7年の不登校の末、娘が言った「勉強したい。」その言葉の真相は

2017/03/03 更新

娘は小2の2学期から学校に行けなくなりました。それから全く勉強することもなく過ごしていましたが、中2になる前に「勉強したい」というように。学習支援に結びつきまずは九九を覚えることになったのですが、約10ヵ月かけてついに9の段まで暗唱できるようになりました。だけど、特に喜びも見せない娘の心の内を聞いてみると...。

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小2から不登校になった娘。「信じて待つ」と決めたけれど…

娘が学校に通えなくなったのは小2のとき。それから全く勉強もすることなく、時間は流れていきました。

引きこもってパソコン、ゲーム三昧、昼夜回転生活する姿を見て心配でしたが、不登校の親の会、教育相談、児童精神科などに足を運んで相談し、「本人に生活は任せ、信じて待つ」ことに決めて待ち続けました。

だけど、「信じて待つ」というのは、親にとってとてもしんどいことです。「いつ立ち上がるのか」という見通しが全くつかない中、待ち続けるのですから。

でも、娘の変化は突然やってきました。

中2になる年のお正月のこと。突然娘が「今年は勉強を始める」と宣言したのです。

しかしここで前のめりになって、「じゃあ学校行く?ドリル買う?」と親ばかりが意気込んでは、子どもを追い詰めてしまいます。恐る恐る立ち上がった小動物を見守るように、「そうか」と微笑んで黙って娘の様子を見ていました。

すると予想通り、娘はそれから3カ月全く動きを見せませんでした。

学力テストを受け、中2の娘に与えられた目標は

中2になる直前に、幸運にも学習を支援してくれる方とつながることができ、まず現在の学力を計るテストを受けました。様子を見ていた先生によると、娘は九九や繰上りができないのに決してあきらめず、指を駆使して掛け算は足し算を繰り返し、3時間半かけてテストを終えたそうです。

漢字はほとんど書けていませんでしたが、へんやつくりの一部を書いてあったりと、必死で思い出そうと努力したあとがありました。

結果は読解力、文法力は高校1年相当。だけど算数と文字の書き取りは小2レベル以下と極端なものでした。学習障害(LD)ではなく、学習機会がなかったためと判定されました。

そこで、まずは

文字を書く機会を増やすために交換日記をする
・基本的な計算ができるように九九を覚える

という目標がたてられたのです。

娘なりのペースで始まった勉強。ついに九九を制覇!!

とはいえ、娘はこれまでほとんど勉強をしたことがありません。

日記を書くのも最初は筆圧が弱すぎるのを矯正するため筆ペンを使っていました。漢字がほとんど書けない娘は、スマホで漢字辞典のサイトを見ながら「3の段の『段』って漢字は何でこんなに難しいの!」とキーッとなったりもしつつ、自分の出来るペースで(1ヶ月に2日程度のこともありましたが)日記を書きました。

そして九九は、本人の希望で、「ママがいないところ(風呂)で声に出して読んで覚える」ことになりました。

小2のときに通信教材の付録でついていた、お風呂の壁に貼る九九のポスターを、娘はずっと「はがさないで」と言っていました。この言葉が生きるときが来たのです。

娘がお風呂に入っているとき、「にさんがろく、にしがはち…」という声を聞くとかわいくってたまらない気持ちになりました。

自信がついたら「ママ聞いてくれる?」とその段を暗唱します。

勉強を始めて10カ月たった先日、ついに九の段を暗唱。中2にして九九を制覇したのでした。

それでも浮かない顔の娘。どうして勉強しようと思ったのか聞いてみた

だけどせっかく覚えたのに、なんだか娘は浮かない顔をしています。どうしてなんでしょう?

思い切って娘に聞いてみました。

私 「九九、覚えることができてどう?」
娘 「うれしい」
私 「そっか。ところでどうして勉強しようと思ったの?」
娘 「(きっぱりと)困るから。困るやろ?」
私 「まぁ、それは困るだろうけど…」

私はこのとき気づきました。まだ娘は、心の底から「勉強したい」という気持ちが湧いているわけではないのかもしれないと。

私は娘に、「小学生程度の勉強ができないと働くのは難しい」と以前から伝えていました。

娘は、おそらく中2という学年から逆算して「将来自分はどうなるのか」「そろそろ勉強を始めないと人並みに高校に行けない」と、おびえていたのではないでしょうか。

つまり娘の「勉強したい」という言葉は、「○○ができるようになりたい!」という希望の気持ちに基づくものではなく、「勉強できないと人並みに生きていけない」という悲痛な気持ちの表れだったと思うのです。

「勉強したい」という気持ちに嘘はなく、だからこそゆっくりなペースながらも九九もやり遂げたのだと思います。ただ、「やりたい!」というよりも「しなければならない」という気持ちの方が強かったのかもしれません。

娘が自分の意思で始めた勉強。どんな形であれ、親は信じて待つのみ

不登校の親の会でも、「本当にやる気になったら小学校の勉強は数か月でクリアできる」「本人の意思で立ち上がったら、親が止めてでもやる」と聞いていました。

実際に回り道しても、懸命に勉強に取り組んで大学に進学する子も少なくありません。

娘は、エネルギーが満ちて立ち上がったわけではないのでしょう。自分と周りの普通の子どもたちとを比較して、「九九は小2でクリアしなければならないものだ」と自分の学習の遅れを強く自覚しているようです。だから、九九ができたのをほめられても、「そんなの本当はとっくにできていて当たり前なのに」と喜ぶ気持ちになれなかったのだと思います。

それでも彼女が自分で「勉強する」と決めたのですから、こうした劣等感や不安とは自分で向き合っていくしかないのだと、親としては考えています。

勉強を始めてからというもの、娘は「私は勉強しているんだから」と意気込んで、以前よりもずいぶん意欲的になりました。

時には勉強もストップして「しんどい」と寝込んでしまうこともあるけれど、自分の意志で頑張ろうとしているのだから、私は後ろからそっと見守るのみです。

不登校や引きこもりから立ち上がろうとする子どもたちは、一気に階段を駆け上がるわけではありません。一段がとてつもなく長い道のりだったり、次の段の前で立ちすくんだりと葛藤しながら進んでいきます。

親としてはプレッシャーを与えることなく、長い目で気長に待ちたいところですね。

もう、「待つことが育児なり」という心境です。
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