構音障害とは?構音障害の原因、診断方法、訓練方法、家庭でできる工夫などを紹介

2017/03/24 更新
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「構音障害」とは言語障害の一つで、同じ発達年齢の人が正しく発音できる音を習慣的に誤って発音している状態を指します。ことばの発達は心身の発達に関連しています。そのため、ことばの発達のつまずきに対し、不安な親御さんもいらっしゃることでしょう。ここでは構音障害の原因による分類、症状、診断方法、家庭でできる工夫などをお伝えします。

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監修: 井上 いつか
言語聴覚士(ST)
医療・福祉機関などで、言語聴覚士として多くの子ども達と関わる
目次

構音障害とは?

そもそも構音とは?どうやって発達していくの?

人は、下顎(したあご)・舌・唇・軟口蓋(なんこうがい)などを動かし、声の通る道の形を変えることで話しことばを生み出します。この、話しことばを生み出す過程を「構音」と言います。「構音」は、一般的には「発音」と呼ばれています。
ことばの発達は、一定の決まった順序でおおむね進んでいきます。同様に、構音の発達にも順序性があり、年齢に応じた発達段階があります。以下、発音を獲得する年齢のおおまかな目安です。
2~3歳代:ア・イ・ウ・エ・オ、タ・テ・ト、パ行、マ行、ヤ行、ン
2~5歳代:バ行
3~4歳代:カ行、ガ行、ナ行、チ、チャ行、ダ・デ・ド、ハ行、ワ
4~6歳代:サ行、ザ行、ツ、ラ行

構音障害とは

「構音障害」とは、同じ発達年齢の人が正しく発音できる音を習慣的に誤って発音している状態を指します。

もちろん、幼い子どもたちはうまく発音できないことばがあります。

周囲のお子さんと比べて多少不明瞭な発音があっても、身近な人とであればコミュニケーションを図ることができている場合「問題はない」と思われることもあるでしょう。

ですが、その発音がうまくいかない背景に、発音に関わる器官や発達を支えるものに何らかの課題が隠れている可能性があります。

また、成長するとともに、発音がうまくいかないことで地域や集団におけるコミュニケーションや学習に支障をきたしてしまったり、自信を無くしてしまったりすることがあります。

発音の誤りや不明瞭さの原因は一人ひとり異なるため、背景を丁寧に探る必要があります。そして、適切なアドバイスや治療、指導を受けることで改善する可能性が広がります。そのため、早期に専門機関に相談し、専門家のサポートを受けることが大切になってくるのです。

「構音障害」は発達障害や知的発達の遅れなどを合併している場合もありますが、本記事では合併の場合を除いた純粋な構音障害について述べていきます。

構音障害の原因による分類

構音障害には、原因が特定できる場合と、そうでない場合があります。

特に子どもの構音障害の場合、様々な要因が重なり合っていることが多くあります。

原因が明らかな構音障害

◇器質性構音障害
生まれつき、あるいは事故や病気など後天的な理由により、唇・舌・口蓋(こうがい)・顔面などの形に問題があり、うまく発音ができない場合をいいます。

・口蓋裂・口唇裂・口唇口蓋裂
先天性異常のひとつで、日本では500人~600人に1人の頻度で発現します。

口蓋とは口腔内の上の部分、口唇とはくちびるをさします。乳幼児から就学時までの期間中に何度か手術を施し、同時にことばの指導を行うことで、現在では80%以上が正常構音を獲得できると言われています。
・舌小帯(ぜっしょうたい)短縮症
先天性異常のひとつで、口腔底から舌の下面へ走っている小帯(舌の裏側のスジ)が舌の先に近く付着していて、舌の動かしづらさがある状態です。保険適応で手術や訓練をすることができ、多くの場合、正常構音を確立できると言われています。
・その他の器質性構音障害
器質性構音障害には、鼻咽腔閉鎖不全症や口腔腫瘍等による発語器官の切除後に生じるものなどもあります。

◇運動性構音障害
脳卒中や頭部外傷、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ジストニアなど、神経や筋に病変が生じることにより、話すことに必要な運動機能が障害される場合をいいます。

構音障害だけではなく、声やリズム・速さ・アクセント・イントネーションの異常を併発することもあります。

◇聴覚性構音障害
聴覚の障害により、正しい構音を獲得することが難しい場合を、聴覚性構音障害という場合があります。
器質性構音障害には、鼻咽腔閉鎖不全症や口腔腫瘍等による発語器官の切除後に生じるものなどもあります。

原因が明らかでない構音障害

◇機能性構音障害
構音にかかわる器官の形態、神経や筋、聴力に問題が見出されない、また、その他の疾患や障害が無いにもかかわらず構音に問題がある場合、機能性構音障害に分類されます。

主に幼児期にみられます。自然治癒が望めない場合も、早期に指導・訓練を受けることで改善する可能性が広がります

構音障害なのかな?と思ったら専門家に相談を

構音障害は、成長とともに自然に治る場合もありますが、気になる場合は園や学校の先生、子育て支援センターや児童発達支援センターなどの専門機関に相談してみましょう。言語聴覚士(ST)などの専門家に相談できる場合があります。

また、言語聴覚士協会のホームページから言語聴覚士のいる施設を検索することができるので参考にしてください。
医師などに、ことばの問題を相談することもできます。受診できる病院の科は以下の通りです。

・小児科
・耳鼻咽喉科
・脳神経外科
・神経内科
・形成外科
・リハビリテーション科
・言語外来を設置している各科

構音障害の原因は様々であり、医師や言語療法士などが相談や検査などを行い一人ひとりの背景を探り、それに応じた対処法がみつかることもあります。

検査の内容

「子どものことばについて相談すると、一体どんなことを聞かれるんだろう」と不安に思う親御さんが多いと思います。気がかりなことやお子さんの様子をメモに書いておくなど、事前に準備しておくと良いかもしれません。

ここでは例として、耳鼻科の言語外来で言語聴覚士が行う聞き取りや検査項目をあげます。

1.生育歴などの聞き取り
これまでの育ちや現在の様子についてお聞きします。大きな病気やけがなどの有無、身体やことば・発音の発達はどのようであったか、現在のお喋りやコミュニケーションの様子、本人の自覚などと合わせて、親御さんが心配していること・気がかりなこともお聞きします。

2.構音検査
お子さんの構音の状態を捉えるために、検査を行います。
3.その他の検査
・聴力検査:聴力に問題はないか
・構音にかかわる器官の形態や運動をみる検査:鼻・唇・舌・歯・顎・喉などの形や動きをみる
・言語発達の検査:ことば・コミュニケーション発達の検査、発達検査や知能検査の言語性課題など
上記のような、構音検査以外の検査も行われます。

4.鑑別診断
構音障害といえるのかどうか、また、他の疾患や障害(知的障害・ことばの遅れ・聴覚障害など)の有無を判断します。

以上のような聞き取りや検査を行うことで背景や原因を探り、その後の対応を見極めます。

構音障害かなと思ったら、アドバイスはどこでもらえるの?言語聴覚士とは?

ことばや構音については、診断の有無にかかわらず、言語聴覚士(ST)と呼ばれる専門家からアドバイスや指導を受けることができます。

言語聴覚士は、一人ひとりに合わせたやり方で、ことばや構音の育ちをサポートしてくれます。

家庭での接し方や、本人の気持ちを尊重しながら楽しくできる練習方法へのアドバイスも期待できます。発達ナビの以下のリンクを参考になさってください。
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言語聴覚士がいる施設

◇公的機関のサービス

・教育・療育施設
子どもの場合、「ことばの教室」などと呼ばれる小学校などの通級指導教室や特別支援学級、特別支援学校、児童発達支援などの療育機関などで言語療法を受けられる場合もあります。

園や学校に相談するか、自治体に問い合わせましょう。健診や就学前健診で個別に相談できる場合もあるようです。

その後、面談や審査など、所定の手続きに従います。地域によっても制度が異なりますので、お住まいの自治体に問い合わせましょう。
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・医療機関
主治医の指示により言語聴覚士のアドバイスや指導を受ける際、健康保険が適用される場合があります。医療機関に問い合わせてみましょう。

・福祉施設
施設・地域によって異なりますので、各施設や自治体の定める手続きをとります。大人の構音障害の場合、訪問リハビリテーションなど介護保険の適用になる場合もありますので、福祉窓口、ケースワーカーや民生委員に相談してもよいでしょう。

◇民間の教室など
ことばに関する指導を行う民間の教室です。利用する場合は、施設に直接申し込みを行います。

発音を育てるために家庭でできること

家庭での生活や遊びのなかで、お子さんの様子を観察し、楽しく練習する機会を作りましょう。

◇構音器官をどのように使っているか
構音に関わる器官は、ことばを話す以外にも使われています。例えば
・息を吸う、吐く
・息を吹きかける
・口を開ける、閉じる
・噛む
・なめる
・のみこむ

などがあげられます。

これらの様子を観察してみましょう。周囲のお子さんと比べてうまくいかない、力が入らない、あるいはどこかに力が入りすぎる場合は、その様子を記録しておくと良いでしょう。

口を閉じる練習・いろいろなものを噛む練習・息を長く吹く練習などが有効な場合と、余計な力を取り除くためまずはリラクゼーションの練習が必要な場合とがあります。お子さんによって取り組むと良い動作が違うため、これまでの記録とともに専門家に相談し、アドバイスをもらいましょう。

◇音への意識を高める、聴く力を育てる
遊びを通じて、音に注目する力、音に耳を傾ける力を育てましょう。

・しりとり
しりとりは効果的なあそびです。

ルールの理解が難しい場合は、絵や写真、ひらがなやマス目などを手がかりとして見せながら、無理ない範囲で一緒にやってみましょう。

「さかな」「なす」「すいか」「からす」などの絵カードや文字カードを用意します。カードを指しながら「さかな」と言った後、「な・な・な…」と言いながら次に続くカードを探すのも良い方法です。

・かるた
かるたも、音への意識を高める遊びです。正しい札を選んだあとに、1文字ずつ指をさしながら一緒にゆっくりと文章を読んでみるのも良いかもしれません。

・じゃんけんすごろく
サイコロの代わりにじゃんけんを使ってすごろくをします。グーで勝ったなら「ぐ・り・こ」、チョキなら「ち・よ・こ・れ・い・と」、パーなら「ぱ・い・な・つ・ぷ・る」と言いながら1文字ずつ進みます。

大きな紙にスタートとゴールを描き、その間をマス目でつないだすごろくを親子でするのも良いでしょう。階段を使って、勝った人が出した手に応じて1段ずつ進むゲームもあります。

◇コミュニケーション手段の確保
構音の獲得や改善に効果的な方法を探る一方で、「自分の思いを伝える」という機会を確保することも大切です。

話しことばに限らず、表情や視線、ジェスチャーや指さし、写真や絵、文字や記号などあらゆる手段を使って伝えたい思いを相手に伝える経験を積み重ねることは、コミュニケーションの力を育むうえで不可欠です。

まとめ

構音を獲得するまでには、様々なステップがあります。

お子さんの構音の育ちにつまずきがあると感じられる場合、言語聴覚士など専門家にアドバイスや支援を得ることが近道といえます。周囲よりも構音の育ちが遅いと、親御さんもお子さんも焦りや苛立ちを感じるかもしれません。「それは違うでしょ!○○って言いなさい」と指摘し言い直させてしまうこともあるかもしれませんが、それだけでは喋ることそのものを嫌いにさせてしまう可能性があります。

上手に発音することだけではなく、様々な人と関わりコミュニケーションすることが楽しいと感じられるような工夫も取り入れながら、成長を応援する姿勢も大切かもしれません。専門家と相談しながら、実践できる方法を探り、取り組んでみましょう。
子どもの発音とことばのハンドブック
山崎 祥子
芽ばえ社
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