聴覚障害(難聴)とは?原因、種類や聴覚障害の等級、改善方法、周囲の人の関わり方・支援方法まとめ

2016/11/21 更新
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聴覚障害とは、音の情報を脳に送るまでの部位に障害があるために、音が聞こえない、または聞こえにくい状態です。1000人に1人は生まれつき聞こえに障害があるというデータが示すように、子どもの聴覚障害は珍しいことではありません。ここでは、子どもの聴覚障害の原因、種類や障害の等級の判定、改善方法や周りの人が気をつけておきたいことについてご紹介します。

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発達障害のキホン
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目次 聴覚障害とは? 聴覚障害の原因 聴覚障害のタイプ 聴覚障害はどうやってわかるの?診断は? 聴覚障害の等級 聴覚障害の治療・改善方法 聴覚障害のある子どもの学び場 聴覚に障害がある人のコミュニケーション手段 聴覚障害のある子どもが周りにいる方へ まとめ

聴覚障害とは?

聴覚障害とは、音の情報を脳に送るための部位のいずれかに障害があるために、音が全く聞こえない、あるいは聞こえにくい状態のことです。全く音が聞こえない状態を全聾(ぜんろう)、音が聞こえにくい状態を難聴といいます。また、聴覚障害には、後天性のものと生まれつきの先天性のものがあります。

先天的に難聴のある子どもは、毎年1000人に1人の割合で生まれています。聞こえの障害は、生まれつきの障害の中で、もっともよく見られるもののひとつです。そのために新生児の段階で聴覚に問題がないかどうか調べるためのスクリーニング検査を受けることがすすめられています。

子どもの難聴が中軽度の場合には、重度の場合に比べてその発見が遅れる傾向にあります。というのも、中軽度の場合には、自分が難聴であると自覚することが難しく、日常生活の中で不自由が生じても、保護者に伝えることが稀であるためです。

耳から情報を適切に取り入れることができない聴覚障害の子どもは、コミュニケーションや言語発達の面に遅れが生じる傾向にあります。そのために、聴覚に問題が見つかったときには、できるだけ早く治療を行うことが大切です。

聴覚障害のある子どもに対しては、聞こえを改善する訓練や治療、視覚的な手段を使ったコミュニケーションの方法を取り入れることにより言葉の獲得を目指します。

聴覚障害の原因

遺伝的な要因

父親と母親の遺伝子の組み合わせや、遺伝子の突然変異などにより引き起こされる難聴です。遺伝的な要因の場合には、外耳やその他の器官の奇形など難聴以外の障害が同時に出現することがあります。

遺伝以外の要因

遺伝以外の要因には、妊娠中にかかった以下の疾患があげられます。

● 風疹
● サイトメガロウイルス感染
● トキソプラズマ
● ヘルペス感染
● 梅毒
そのほか、
● 早産(妊娠37週未満での出産)
● 出生後の頭部外傷や、幼小児期の感染症(髄膜炎、麻疹、水痘)
● ある種類の薬(ストレプトマイシンという抗生物質など)
が難聴の原因となることもあります。また、耳の感染(中耳炎)によっても一時的に難聴となることがあります。耳の感染を繰り返していて、きちんと治療されていないような場合、難聴となってしまう可能性があるので注意して下さい。

出典:http://www.ntmc.go.jp/ntmc2/nancho/syoni/syoni_main.htm#No2
ここで紹介したものは、聴覚障害全体の原因の約6割であり、その他の原因についてはまだ調査が行われている途中です。

聴覚障害のタイプ

聴覚障害は、聞こえを阻害する部位によってタイプが異なり、伝音性難聴、感音性難聴、混合性難聴という3つの種類があります。タイプごとに治りやすさや治療、改善の方法も変わってきます。

伝音(でんおん)性難聴

外耳から中耳の間で、異物などが音の通り道をさえぎることで起こるのが伝音性難聴です。具体的な原因は、以下のような場合です。

・腫瘍や耳垢などにより外耳道が塞がっている
・鼓膜に傷がついている
・中耳に水が溜まっている
・中耳が菌などに感染し、膿(うみ)が溜まっている

これらが原因の難聴は一時的なものであり、ほとんどの場合は薬を飲んだり、溜まった水や膿(うみ)を抜く治療を行うと、聞こえは改善されます。

感音性(かんおんせい)難聴

感音性難聴とは、耳の奥の内耳と呼ばれる部位に障害がある状態を指します。遺伝的な要因や、妊娠中の感染が原因のときには、このタイプの難聴が起こることが多いです。

音を感知する部分、その音を信号に変換する部分に障害が起こっているために、治療や手術によって聞こえを改善することができないことがあります。そのような場合には、補聴器や人工内耳の装着により、聞こえを補うことが必要です。

混合性難聴

上記のふたつの難聴が同時に引き起こされる場合が混合性難聴です。

聴覚障害はどうやってわかるの?診断は?

聴覚の障害が重い場合には、生後間もなく聞こえの問題が発見されますが、中軽度の場合にはその発見が遅れる傾向にあります。

子どもの聴覚障害の場合には、コミュニケーションや言葉の発達の面に遅れが生じることがあり、それらの遅れが聴覚障害を見つけるきっかけとなることが多いようです。

聴覚障害のサインとしては以下のようなものがあります。

・乳児のとき、一時期は出ていた「あー」「あうあう」などの声が出なくなった
・大きな音がしたときに反応を示さない
・生後6ヶ月を過ぎても、相手の声の真似をしようとしない
・3歳までに単語をしゃべらない
・言葉の代わりにジェスチャーを使う

より年長のお子さんでは、難聴のサインとして以下のようなサインがあります。

・周りの子どもより言葉の数が少ない
・理解しにくい言葉でしゃべったり、非常に大きい(またはか細い)声を出したりする
・何度も聞き返す
・授業中ぼんやりしていたり、読み書きや計算が苦手だったりする

これらの項目に当てはまる場合にも、一概に聴覚障害であると判断することはできませんが、子どもの様子を見て、心当たりのある場合には一度聴覚検査を受けてみるとよいでしょう。

検査を受けたい場合には

聴覚検査は、病院の耳鼻咽頭科で受けることができます。

聴覚検査で調べることができるのは主に2つです。聞こえの程度と、どこの部位に異常があるかどうかについてです。

聴覚を調べる際には、月齢、年齢に応じた検査が行われます。6ヶ月未満の子どもによく行われているのは、脳波を測定する検査です。この検査では、小さなイヤフォンで音を聞かせます。子どもの頭の上に、コンピューターに接続されている電極をつけることにより、音に反応して脳波に動きがあるかどうか確かめます。

年齢が上がってきたときには、スピーカーから音を流して何らかの反応があるか調べる検査や、音が聞こえたらおはじきを取ったり、ボタンを押したりする検査を行います。

耳の聞こえのチェックは、1歳半、3歳の乳幼児健診のときに行われますが、聴覚障害のある場合には、治療を施す時期が早いほど、聴力が回復しやすく、言葉の学習をスムーズに行うことができます。ですので、定期検診が来るのを待つのではなく、なるべく早い段階で検査を受けるようにしましょう。

聴覚障害の等級

聴覚障害の等級分類は、聴力のレベルと、言葉がどれくらいはっきりと聞こえるかを示す語音明瞭度により決まります。

聴力のレベルは音の大きさを示すデシベル(db)という単位により表されます。デシベルの数値の示す音の大きさの目安は以下をご覧ください。

どの程度大きい音からなら聴き取ることができるかという測り方をするため、聴力の場合は、デシベルの値が大きくなればなるほど、耳が聞こえにくいということになります。正常聴力の場合は、0デシベル近辺であり、難聴の程度が強くなるほどこの値が大きくなります。
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厚生労働省により定められている聴覚障害の等級の基準は以下の通りです。

◇2級:両耳の聴力レベルがそれぞれ100デシベル以上、全聾(ぜんろう)の場合
◇3級:両耳の聴力レベルが90デシベル以上の場合
◇4級:両耳の聴力レベルが80デシベル以上の場合、または両耳による通常の話し声の語音明瞭度が50パーセント以下の場合
◇6級:両耳の聴力レベルが70デシベル以上の場合、または片方の聴力レベルが90デシベル以上、もう片方の聴力レベルが50デシベル以上の場合


上記のいずれかに該当する場合には、身体障害者手帳の交付を受けることができます。

身体障害者手帳の交付を受けるには

身体障害者手帳とは、難聴を含め、障害のある人が取得することができる手帳です。平成23年の時点で聴覚に障害があり、身体障害者手帳を所持している人数は14万2000人です。障害者手帳を取得することで、障害の種類や程度に応じて様々な福祉サービスを受けることができます。

交付を受けるためには、指定された医師による診断書と意見書が必要となります。用紙は市区町村の窓口にある用紙に記入をして申請を行います。申請から約1ヶ月程度で身体障害者手帳が発行されます。

手帳の申請については、以下のページに詳しく手順が載っているので参考にしてください。
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聴覚障害の治療・改善方法

先天性の聴覚障害には、治療により治すことができるものと、治療によっては治すことができないものがあります。治すことができない聴覚障害の場合には、聴力を補うために何らかの改善方法がとられます。

子どもが聴覚障害の場合には、早い段階で治療を開始するのが理想的といわれています。聴覚障害の改善には、難聴の種類や聞こえの程度により、その内容が変わってきます。ここでは、聞こえの改善のための方法についてお知らせします。

補聴器

補聴器は、普通の大きさでの会話が聞こえにくくなったときに、はっきりと聞くための医療機器です。

伝音性難聴では、補聴器が有効となります。音を脳に伝える機能の障害である感音性難聴の場合、補聴器では改善されないこともあります。その場合は、別の改善方法がとられます。

補聴器にはたくさんの種類があり、また価格によってついている機能もさまざまです。最適な補聴器を選ぶために、補聴器の相談医から販売店の紹介を受けるようにしましょう。

補聴器の購入の際には、保険は適応されません。しかし、身体障害者手帳をお持ちの場合には、補装具交付申請書を市区町村の福祉関係の窓口に提出することで1割負担で購入することが可能となります。

人工内耳

人工内耳は、機能しなくなった内耳の部分に電極を挿しこみ、音を電気信号に変えて神経に送る方法です。人工内耳をつける場合には、以下の条件を満たした上で、手術が必要となります。

・内耳が原因の感音声難聴である
・年齢が1歳以上である
・体重が8kg以上である
・6ヶ月以上の補聴器装用によっても十分に聞くことができない

人工内耳の手術には、健康保険が適用されるほか、自立支援医療(更生医療)、高額医療費支給などの各種医療費の助成を受けることにより、負担額の軽減ができます。詳しくは、お住まいの市区町村のHPをご確認ください。
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手術

難聴の原因部位によっては、手術が行われることがあります。手術が必要なものの例としては、音の聞こえを阻害している異物の除去や、新たな鼓膜の形成、中耳の骨を人工のものに置き換える必要がある場合などがあります。

耳の手術は、耳の後ろを開いて行うものと、耳の穴から原因となっている部位に治療を施す方法があります。

服薬

内耳の循環や血行を良くするために、血管拡張薬、向神経ビタミン製剤(ビタミンB12)の服薬が処方されることがあります。

薬物による治療法の効果や必要な量・期間には個人差があるため、服薬の際には、専門家の指導を受けながら用量・用法を守りながら行いましょう。

聴覚障害のある子どもの学び場

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