それでも浮かない顔の娘。どうして勉強しようと思ったのか聞いてみた

だけどせっかく覚えたのに、なんだか娘は浮かない顔をしています。どうしてなんでしょう?

思い切って娘に聞いてみました。

私 「九九、覚えることができてどう?」
娘 「うれしい」
私 「そっか。ところでどうして勉強しようと思ったの?」
娘 「(きっぱりと)困るから。困るやろ?」
私 「まぁ、それは困るだろうけど…」

私はこのとき気づきました。まだ娘は、心の底から「勉強したい」という気持ちが湧いているわけではないのかもしれないと。

私は娘に、「小学生程度の勉強ができないと働くのは難しい」と以前から伝えていました。

娘は、おそらく中2という学年から逆算して「将来自分はどうなるのか」「そろそろ勉強を始めないと人並みに高校に行けない」と、おびえていたのではないでしょうか。

つまり娘の「勉強したい」という言葉は、「○○ができるようになりたい!」という希望の気持ちに基づくものではなく、「勉強できないと人並みに生きていけない」という悲痛な気持ちの表れだったと思うのです。

「勉強したい」という気持ちに嘘はなく、だからこそゆっくりなペースながらも九九もやり遂げたのだと思います。ただ、「やりたい!」というよりも「しなければならない」という気持ちの方が強かったのかもしれません。

娘が自分の意思で始めた勉強。どんな形であれ、親は信じて待つのみ

7年の不登校の末、娘が言った「勉強したい。」その言葉の真相はの画像
出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10272002070
不登校の親の会でも、「本当にやる気になったら小学校の勉強は数か月でクリアできる」「本人の意思で立ち上がったら、親が止めてでもやる」と聞いていました。

実際に回り道しても、懸命に勉強に取り組んで大学に進学する子も少なくありません。

娘は、エネルギーが満ちて立ち上がったわけではないのでしょう。自分と周りの普通の子どもたちとを比較して、「九九は小2でクリアしなければならないものだ」と自分の学習の遅れを強く自覚しているようです。だから、九九ができたのをほめられても、「そんなの本当はとっくにできていて当たり前なのに」と喜ぶ気持ちになれなかったのだと思います。

それでも彼女が自分で「勉強する」と決めたのですから、こうした劣等感や不安とは自分で向き合っていくしかないのだと、親としては考えています。

勉強を始めてからというもの、娘は「私は勉強しているんだから」と意気込んで、以前よりもずいぶん意欲的になりました。

時には勉強もストップして「しんどい」と寝込んでしまうこともあるけれど、自分の意志で頑張ろうとしているのだから、私は後ろからそっと見守るのみです。

不登校や引きこもりから立ち上がろうとする子どもたちは、一気に階段を駆け上がるわけではありません。一段がとてつもなく長い道のりだったり、次の段の前で立ちすくんだりと葛藤しながら進んでいきます。

親としてはプレッシャーを与えることなく、長い目で気長に待ちたいところですね。

もう、「待つことが育児なり」という心境です。
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