳なさそうに言いました。

「こういうケースは、ものすごく多いのですよ。関東から九州に引っ越して来た人は、カルチャーショックで、子どもと母親は耐えられなくて関東に帰ってしまい、父親だけが残って単身赴任になるんです。」

私は、この女性職員の言葉に救われたような気がしました。

けれども、若い医師の言葉はずっと心に引っかかり、自分の子育ては間違っていたのだろうかと、母親としての自信を失いかけてしまったのでした。
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