脳性麻痺とは?いつ分かる?原因や症状、治療方法など/医師監修
ライター:発達障害のキホン
脳性麻痺とは、脳の損傷のために生じる運動と姿勢の障害です。どうして脳が損傷してしまうと運動や姿勢に影響が出るのでしょうか。脳性麻痺の原因や診断方法、具体的な治療法などを詳しく説明します。また、脳性麻痺のある人が受けられる支援サービスや通える学校などもご紹介します。
監修: 矢花芙美子
花クリニック 院長
東京都の渋谷区代々木で長年開業している(0歳から年齢制限なし)。
プレイセラピー、行動療法、対話精神療法などにより、発達の課題を持つ子ども、心理的な面での困難さを持つ子ども、養育に困難を持つ大人、社会生活に困難を持つ大人、生きにくさを持つ方々に対する治療や相談を行っている。
脳性麻痺とは
脳性麻痺とは、妊娠中もしくは出産後になんらかの原因で生じた脳の損傷が原因でおこる運動機能の障害のことを指します。脳性麻痺がある場合、その症状は2歳までに発現します。特に赤ちゃんの頃は発達には大きな個人差がありますが、首座りや寝返り、お座り、ハイハイ、立ち歩きなどの運動の発達の遅れなどによって気づかれることがあります。
それではなぜ、脳が損傷すると姿勢や運動に問題が起きるのでしょうか。
人が体を動かすときには「筋肉をこんなふうに使って、腕をあげなさい」など、脳の神経が筋肉に向かって常に信号を出しています。
ところが、脳の損傷によって神経システムが損傷すると、送るべき信号がうまく筋肉に伝わらず、考えたとおりに動けなかったり意図する姿勢をとることが難しくなってしまうのです。
脳の損傷部分や範囲は、一人ひとりまったく違います。したがって、子どもの発達過程にどの程度の影響があるのか、もしくはどんな症状が現れるのかも子どもによって異なります。
それではなぜ、脳が損傷すると姿勢や運動に問題が起きるのでしょうか。
人が体を動かすときには「筋肉をこんなふうに使って、腕をあげなさい」など、脳の神経が筋肉に向かって常に信号を出しています。
ところが、脳の損傷によって神経システムが損傷すると、送るべき信号がうまく筋肉に伝わらず、考えたとおりに動けなかったり意図する姿勢をとることが難しくなってしまうのです。
脳の損傷部分や範囲は、一人ひとりまったく違います。したがって、子どもの発達過程にどの程度の影響があるのか、もしくはどんな症状が現れるのかも子どもによって異なります。
脳性麻痺の原因
沖縄小児発達センター小児科の當山医師が、2008年に沖縄県での脳性麻痺の発生率を調査したところ、1,000人に約2人の割合で脳性麻痺が発生することが明らかとなりました。
発生原因はさまざまであるものの、現在では3つの症状が脳性麻痺の大きな原因であると分かってきました。
1.核黄疸・ビリルビン脳症…新生児にみられる黄疸が原因で起きる症状です。黄疸の原因となる物質「ビリルビン」が脳に損傷をもたらします。
2.低酸素性虚血性脳症…出産時に仮死状態でうまれてきた場合など、脳へ酸素が行き渡らないことで脳が損傷します。
3.脳室内出血・脳室周囲白質軟化症…どちらも未熟児や早産が原因で起こることがあります。脳室内出血では新生児の脳内に出血がみられます。また、脳室周囲白質軟化症では脳の部屋の周りを囲む白質(はくしつ)とよばれる部分に血液が行き届かずに損傷します。
1.核黄疸・ビリルビン脳症…新生児にみられる黄疸が原因で起きる症状です。黄疸の原因となる物質「ビリルビン」が脳に損傷をもたらします。
2.低酸素性虚血性脳症…出産時に仮死状態でうまれてきた場合など、脳へ酸素が行き渡らないことで脳が損傷します。
3.脳室内出血・脳室周囲白質軟化症…どちらも未熟児や早産が原因で起こることがあります。脳室内出血では新生児の脳内に出血がみられます。また、脳室周囲白質軟化症では脳の部屋の周りを囲む白質(はくしつ)とよばれる部分に血液が行き届かずに損傷します。
上記3つ以外にも脳性麻痺を引き起こす原因があるので、その原因をみてみましょう。
妊娠中に胎児が脳性麻痺になる原因として、脳の中枢神経系の奇形、遺伝子や染色体の異常、そして感染症が挙げられます。感染症には風疹、サイトメガロウィルス(多くの人の体内に微量に存在するウイルス。免疫が落ちたときに活発になり症状がでる)、ジカウイルス感染症(蚊を介して感染する感染症)、トキソプラズマ(寄生虫であるトキソプラズマ原虫による感染症)などが考えられています。
ワクチンなどで予防できる感染症もあるので、できる範囲で感染症などに気をつけることが大切です。>ただし、これらの感染症にかかってしまったからといって、子どもが必ず脳性麻痺になるわけではありません。
ほかには、分娩中の酸素欠乏でも引き起こされることが分かっています。また、中枢神経感染症・脳卒中などが原因で脳性麻痺を発症することがあります。
生後2年間は髄膜炎や肺血症、中枢神経系外傷、重度の脱水などの疾患が原因で脳が損傷し、結果として脳性麻痺が発生する可能性もあります。しかし、2歳以降に受けた脳損傷が原因で体の各所の筋肉がうまく機能しなくなった場合は、脳性麻痺とはみなされません。
ただ、原因を特定することが難しい場合も多いため、脳性麻痺を完全に予防することは今のところできません。
妊娠中に胎児が脳性麻痺になる原因として、脳の中枢神経系の奇形、遺伝子や染色体の異常、そして感染症が挙げられます。感染症には風疹、サイトメガロウィルス(多くの人の体内に微量に存在するウイルス。免疫が落ちたときに活発になり症状がでる)、ジカウイルス感染症(蚊を介して感染する感染症)、トキソプラズマ(寄生虫であるトキソプラズマ原虫による感染症)などが考えられています。
ワクチンなどで予防できる感染症もあるので、できる範囲で感染症などに気をつけることが大切です。>ただし、これらの感染症にかかってしまったからといって、子どもが必ず脳性麻痺になるわけではありません。
ほかには、分娩中の酸素欠乏でも引き起こされることが分かっています。また、中枢神経感染症・脳卒中などが原因で脳性麻痺を発症することがあります。
生後2年間は髄膜炎や肺血症、中枢神経系外傷、重度の脱水などの疾患が原因で脳が損傷し、結果として脳性麻痺が発生する可能性もあります。しかし、2歳以降に受けた脳損傷が原因で体の各所の筋肉がうまく機能しなくなった場合は、脳性麻痺とはみなされません。
ただ、原因を特定することが難しい場合も多いため、脳性麻痺を完全に予防することは今のところできません。
脳性麻痺が起こる場所による分類
前述したとおり、脳性麻痺の症状は脳の損傷部位や範囲によってさまざまではあるものの、麻痺の起きる部分によって分類されています。
1.単麻痺:一肢だけに麻痺がみられます
2.対麻痺:左右の下肢に麻痺がみられます
3.片麻痺:片側半身にだけ麻痺がみられます
4.三肢麻痺:片麻痺に反対側の上肢か下肢の麻痺を伴ったもの
5.両麻痺:左右の上肢と左右の下肢に麻痺がみられます。上肢より下肢の麻痺が重度です
6.四肢麻痺:左右の上肢と左右の下肢に麻痺がみられます
7.五肢麻痺:四肢麻痺加えて呼吸筋麻痺がみられます
8.両片麻痺(重複片麻痺):左右の上肢と左右の下肢に麻痺がみられますが、下肢より上肢の麻痺が重度です
1.単麻痺:一肢だけに麻痺がみられます
2.対麻痺:左右の下肢に麻痺がみられます
3.片麻痺:片側半身にだけ麻痺がみられます
4.三肢麻痺:片麻痺に反対側の上肢か下肢の麻痺を伴ったもの
5.両麻痺:左右の上肢と左右の下肢に麻痺がみられます。上肢より下肢の麻痺が重度です
6.四肢麻痺:左右の上肢と左右の下肢に麻痺がみられます
7.五肢麻痺:四肢麻痺加えて呼吸筋麻痺がみられます
8.両片麻痺(重複片麻痺):左右の上肢と左右の下肢に麻痺がみられますが、下肢より上肢の麻痺が重度です
脳性麻痺の症状による分類とその具体的症状
脳は、大脳・脳幹(中脳・橋・延髄)・小脳からできており、働きはとても複雑です。したがって、損傷部分によって麻痺の症状はさまざまであるため、どのように分類するかについてはいろいろな考え方があります。
主に以下の4つの型に分けられますが、いずれも話していることが理解しにくい場合があります。これは、話すために使う筋肉の制御が困難になっているためです。
主に以下の4つの型に分けられますが、いずれも話していることが理解しにくい場合があります。これは、話すために使う筋肉の制御が困難になっているためです。
1.痙直型(けいちょくがた)
脳の大脳部分には、錐体路系と呼ばれる運動指令を伝達する神経の道があり、この部分を損傷すると痙直型の脳性麻痺を発生するといわれています。脳性麻痺に最も多くみられるタイプで、脳性麻痺児の70%以上が痙直型だといわれています。筋肉がずっと緊張しつづけているために、突っ張った状態となっていることが多いようです。
脳の大脳部分には、錐体路系と呼ばれる運動指令を伝達する神経の道があり、この部分を損傷すると痙直型の脳性麻痺を発生するといわれています。脳性麻痺に最も多くみられるタイプで、脳性麻痺児の70%以上が痙直型だといわれています。筋肉がずっと緊張しつづけているために、突っ張った状態となっていることが多いようです。
痙直型の脳性麻痺は、自分の意思とは関係なく筋肉が高い状態がつづき、姿勢が固定されてしまいます。固定されたままの姿勢でいると、体の形が変わってしまうことがあります。背骨がS字のように曲がってしまう症状は側弯症(そくわんしょう)と呼ばれています。右眼と左眼の視線が違う場所に向かっている状態の斜視や、そのほかの視覚障害が表れる場合もあります。
最も重い症状が出るのは痙性四肢麻痺で、けいれん発作や嚥下困難に加え、多くの場合知的障害を伴います。痙性片麻痺、両麻痺、対麻痺の小児の多くは、知能は正常、けいれん発作を起こす頻度も下がるといわれています。
痙直型であっても、筋肉の緊張(こわばり)が低い子どもも珍しくないようです。
2.アテトーゼ型
大脳の奥深くには大脳基底核と呼ばれる場所があります。不随運動に関わっているといわれており、この部分を損傷するとアテトーゼ型の脳性麻痺となります。脳性麻痺の子どもの約20%にみられるといわれています。筋肉の緊張度合いが突然変わってしまうため、姿勢を保つことが難しいのが特徴です。また、自分の意志とは無関係に体が動いてしまう不随意運動も伴います。
筋肉の緊張度合いが突然変わると、バランスよく座っていても、急におなかの筋肉の緊張がゆるんでしまい前に倒れてしまうことがあります。また、精神的な緊張の影響を受けやすく、人前で話そうとすると、全身の姿勢緊張が高まってしまってうまくしゃべれなくなったり、普段できることができなくなってしまったりすることも多いようです。
そのほか、うれしいことなどで脳への刺激が高まり興奮すると、逆に筋肉の緊張が高まりすぎて、自分の意思とは関係なく腕がピーンと伸びてしまうこともあります。
知能は正常で、けいれん発作を起こすことはまれですが、原因が核黄疸の場合は、難聴や視線を上に向けることが難しいなどの症状がみられることがあります。
アテトーゼ型は早産や未熟児であったことが原因の脳性麻痺に多くみられます。周産期医療の発達のおかげで、早産児・未熟児であっても助かる赤ちゃんが増えました。そのため、脳性麻痺の発症は横ばいか減少傾向であるものの、アテトーゼ型は増加傾向にあります。
最も重い症状が出るのは痙性四肢麻痺で、けいれん発作や嚥下困難に加え、多くの場合知的障害を伴います。痙性片麻痺、両麻痺、対麻痺の小児の多くは、知能は正常、けいれん発作を起こす頻度も下がるといわれています。
痙直型であっても、筋肉の緊張(こわばり)が低い子どもも珍しくないようです。
2.アテトーゼ型
大脳の奥深くには大脳基底核と呼ばれる場所があります。不随運動に関わっているといわれており、この部分を損傷するとアテトーゼ型の脳性麻痺となります。脳性麻痺の子どもの約20%にみられるといわれています。筋肉の緊張度合いが突然変わってしまうため、姿勢を保つことが難しいのが特徴です。また、自分の意志とは無関係に体が動いてしまう不随意運動も伴います。
筋肉の緊張度合いが突然変わると、バランスよく座っていても、急におなかの筋肉の緊張がゆるんでしまい前に倒れてしまうことがあります。また、精神的な緊張の影響を受けやすく、人前で話そうとすると、全身の姿勢緊張が高まってしまってうまくしゃべれなくなったり、普段できることができなくなってしまったりすることも多いようです。
そのほか、うれしいことなどで脳への刺激が高まり興奮すると、逆に筋肉の緊張が高まりすぎて、自分の意思とは関係なく腕がピーンと伸びてしまうこともあります。
知能は正常で、けいれん発作を起こすことはまれですが、原因が核黄疸の場合は、難聴や視線を上に向けることが難しいなどの症状がみられることがあります。
アテトーゼ型は早産や未熟児であったことが原因の脳性麻痺に多くみられます。周産期医療の発達のおかげで、早産児・未熟児であっても助かる赤ちゃんが増えました。そのため、脳性麻痺の発症は横ばいか減少傾向であるものの、アテトーゼ型は増加傾向にあります。
3.運動失調型
小脳にも錐体路外系の神経伝達路があり、この部分を損傷すると失調型の脳性麻痺になります。脳性麻痺の小児の5%未満と、最も少ないタイプです。失調型は、筋肉の緊張が低く、正常と低緊張をいったりきたりするので、バランスを保つことが難しく姿勢が不安定となります。物に手を伸ばしたときにふるえるような動きがみられたり、素早い動きや細かい動きが難しく、両脚を広げた不安定な歩き方が特徴といえます。
4.混合型(そのほか)
そのほかの分類には、痙直型とアテトーゼ型が組み合わさった混合型などがあります。混合型には、重い知的障害がみられることがあります。
小脳にも錐体路外系の神経伝達路があり、この部分を損傷すると失調型の脳性麻痺になります。脳性麻痺の小児の5%未満と、最も少ないタイプです。失調型は、筋肉の緊張が低く、正常と低緊張をいったりきたりするので、バランスを保つことが難しく姿勢が不安定となります。物に手を伸ばしたときにふるえるような動きがみられたり、素早い動きや細かい動きが難しく、両脚を広げた不安定な歩き方が特徴といえます。
4.混合型(そのほか)
そのほかの分類には、痙直型とアテトーゼ型が組み合わさった混合型などがあります。混合型には、重い知的障害がみられることがあります。
脳性麻痺の合併症
脳が損傷をうけたときに、運動に関係した部位だけが損傷するということはまれで、ほかの部位も損傷している可能性が高いことが知られています。たとえば、知覚や認知、視覚や聴覚の部位にも損傷している場合は、脳性麻痺に付随した障害がみられます。
具体的な障害には、
・聴力障害・視力障害…斜視や眼振。胎内感染例として難聴、白内障など
・てんかん発作…約4割の割合で何らかのけいれん発作を合併
・知的障害・発達障害…運動麻痺が重いと、自閉スペクトラム症や学習障害(限局性学習症)などの合併率は高くなります。アテト―ゼ型や両麻痺型などは知的・発達障害が伴わないこともあります。
などがあります。そのほか、摂食嚥下障害や睡眠障害などを合併する場合もあります。
また、長年の異常姿勢や運動の偏りから、側彎や関節拘縮・脱臼などの骨格変形が生じ、それに伴い胃食道逆流症や呼吸障害などの二次障害が生じるケースもあります。
具体的な障害には、
・聴力障害・視力障害…斜視や眼振。胎内感染例として難聴、白内障など
・てんかん発作…約4割の割合で何らかのけいれん発作を合併
・知的障害・発達障害…運動麻痺が重いと、自閉スペクトラム症や学習障害(限局性学習症)などの合併率は高くなります。アテト―ゼ型や両麻痺型などは知的・発達障害が伴わないこともあります。
などがあります。そのほか、摂食嚥下障害や睡眠障害などを合併する場合もあります。
また、長年の異常姿勢や運動の偏りから、側彎や関節拘縮・脱臼などの骨格変形が生じ、それに伴い胃食道逆流症や呼吸障害などの二次障害が生じるケースもあります。
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脳性麻痺はいつ、どうやって分かる?
脳性麻痺の診断を行うにあたっては、1968年に定められた「厚生省脳性麻痺研究班会議で定められた定義」および2004年に定められた「Workshop in Bethesda において設定された定義」を用います。しかし、脳性麻痺は運動麻痺だけではなく、そのほかさまざまな障害を包含し、個々の発達段階や発育状態でも違いがあるため、診断は難しく慎重におこなわなければなりません。
脳性麻痺の検査・診断
明らかに麻痺があるなど重度の脳性麻痺をのぞき、特に早期に脳性麻痺を診断することは、一般的にとても難しいと考えられています。
おもな理由としては、発達は非常に複雑なものであることにくわえ、脳性麻痺ではない子どもでも、発達には個人差が大きいことが知られているからです。また、おすわりや立つなどの発達過程は、生後すぐにできるものではないことも早期診断を難しくする要因のひとつです。
さらに、脳性麻痺の症状である痙性(筋肉の硬さ)は、通常生後数週間でみられるものではなく、7~9ヶ月たって気づくことが多いといわれています。
脳性麻痺は以下の3項目から総合的に判断されます。
・出生歴:早産または未熟児だったかどうか、分娩時に異常はなかったかなど
・子どもの観察:年齢相応の発達をしているかなど
・筋肉の緊張や反射異常をみる検査
また、脳の障害の原因を明らかにするために、画像検査(頭部CT検査・頭部MRI検査)、血液検査、尿検査などを行うこともあります。この結果により、さらに詳しい精密検査をすることもあります。
おもな理由としては、発達は非常に複雑なものであることにくわえ、脳性麻痺ではない子どもでも、発達には個人差が大きいことが知られているからです。また、おすわりや立つなどの発達過程は、生後すぐにできるものではないことも早期診断を難しくする要因のひとつです。
さらに、脳性麻痺の症状である痙性(筋肉の硬さ)は、通常生後数週間でみられるものではなく、7~9ヶ月たって気づくことが多いといわれています。
脳性麻痺は以下の3項目から総合的に判断されます。
・出生歴:早産または未熟児だったかどうか、分娩時に異常はなかったかなど
・子どもの観察:年齢相応の発達をしているかなど
・筋肉の緊張や反射異常をみる検査
また、脳の障害の原因を明らかにするために、画像検査(頭部CT検査・頭部MRI検査)、血液検査、尿検査などを行うこともあります。この結果により、さらに詳しい精密検査をすることもあります。
脳性麻痺かも?と思ったら
保護者からの発達相談で脳性麻痺の診断を行うことも多いようですが、発達には個人差が非常に大きいことから、発達がゆっくりだからといって脳性麻痺とは限りません。そのため、過度に心配しすぎる必要はありませんが、一般的には以下の場合で脳性麻痺の可能性を考慮します。
1.未熟児、または新生児脳症などの成育歴のある「リスク児」のフォローアップ.
2.運動の発達指標の遅れ.とくに座る,立つ,歩くことの遅れ.
3.左右両側のつり合いの取れない運動パターンの発達.たとえば,生後数ヶ月みられる,片方の手の顕著な優位性.
4.異常な筋緊張,とくに痙縮(筋肉の硬さ)または弛緩性(フロッピー).
出典:Eva Bower/原著編著、上杉雅之/監訳『脳性まひ児の家庭療育 原著第4版』(医歯薬出版、2014年)20ページ
たとえば、「抱っこすると手足がピーンとなって筋肉の緊張がみられる」「首が座らない」「おすわりできない」「寝返りしない」などの運動スキルが一般的な発達過程にくらべてとてもゆっくりしているなど、心配なことがあれば医療機関などで相談しましょう。
赤ちゃんは1歳半まで3ヶ月健診・6ヶ月健診・1歳半健診と健診回数が多いので、健診時を利用して相談することも可能です。
赤ちゃんは1歳半まで3ヶ月健診・6ヶ月健診・1歳半健診と健診回数が多いので、健診時を利用して相談することも可能です。
低緊張とは?赤ちゃんの筋緊張低下の症状や関連する疾患、障害など【医師監修】