「好きなことを増やして欲しい」良かれと思った習い事めぐりが、息子を苦しめていた

ライター:林真紀
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「発達障害の我が子のために、何かこの子にあった習い事をさせてやりたい…!」と思う親心。よく聞かれる「発達障害の子どもでもできる習い事はありますか?」という質問。誰もが通る道かもしれません。今回はそんな「発達障害児の習い事」について、私が考えたことを書きたいと思います。

発達障害のある息子のために、習い事をさせたい!思考錯誤を試みるも…

息子に発達障害の診断がおりた3年前、私はネットの検索魔になっていました。発達障害についての知識を調べることはもちろん、検索窓に繰り返し繰り返し打ち込んだのは「発達障害児 習い事」の文字でした。

インターネットのQ&Aなどを見ても、「発達障害児に習い事をさせたいのだけれど、何が良いですか?」という質問の多いこと多いこと!

発達障害のある子どもを持つ保護者がこれほど習い事探しに必死になるのは、「発達障害の特性が少しでも軽くなって欲しい」「発達障害でも普通の子に負けないで生きていって欲しい」という想いがあるのかもしれません。

私も息子が発達障害だと分かった途端、習い事探しに奔走しましたが、それも同じようにこんな理由からだったように思います。

・習い事で苦手を克服して欲しい(息子は運動や協調運動が苦手)
・何か「好きなこと」を見つけて欲しい
・先生や友達との関わりが上手に出来るようになって欲しい
・「楽しい」と思える場所を増やして欲しい

しかしあれこれとネットを徘徊し、「これは!」と思った習い事に息子を連れて行っては、癇癪を起こされてあえなく退会…を日々繰り返していました。

好きなことを増やしてほしかったのに…失敗だらけだった息子の習い事選び

例えばトランポリン教室。

「発達障害の子どもにはトランポリンが良い」という話もよく見聞きしていました。けれども、競技用の跳ね幅の大きい本格的なトランポリンは、重力に対して強い不安を感じるという特性を持つ息子のパニックを誘発しました。

また、先生に支えてもらいながら飛ぶことも、触覚過敏の息子には苦痛でしかなかったようです。

それから、ピアノも発達障害児の協調運動を鍛えるのに良いという話。目で楽譜を追いながら、左右の手を別々に動かすからです。理論上は確かに効果的に思えます。

けれども、ピアノの習い事はどうしても自宅で練習する必要があります。幼稚園で疲れ果てて帰ってくる息子には、それはあまりに重い負担でした。

その他にも、体操教室、サッカー、乗馬教室等々、「理論上は特性を克服するのに良いけれど…」という習い事を、息子が続けることはできませんでした。

そして、この経験は息子にとっても「失敗経験」になってしまい、「好きなことを増やしてほしい」という私の期待とは正反対の結果になってしまったのです。

「どうしてうまくいかないんだろう?」息子の様子をみて辿りついた答えは

このように私の場合、「発達障害の特性をなんとかしよう」「発達障害でも生きていけるように好きなことを」と思って選んだ習い事は一つもうまくいきませんでした。

「なぜうまくいかないんだろう?」私が考えて行き着いた答えは、

・「発達障害の特性」といってもあまりに多様であり、必ずしもその習い事がマッチするわけではない
・理論上は発達障害の特性に良いことであっても、先生が発達障害に理解があったり、発達障害の子どもでも集中して取り組めるような環境設定が出来ていなければ息子にとっては負担にしかならない

というものでした。

そして私は途中で気づいたのです。習い事にそんな大それた成果を期待するのではなく、子どもの生活に何かしらの「習慣づけ」をする手助けになれば良いのだと。

多くの発達障害のある子どもがそうかもしれませんが、息子は毎日の見通しがきちんとたつこと、日々の規則的なルーティンを好みます。

例えば息子は「日中は幼稚園に行く」というのが日々の規則的な習慣です。そのため、イベントが盛りだくさんで幼稚園が休みになったり行事が増えたりする年末年始のほうが、むしろ不安になって辛いと言います。

年末年始が終わって、制服を着て通園バスが来たとき、息子は「ああ、やっと幼稚園だ。良かったぁ」と言っていました。お友達との交流や課題などは疲れることも多いようですが、それでも「習慣」をこなすことが彼にとってとても安心のできることなのです。

私は息子のこの特徴から、「習慣作り」をつくるための取り組みとして習い事を考えるようになりました。
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