脳性麻痺とは?どんな症状なの?いつ分かるの?治療方法はあるの?など徹底解説します!

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脳性麻痺とは、脳の損傷のために生じる運動と姿勢の障害です。どうして脳が損傷してしまうと運動や姿勢に影響が出るのでしょうか。脳性麻痺の原因や診断方法、具体的な治療法などを詳しく説明します。また、脳性麻痺のある人が受けられる支援サービスなどもご紹介します。

発達障害のキホン
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目次 脳性麻痺とは 脳性麻痺の原因 脳性麻痺が起こる場所による分類 脳性麻痺の症状による分類とその具体的症状 脳性麻痺の合併症 脳性麻痺の治療・療育法は? 脳性麻痺はいつ、どうやってわかる? 脳性麻痺の治療・療育にはどんなものがあるの? 家庭で療育をするときに大切なことって? 脳性麻痺の人が受けられる支援にはどんなものがあるの? 一人で頑張りすぎないで、困ったときは支援してもらいましょう 学校はどうしたら良いの? 脳性麻痺の人の将来の生活は? まとめ

脳性麻痺とは

脳性麻痺(のうせいまひ)は、妊娠中、出産前後もしくは生後4週間以内のあいだに、なんらかの原因で生じた脳の損傷が原因でおこる運動と姿勢の障害のことを指します。たとえば、脳性麻痺の赤ちゃんは、おすわりなどの姿勢、ハイハイ、もしくは立って歩くといった運動の発達への遅れや、これらのスキルを獲得できないことが起きてしまうことがあります。

それではなぜ、脳が損傷すると姿勢や運動に問題が起きてしまうのでしょうか。

人が体を動かすときには「筋肉をこんな風に使って、腕をあげなさい」など、脳の神経が筋肉に向かって常に信号を出しています。

ところが、脳の損傷によって神経システムが損傷してしまうと、送るべき信号がうまく筋肉に伝わらず、考えたとおりに動けなかったり正しい姿勢をしたりすることが難しくなってしまうのです。

脳の損傷部分や範囲は、一人ひとりまったく違います。したがって、子どもの発達過程にどの程度の影響があるのか、もしくはどんな症状が現れるのかも子どもによって異なります。

脳性麻痺の原因

沖縄小児発達センター小児科の當山医師が、2008年に沖縄県での脳性麻痺の発生率を調査したところ、1,000人に約2人の割合で脳性麻痺が発生することが明らかとなりました。発生原因はさまざまであるものの、現在では3つの症状が脳性麻痺の大きな原因であると分かってきました。

1. 核黄疸・ビリルビン脳症・・・新生児にみられる黄疸が原因で起きる症状です。黄疸の原因となる物質「ビリルビン」が脳に損傷をもたらします。

2. 低酸素性虚血性脳症・・・出産時に仮死状態でうまれてきた場合など、脳へ酸素が行き渡らないことで脳が傷いてしまうものです。

3. 脳室内出血・脳室周囲白質軟化症・・・どちらも未熟児や早産が原因で起こることがあります。脳室内出血では新生児の脳内に出血がみられます。また、脳室周囲白質軟化症では脳の部屋の周りを囲む白質(はくしつ)とよばれる部分に血液が行き届かずに損傷してしまいます。
上記3つ以外にも脳性麻痺を引き起こす原因があるので、その原因をみてみましょう。

妊娠中の脳性麻痺になる原因には、脳の中枢神経系の奇形、遺伝子や染色体の異常、そして感染症です。感染症には風疹、サイトメガロウィルス、トキソプラズマなどが考えられています。

遺伝子や染色体異常などは、妊娠中の女性がいくら頑張っても防げるものではありません。しかし、ワクチンなどで予防できる感染症もあるので、できる範囲で感染症などに気をつけることが大切です。ただし、これらの感染症にかかってしまったからといって、子どもが必ず脳性麻痺になってしまうということではありません

次に、出産時の脳性麻痺の原因としては、新生児の呼吸障害やけいれんでも引き起こされることが分かっています

また出産後にも、中枢神経感染症・頭蓋内出血・頭部外傷・呼吸障害・心停止・てんかんなどが原因で脳が損傷され、脳性麻痺を発症することがあります

おもに周産期と妊娠期間中に脳性麻痺が起きやすいことも分かっており、周産期に発生する場合が40~66%、出生前の妊娠中に起きてしまう割合が13~35%です。

ただ、原因を特定することが難しい場合も多いため、脳性麻痺を完全に予防することは今のところできません

脳性麻痺が起こる場所による分類

先ほどご紹介したとおり、脳性麻痺の症状は脳の損傷部位や範囲によってさまざまではあるものの、麻痺の起きる場所で5つに分類されています。

1. 片麻痺:片側半身にだけ麻痺がみられます
2. 四肢麻痺:左右の上肢と左右の下肢に麻痺がみられます
3. 両麻痺:左右の上肢と左右の下肢に麻痺がみられます。上肢より下肢の麻痺が重度です
4. 対麻痺:左右の下肢に麻痺がみられます
5. 重複片麻痺:左右の上肢と左右の下肢に麻痺がみられますが、下肢より上肢の麻痺が重度です

脳性麻痺の症状による分類とその具体的症状

脳は、大脳・脳幹(中脳・橋・延髄)・小脳からできており、働きはとても複雑です。したがって、損傷部分によって麻痺の症状はさまざまであるため、どのように分類するかについてはいろいろな考え方があります。
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1. 痙直型(けいちょくがた)
脳の大脳部分には、錐体路系と呼ばれる運動指令を伝達する神経の道があり、この部分を損傷すると痙直型の脳性麻痺を発生するといわれています。脳性麻痺に最も多くみられるタイプで、脳性麻痺児の約80%が痙直型だといわれています。筋肉がずっと緊張しつづけているために、突っ張った状態となっていることが多いようです。
痙直型の脳性麻痺では、自分の意思とは関係なく筋肉が高い状態がつづき、姿勢が固定されてしまいます。固定されたままの姿勢でいると、体が好ましくない形に変わってしまうことがあり、背骨がS字にのように曲がってしまう症状は側弯症(そくわんしょう)と呼ばれています。

さらに、動かしていない関節は使われないために動かしづらくなってしまいます。関節が動かしづらくなると、さらに体を動かしづらく姿勢の固定させる状態につながり、体の変形がすすんでしまうという悪循環が生まれてしまいます。ただ、痙直型であっても筋肉の緊張が低い子どもも珍しくないようです。

2. アテトーゼ型
大脳の奥深くには大脳基底核と呼ばれる場所があります。不随運動に関わっているといわれており、この部分を損傷してしまうとアテトーゼ型の脳性麻痺となります。筋肉の緊張度合いが突然変わってしまうため、姿勢を保つことが難しいのがアテトーゼ型の脳性麻痺の特徴です。また、自分の意志とは無関係に体が動いてしまう不随意運動もともないます

筋肉の緊張度合いが突然変わるとどのようなことが起こるのでしょうか。たとえば、きちんと座っていても、急におなかの筋肉の緊張がゆるんでしまって前に倒れてしまうことがあげられます。また、精神的な緊張の影響を受けやすく、人前で話そうとして緊張すると、全身の姿勢緊張が高まってしまってうまくしゃべれなくなったり、普段できることもできなくなってしまったりすることも多いようです。

そのほか、嬉しいことなどで脳への刺激が高まり興奮すると、逆に筋肉の緊張が高まりすぎてしまって、自分の思いとは関係なく腕がピーンと伸びてしまうといったこともあります。

アテトーゼ型は早産や未熟児が原因の脳性麻痺に多いことでも知られています。周産期医療の発達のおかげで、早産で未熟児であっても助かる赤ちゃんが増えました。そのため、脳性麻痺の発症が横ばいか減少傾向であるものの、アテトーゼ型は増加傾向にあります。
3. 失調型:小脳にも錐体路外系の神経伝達路があり、この部分を損傷すると失調型の脳性麻痺になります。脳性麻痺の分類で最も少ないタイプが失調型です。失調型は、筋肉の緊張が低く、正常と低緊張をいったりきたりするので、バランスを保つことが難しく姿勢が不安定となってしまいます。また、歩けるようになっても転びやすいことも、失調型の特徴にあげられます。

4. その他:そのほかの分類には、痙直型とアテトーゼ型が組み合わさった混合型などがあります。

脳性麻痺の合併症

脳が損傷をうけたときに、運動に関係した部位だけが損傷するということはまれで、他の部位も損傷している可能性が高いことが知られています。

たとえば、知覚や認知、視覚や聴覚の部位にも損傷している場合は、脳性麻痺に付随した障害がみられます。具体的な障害には、聴力障害・視力障害・てんかん発作・知的障害・発達障害などがあります。

トルコにあるイスタンブール大学のKILINCASLAN医師は、脳性麻痺の子どもが自閉症や発達障害を伴うケースは、決してまれではないことを2009年に発表しました。126人の脳性麻痺の子どもを調査したところ、自閉症などの広汎性発達障害(PDD)を合併している子どもが15%いたことを明らかにしています。

脳性麻痺の治療・療育法は?

脳性麻痺は、脳が傷ついてしまったことが原因でおこるものなので、損傷した部分が直接治ることはありません。一方、てんかんなどが合併している場合を除いて、脳の損傷部分が悪化するということもありません

脳の損傷は治らないものの、治療・療育を通して運動機能の発達を促して、運動や姿勢の障害の改善が目指されます。

筋肉を緊張したままにしておくと、筋肉が硬直してしまって改善しづらくなってしまいます。この状態は、さらなる筋肉や関節の硬直をもたらすので、早期からの治療・療育がとても大切になってきます。

また、単にリハビリ等の療育を通して運動機能の発達・改善を促すばかりでなく、脳性麻痺のある人やその周囲の支援者が、自分自身の身体に合わせた運動方法や生活環境を模索しつくりあげていくというアプローチも大切です。
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脳性麻痺はいつ、どうやってわかる?

脳性麻痺の検査・診断

明らかに麻痺があるなど重度の脳性麻痺をのぞき、特に早期に脳性麻痺を診断することは、一般的にとても難しいと考えられています。

おもな理由としては、発達は非常に複雑なものであることにくわえ、脳性麻痺ではない子どもでも、発達には個人差が大きいことが知られているからです。また、おすわりや立つなどの発達過程は、生後すぐにできるものではないことも早期診断を難しくする要因のひとつです。

さらに、脳性麻痺の症状である痙性(筋肉の硬さ)は、通常生後数週間でみられるものではなく、7~9ヶ月たって気づくことも多いことで知られています。

このように、脳性麻痺の診断は非常に難しいものであるものの、診断には以下の3項目から総合的に判断されます。

出生歴:未熟児だったかどうか、分娩時に異常はなかったかなど
子どもの観察:年齢相応の発達をしているかなど
筋肉の緊張や反射異常をみる検査

また、MRIやCTなど脳神経の画像検査は、脳性麻痺の原因を確定するための有効な手段としてよく使われています。

脳性麻痺かも?と思ったら

保護者からの発達相談で脳性まひの診断を診断を行うことも多いようですが、発達には個人差が非常に大きいことから、発達がゆっくりだからといって脳性麻痺とは限りません。そのため、過度に心配しすぎる必要はありませんが、一般的には以下の状態の場合で脳性麻痺の可能性を考慮します。

1.未熟児、または新生児脳症などの成育歴のある「リスク児」のフォローアップ.
2.運動の発達指標の遅れ.とくに座る,立つ,歩くことの遅れ.
3.左右両側のつり合いの取れない運動パターンの発達.たとえば,生後数ヶ月みられる,片方の手の顕著な優位性.
4.異常な筋緊張,とくに痙縮(筋肉の硬さ)または弛緩性(フロッピー).

出典:Eva Bower/原著編著、上杉雅之/監訳『脳性まひ児の家庭療育 原著第4版』(医歯薬出版、2014年)20ページ

出典:http://amzn.asia/eggrTYH
たとえば、抱っこすると手足がピーンとなって筋肉の緊張がみられる、「首が座らない」「おすわりできない」「寝返りしない」などの運動スキルが一般的な発達過程にくらべてとてもゆっくりしているなど、心配なことがあれば医療機関などで相談しましょう

赤ちゃんは1歳半まで3月健診・6ヶ月健診・1歳半健診と健診回数が多いので、健診時を利用して相談することも可能です。
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脳性麻痺の治療・療育にはどんなものがあるの?

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